CSI: NY - Season 3, Episode 3
#50 Love Run Cold
- 邦題:「愛が冷める時」
- 脚本:Timothy J. Lea
- 監督:Tim Iacofano
- 初回放映:2006-10-04
事件概要
トーニャ・ネトルズ
マック、ダニー、リンジー、フラック刑事担当。新しく発売されるウォッカのキャンペーンイベント会場で、アイスプリンセス役に選ばれたトーニャが刺殺される。腹部の傷口には、凶器は刺さっていなかったが引き抜いた形跡がない。さらに血液が薄まっていることから、凶器は尖った氷と考えられた。
その後、検死で胃の中に大量のウォッカが直接流し込まれていたことがわかり、ウォッカを入れていた氷製のボトルかで刺したものと考えられた。クラブの支配人やライバルのジェニファーに疑いがかかるが、いずれも無関係。
現場には何種類かの鳥の羽が落ちており、ほとんどはオンドリやダチョウで、ウェイトレスたちが衣装として身に着けていたものだった。だが、ひとつだけ種類の違うものがあることがわかる。それは釣り用の毛針に使われるものだった。トーニャの恋人リーアム・グリフィンは、マス釣りで有名なビーバーキルの実家からNYに戻って来たばかり。リーアムは、トーニャから別れ話を切り出され、思わず殺してしまったことを認める。
オーウェン・リード
マック、ステラ、ホークス担当。マラソン大会に出場していた選手、オーウェン・リードが路上で突然倒れて死亡する。最初は毒殺が疑われたが、死因は一酸化炭素中毒。高圧スプレーで顔に一酸化炭素を吹き付けられたための中毒死とわかる。シャツには寿司ネタに使われるマサゴの卵が付着していた。
マラソンの走行記録から、オーウェンが倒れた時、車椅子のランナー、リチャード・キースが近くにいたことがわかるが、キースは「男が倒れるのを見ただけ」と主張。
現場に落ちていたスプレーノズルには、保護動物であるヤマネコの咬み痕があった。保護動物は一般家庭での飼育は禁じられており、罰金が課される。その前歴のある飼い主のリストから、ヘザーの飼い猫とわかるが、ヘザーを訪ねてみると、ヤマネコは数日前に死んだという。死骸を掘り起こしてみると、ヤマネコが一酸化炭素スプレーの実験台にされて死んだらしいとわかる。
ヤマネコの爪に残っていた網戸の切れ端は、同じアパートに住むシャロン・ケーツの部屋のもの。シャロンはマラソン大会のボランティアだったが、本業は食品を専門とする写真家。撮影スタジオを兼ねた自宅には、寿司の写真や、食材の発色に使用する一酸化炭素スプレーがあった。スプレーからはオーウェンの皮膚が検出される。
シャロンは車椅子で参加したキースの姉だった。キースは将来有望なマラソン選手だったが、オーウェンの飲酒運転で事故に遭い、半身不随になっていた。だがオーウェンは和解に応じず賠償金も払わない。シャロンはそれを恨んでオーウェンを殺害したことを認める。マックとステラは、弟のキースも共犯ではないかと疑うが、姉弟はそれを認めない。「今の弟は牢獄にいるのと同じ」だと言うシャロンは自分の単独犯だという主張を変えず、証拠でそれを覆すことはできなかった。
感想
マラソン事件の方は、ランナーの突然死、一酸化炭素中毒、凍傷、魚の卵、ヤマネコ、破れた雨戸、近くを走っていた車椅子のランナー、といった一見ちぐはぐな要素がすべて、終盤になってぐわーっと収束してくるという力技。そういう「収束のプロセス」を描きたかったんだろうな、という意図は何となく感じられたものの、無駄がなさすぎる点がいささか不自然だったかも。マラソン大会であれだけ人が大勢いるのだから、当然事件とは無関係な証拠も山のように検出されたと思うのだけど……関係なかったのは、被害者ともめていた投資家ぐらい? 証拠をつなぎ合わせて事件の経過を描き出す、というより最初から必要なピースを選んで配置したパズルを解くという感じ。
ただキースの関与だけは証明できない。これはやはり物証の限界か。
そして氷の事件の方はそれとは逆に、一見関係ありそうで実は無関係な証拠が大量に。指紋や血痕といった、犯罪現場の「定番」証拠は空振りで、最初は「落ちてて当たり前」と思われた鳥の羽根が決め手になる。木を隠すなら森の中に――じゃなくて、森の中だからといって木を見落としてはいけない、ということね。