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csi_ny:s05:114_yahzeit

CSI: NY - Season 5, Episode 22

#114 Yahzeit

  • 邦題:「父への祈り」
  • 脚本:Peter M. Lenkov, Barbie Kligman
  • 原案:Peter M. Lenkov
  • 監督:Norberto Barba
  • 初回放映:2009-04-29

事件概要

ザンダー・グリーン

オークション会場で鑑定人のザンダー・グリーンが射殺される。火薬の痕から至近距離から撃たれたことがわかるが、傷口は異常に浅く、また射入口には刃物で刺された傷もあった。弾を調べた結果、使用されたのはドイツ製のルガー拳銃と判明。1940年代に製造された古い弾だったため、火薬が劣化して速度が遅かったと思われた。

携帯電話の発信履歴から、ネオナチのマイケル・エルガーズの存在が浮上。エルガーズはホークスに差別的な言葉を浴びせ、警官へのハラスメント行為で逮捕される。だがこの時、ホークスへの侮辱にカッとなったダニーがエルガーズにつかみかかり、頭を床に打ちつけたため停職処分にされてしまう。

エルガーズは犯行を否定するが、グリーンと接触があったことは認める。グリーンも実はネオナチで、腕にあった8個の点のタトゥーは、点と点をつなぐとハーケンクロイツになる物であった。エルガーズは、グリーンが「エイブラハムという男と言い争っていたようだ」と供述する。

オークションには、エイブラハム・クラインという人物がブローチを出品していた。クラインはアウシュヴィッツから生還したユダヤ人で、アメリカにわたって時計屋を営んできたが、業績が悪化したために妻の形見を手放したという。

その後、グリーンを殺害した凶器はナチス時代に使われた銃剣であると判明。また、グリーンの自宅に不審人物が侵入したとわかり、現場へ向かったマックらは、そこでホロコーストの遺品を隠した秘密部屋を発見する。残された指紋から、侵入したのはエルガーズとわかる。エルガーズは、グリーンの自宅からコレクションを盗み出し、オークション・サイトに出品して儲けようとしていたのだ。

押収した遺品の中には、エスター・シュニッツラーという女性の日記があった。マックは遺品を返還する手がかりを求めてイスラエル政府のレズニックと面会し、エスターの従妹のハンナ・シュニッツラーが生存していることを知る。ハンナの証言ビデオを見ると、エスターは宝石のブローチと引き換えにドイツ人青年のクラウス・ブラウンに協力を頼み、国外へ逃れようとしていた。だがクラウスはブローチを受け取ったもののエスター一家を裏切り、彼らをアウシュヴィッツに送り込んでしまった。エスターの一家は全員射殺され、その後に到着したハンナは従姉とその家族の遺体を見つけ、信じられない思いだったという。

グリーン殺害犯はエルガーズと思われたが、コレクションの中に凶器は見つからず、エルガーズには犯行時のアリバイがあることがわかる。あらためて事件を検証したマックは、オークションのモデルが身に着けているブローチが、エスターが日記に描いていた物と同じであることに気づく。調べてみると、出品したのはエイブラハム・クラインだった。エスターがドイツ人青年に報酬として渡したはずのブローチを、なぜクラインが持っていたのか。

マックはハンナの映像とともに撮影されたクラウス・ブラウンの写真を加工し、現在の姿になるよう加齢による変化を加える。するとその顔は、クラインそっくりになった。ブラウンは敗戦後に追われる身となり、ユダヤ人に成りすましてアメリカに入国して追跡を逃れていたのだ。だがブローチを出品し、エスターから奪った物であることをグリーンに気づかれて口論となり、殺害したのだった。

エイブラハム・クラインことクラウス・ブラウンはマックの追及をかわし「自分はユダヤ人だ」と主張し続けるが、レズニックはブラウンを確認。ブラウンはついにあきらめ「滅ぼしておくべきだった」とドイツ語で口にする。

事件解決後、レズニックからマックにメールで動画が届く。それは収容所から解放された男性が、「若いアメリカ兵から親切にしてもらった」という感謝の気持ちを述べる映像。その若い兵士の名はマッケンナ・ボイド・テイラー二等兵、マックの父親だった。

マックはハンナ・シュニッツラーのもとを訪れ、エスターのブローチを渡し、ともに祈りを捧げる。


感想

ナチス・ドイツの迫害を生きのびたユダヤ人と、過去を隠して生きているナチスの残党――というモチーフを扱ったエピソードは他のシリーズににもいくつかあるが、その中でいちばん面白かったのは、Law & Order の “Night and Fog” かな。逆に「期待しすぎてがっかり」だったのは、ちょっと路線が違うけどCSIの(以下自粛)。

それはさておき、このエピソードの放映は2009年で、WW2終結からもう64年が経っている。「当事者のエピソード」はそろそろ限界かもしれない。今回のエイブラハムことクラウスにしても、ヒットラーユーゲントの一員ということで、当時はまだ十代(せいぜい二十歳)。おそらく大人の言うままに動いていたのだと思う。特に、ナチス親衛隊員だった父親の影響は大きかっただろう。

それがなぜ、わざわざ、よりによってユダヤ人と偽って暮らさなければならなかったのか。家族まで欺くことがそもそも可能だったのか。普通のドイツ系移民として名前と過去を隠すことはできなかったのか。そのへんの事情があまりピンと来なかった。正体を暴かれて「滅ぼしておくべきだった」と口にした時の表情の変わりよう、役者さんの迫力はすごい物があったと思うが……。

個人ストーリーの入れ方も少し中途半端に感じられた。前半のホークス先生の叔父さんの話、後半のマックのお父さんの話、どちらも良い素材なのだから別々のエピソードに大切に使えばよいのに……。2つ一緒に入れてしまったせいでどうしても「薄まってしまった」感が否めないのだ。マックのお父さんの話、もっと聞きたかったと思う。

Yoko (yoko221b) 2011-03-27, 改訂 2015-01-25

csi_ny/s05/114_yahzeit.txt · Last modified: 2024-03-02 by 127.0.0.1