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CSI: NY - Season 5, Episode 24
#116 Grounds for Deception
- 邦題:「偽りの地、ギリシャ」
- 脚本:Melina Kanakaredes
- 監督:Duane Clark
- 初回放映:2009-05-13
事件概要
ジョージ・コロヴォス
マックは、セバスチャン・ディアコスの遺体発見を通報した「匿名の女性」がステラであったことを知って怒る。ステラは「自分の判断は間違っていない」と反論し、マックにバッジを渡して出て行く。
野外で行われていたギリシャ悲劇の舞台裏で、男が刺殺される。被害者はジョージ・コロヴォスで、ステラとエンジェルがコンテナに監禁してキプロスへ送り出したはずの人物だった。コロヴォスはステラの住所を書いたメモを持っていたが、ステラはその理由には心当たりがなく、コロヴォスがどうやってNYへ戻って来たかもわからなかった。
遺体の傷の形状から判断して、凶器はヒルト付きの短剣。刺し傷からは白い破片、シャツからはコーヒーの粉が発見される。また、現場からはバラバラに壊れた石膏の欠片が回収される。
石膏の破片をつなぎ合わせ、型として中身を再現してみると、特徴的な形の短剣が入っていたことがわかる。ヒルトの模様は、アレクサンドロス大王の副葬品と同じであり、傷口から採取した物質は紀元前の象牙。大王の墓は謎に包まれているが、誰かがそれを発見して副葬品を持ち出したのではないかと思われた。
石膏からはパパコタ教授の指紋が発見され、ダニーとフラックは教授の自宅へ向かうが、その前でステラと鉢合わせ。コロヴォスの件で話を聞きに来たのだという。ステラはついさっきまで教授と話していたというが、フラックらが踏み込んでみると、教授の姿は消えていた。裏口から出て行ったものと思われる。ステラは、教授がパスポートとメモ用紙を持っていたことを思い出し、メモの下の紙をエンピツでこすってみると、何かの番号が書かれていた。
ステラはオフィスに戻り、卒業祝いにパパコタ教授から贈られた絵の額を壊し、メデューサを描いたその絵が盗品であることを知る。それはギリシャの古代マケドニア博物館にあったもので、NYのメトロポリタン美術館の企画展に展示された後、盗まれていたのだ。
その後、マックはステラのオフィスで壊れた額を発見し、絵の裏打ち部分からステラと同じ結論に達する。教授のアパートに残されていたコーヒーカップにはコーヒー豆のカスがあり、飲んでいた人物の唾液からDNAが検出される。コロヴォスの服に付着していたコーヒーも同じ成分であり、同一人物のDNAが検出される。また、石膏からは炭酸カルシウムとともにギリシャ北部に特有の桃の木の成分が検出される。マックはステラがギリシャへ向かったことを知り、後を追う。
ステラはパパコタの弟、タッソを訪ねた後、古代マケドニア博物館へ向かうが、そこにはすでにマックが来て博物館員と情報部のテマス刑事に事情を話していた。ステラはメデューサの絵を返還し、古い写真を見せられる。それは1977年にメトロポリタン美術館で開かれた企画展の時に撮られた写真で、監修したパパコタとともにステラにそっくな女性が写っていた。彼女はギリシャ人の絵画修復師で、この展覧会の仕事のために2歳の娘とともにアメリカへ渡り、そこで交通事故に遭い死亡したという。ステラは、教授が母親のことを「何も知らない」と嘘をついていたことを知り、ショックを受ける。
ステラはマックからコーヒーの話を聞き、教授の部屋のコーヒーカップが伏せて置かれていたことを思い出す。カップを伏せるのは、コーヒーの残りかすで占いをするためで、自分のことは占わないので、誰か来客の運勢を占ったということになる。
その話を聞いたダニーは、教授の自宅からヘアブラシなどを採取してDNAを比較。コーヒーを飲んでいたのは確かに教授ではなかったが、男性の近親者であるとわかる――つまり、弟のタッソがNYに来ていたのだ。
マックはその知らせを受けてホテルのステラの部屋へ向かい、ステラを殺そうとしているタッソの姿を目にする。タッソは逃走するが、自宅からは石膏など密輸に関連するものが発見される。パパコタ家は以前、桃の果樹園を所有していたが、そこで遺跡が発見されたため、土地を政府に譲り渡すことになった。政府からは給付金が出たが、それが打ち切られてパパコタ家は生活に困窮するようになった。兄弟はそのため政府を恨み、復讐のため出土品をひそかに輸出するようになったのだ。
ステラは、テマス刑事の目を盗んでタッソの手袋をこっそり持ち帰る。希塩酸を含む噴水の水、プラチナのピアス、アルコールランプで即席の実験を行い、手袋に炭酸カルシウムが付着していることを確認。炭酸カルシウムは果樹園の農薬に使用された物だろうと考え、2人は該当する果樹園へ向かう。
果樹園に到着したステラとマックは、タッソから銃撃される。ステラは、工芸品を持ったパパコタ教授を発見。教授はステラをかばって撃たれる。教授は出土品を盗んでいたのではなく、元の場所に戻そうとしていたのだ。そして、ステラに贈った絵は母親が最後に修復を手がけた作品であることを語り、「ステラの母を愛していた」と告げて息を引き取る。タッソはマックに撃たれて命を落とす。
密輸された工芸品は博物館に返還され、教授から託された出土品はステラが元の場所に埋め戻す。ステラはマックとともにNYへ戻り、警察バッジを返される。
感想
ギリシャコイン・アークの完結編。恩師のルートから思いがけずステラのルーツに行き着いてしまったのが何だか唐突というか、いささか強引すぎるような気がした。
最初から順番に振り返ってみると……。
まず、5話「人生の対価」でコインが初登場。もともとはインディ・ジョーンズみたいな考古学者(という経歴も結局は他人のものだったが)が持っていたコインだった。考古学者が殺された現場でホームレスがコインを手に入れ、そのホームレスもその後殺される。ホームレスが殺される前にコインを預かっていたステラはギリシャ大使館のディアコスに襲われ、その後、7話「地下室の死体」でも電話で脅迫を受ける。
その次が11話の「禁断の果実」。質屋が殺され、同じ種類のコインが盗まれたらしいとわかる。事件はマックのチームの手を離れるが、ステラは独断でエンジェルとともに囮捜査を決行。偽物のコインを作らせてコロヴォスに接触する。
その次が18話の「その先は闇」で、パパコタ教授初登場。ギリシャ大使館員として登場したコロヴォスとディアコスが、実は悪名高い盗掘犯であるらしいとわかる。古代マケドニア王の墓を荒らした容疑でキプロス政府に追われる身であり、仲間に裏切られてコインを奪われたため回収しようと躍起になっているらしい。
この18話で、ステラとエンジェルはコインをエサにコロヴォスを呼び出し、コンテナに閉じ込めてキプロスへ出荷。ディアコスは何者かに殺されていた。
……というのが前回までのあらすじ。
キプロスへ送り出したはずのコロヴォスが、いつの間にかNYに戻って来て殺されてしまう。キプロスで拘束を逃れてNYに戻っていたのか、それとも領海を出る前に脱出できたのか。出土品を密輸する組織の全貌は明らかになるのか? と思っていたら、どちらの謎もよくわからないまま、教授の関与とステラの母親の件だけが解明されて終わってしまった感じ。
最初の印象とは全然違う話になって終わる――という展開は珍しくない。NYでも、333ストーカーやタクシーキラーがそんな感じで終わっていった。方針転換したために矛盾点や未解決の謎がそのままになってしまい、消化不良のまま終わってしまうのも、今回と同じ。コロヴォスとディアコスを裏切った仲間って、パパコタ兄弟のことだったのだろうか? でも、いくら何でも自分や弟の悪事を警官であるステラに話すかな?
ステラが孤児になった経緯はわかったが、ギリシャ人の母親が仕事でNYで滞在中に事故死したのに、娘のステラはギリシャに送り返されなかったのだろうか。また、ギリシャ人とイタリア人の混血という設定はまだ有効なのか、「ボナセーラ」という名前の由来は……と、こちらも消化不良。
想像で補完して良いなら、ステラ母はイタリア系アメリカ人のボナセーラさんと結婚したので、ステラはアメリカ国籍も持っていた(ギリシャの国籍法については知らんけど)とか、あるいは母親が事故にあった時に現場の混乱で迷子になり身元不明のまま施設に収容され、教授が探し出した(けど引き取らなかった)とか。そんな所か。
エピソードの展開がめまぐるしくて、見ている間は流れを追うのが大変だったが、終わってみると「何だったの?」という感じの話だった。
— Yoko (yoko221b) 2015-01-30