CSI: NY - Season 3, Episode 15
#62 Some Buried Bones
- 邦題:「五番街のゴースト」
- 脚本:Noah Nelson
- 監督:Rob Bailey
- 初回放映:2007-02-07
事件概要
ジェフ・ジガーズ
ステラ、ダニー、エンジェル刑事担当。五番街にある高級ブティックの試着室で、警備員のジガーズが射殺される。試着室には服を万引きしたらしい痕跡が残っており、防犯用の赤外線カメラには正体不明のぼんやりした人影のような映像が残っていた。この「ゴースト」の正体は、再帰反射体を使用した衣服により、カメラの信号へ入射光が反射されたものと判明する。
その後、別の店で同じ手口の盗難があったことがわかり、防犯カメラを調べると、犯人の女性が商品の指輪を口に含んだ偽物とすり替えていることがわかる。指輪から唾液のサンプルを取って分析した結果、プロプラノロールという薬が検出される。これは記憶に影響を与える薬物で、トラウマ治療のため限られた患者にしか投与されていないものだった。
薬の治験者リストから、犯人の人相特徴に一致するエーヴァ・ブラントの存在が判明。エーヴァは万引きの現行犯で逮捕されるが、「盗みはしたが殺してはいない」と主張。試着室で銃声を聞いたため、盗品を抱えて逃げただけだという。
その後、エーヴァが盗んだバッグからカードリーダーが発見され、店の店員マリッサと窃盗の前歴を持つクリス・キャンベルが組んで、客のカード情報を盗んでいたことがわかる。警備員のジェフはそれを知ってマリッサを脅迫。クリスは話し合おうと言ってジェフをおびき出し、射殺したのだった。
事件概要
ブライアン・ミラー
マック、ホークス、フラック刑事担当。クイーンズ植物園の立体迷路で、チェルシー大学に通うブライアン・ミラーの遺体が発見される。アブサンスプーン(アブサン酒を飲むための専用スプーン)で頚動脈を切られ、肩には焼印を押した形跡があった。ポケットには、なぜか他の学生の受験票。
リード・ギャレット(マックの亡妻クレアの息子)がマックを訪ねて来る。リードとブライアンは大学新聞の記者で、ブライアンは学内の「王と影」という秘密結社について記事を書こうとしていたという。これは名門出身の学生によるカルト的な結社で、ブライアンはその内部に潜入し、事件の夜は「脱会の儀式」を行う予定だった。
結社メンバーとして記事で名指しされていたトーマスは、ただブライアンを殴っただけで、自分たちが立ち去る時はまだ生きていたと主張する。
その後、寮に戻ったリードは何者かに襲われて怪我をし、「記事を書くな」という警告を受ける。リードが書いていたのは替え玉受験の暴露記事。ブライアンは、ルームメイトのエディ・ウィリアムズと「王と影」のトーマスから替え玉受験を請け負っていたが、リードは替え玉を止めることを条件にブライアンの名前を出さないと約束していたのだ。結社と替え玉の両方に関与していたのはトーマスだが、現場の指紋は不一致。
ホークスは、現場で発見した衣服の切れ端が放射能を帯びていることに気づく。それは、放射性トレーサーの実験を行っていたエディの物だった。ブライアンは迷路の地図をデザインしたアブサン・スプーンをエディに渡し、儀式の後で脱出に手を貸してくれるよう頼んでいた。エディは医者である父から医学部に進むようプレッシャーをかけられ、ルームメイトのブライアンに替え玉試験を頼んでいた。だがブライアンが「もう替え玉を止める」と言ったため彼を殺害。ルームメイトが死亡した場合、「精神的苦痛を受けたから」という事情を考慮して「オールA」の評価を付けてもらえるという特例措置が受けられるのだった。
感想
今シーズンのNYは今までとは別の新番組、現マック・テイラーは過去シーズンとは別人、と思ってきたところにこのエピソード。今回は昔に戻ったような懐かしいNYエピだった。リードとハグするシーンが切ないな~。エリー・ブラスを筆頭に問題児揃いのCSI:ジュニアの中で、リードは珍しく良い子だし。
「まだ探している」というマックの言葉が、シーズン1「まばたき」の「妻を探している男がいる」という台詞を思い出させる。
NYのプロデューサー、アンソニー・E・ズイカーのインタビューで確か読んだのだが、当初シーズン1のフィナーレは、亡くなったクレアさんの遺体か遺品かが見つかって、マックがそれを埋葬するシーンで終わることになっていたのだそうだ。路線が変更されたため、それは幻のエピソードに終わり、クレアさんの話も中途半端なまま忘れられていたのだが、改めてそのエピソードを見たかったなぁ……と思ってしまった。クレアさんの死を受け入れ、ビーチボールの栓を抜いて、彼女の息(魂)を天に解き放ってあげてほしかった。ベタだけど白い鳩が一羽くらい飛んでもいい。本当は鳩嫌いだけど(ベランダでフンするから)。
劇中に登場するアブサン酒は、ニガヨモギの成分に幻覚作用があるという理由で(これに対しては疑問もあるようだが)製造が禁止されていたが、最近になって安全な量の基準値が定められ、正式に解禁された。米国でも2007年ぐらいから輸入され始めたみたいだが、このエピソード放映時はどうだろう。いずれにしても、普通に流通しているアブサンを飲んだところで幻覚を見ることもないはずだから、ブライアンが飲んだものはドラッグでも混ぜられていたのではないかと思う。
それにしても、ルームメイトが死んで精神的苦痛を受けたから、という理由で成績を上げるなんていう制度、本当にあるの?
ステラの事件の方は……「ゴースト」という素材は面白かったものの、正体があっさりわかってしまい、いまいち効果的な使い方ではなかったかな。エーヴァを演じたNelly Furtadoのプロモーションビデオみたいだった。「盗みに成功して自分にも取り柄があるとわかった」って、あんな美人に言われてもね。