Table of Contents
CSI: NY - Season 6, Episode 14
#131 Sanguine Love
- 邦題:「血族」
- 脚本:Carmine Giovinazzo
- 監督:Norberto Barba
- 初回放映:2010-02-03
事件概要
エステル・クリステンセン
セントラルパークで若い女性の遺体が発見される。首に傷があり、一見して出血は少ないようだったが、雪を払いのけてみると血溜まりが隠れており、やはり失血死であるとわかる。傷は小さいが形が独特で、また耳を食いちぎった形跡があった。手首には変わった形の傷跡があるが、かなり古いもので死因とは無関係。
被害者のそばにあったカメラのフィルムを現像し、撮影場所をたどって行くと、公園に近いアパートへと行き着いた。被害者はそこの住人、イギリス出身のエステル・クリステンセンと判明。夕方に公園で写真を撮るのが日課で、普段は恋人のキース・ボルゲーゼと一緒だが、昨日に限って一人だったという。また、キース以外に中年男性が何度か部屋に出入りしていたことがわかる。
エステルの傷口からは、複数の男女の血液が検出される。そのうちの1人はタトゥーアーティストのビリー・ジェームズとわかるが、ビリーが所持するタトゥーガンは凶器ではなく、ビリーにはアリバイもあった。
シドは、エステルの手首の傷の形状に注目し、「サングィン・ヴァンパイヤ」というカルト団体の儀式で付けられる傷跡であることを突き止める。エステルもビリーも、そしてエステルの父親も同じカルト団体のメンバーだったのだ。エステルのアパートからは、カルト団体の儀式と思しき場面の写真が発見される。そしてエステルの部屋に出入りしていた中年男性は、その団体のNYにおける指導者ジョーゼフ・ヴァンスだったとわかる。
フラックらはヴァンスを逮捕し、アンク(カッティングの儀式に使用する尖ったエジプト十字架)を押収。アンクはエステルのキズの形状と一致し、まだ新しいエステルの血液も検出される。さらに、ヴァンスの自宅の冷蔵庫からはエステルの耳の一部も発見される。だが、エステルの耳に付着していたDNAはヴァンスではない。ヴァンスは無実を主張し、耳は警察が置いたものに違いないと言い出す。
アンクから検出したDNAは、エステル、キース、ヴァンスの3名の物。キースも確かに集会に参加したことはあるが、カルトに入信したわけではなく、手首に傷もなかったのでDNAが検出されるのは不自然。
証拠を突きつけられたキースは、自分には理解することも入ることもできない聖域がエステルにあり、その聖域が彼女と自分を隔てていることに苛立ちを募らせたことを認める。そして彼女を襲い、夢中になって殺してしまい、ヴァンスに罪を着せようと工作を行ったのだった。
感想
ダニー役カーマイン・ジョヴィナッツォが脚本を担当。シーズン5では「乱気流」でゲイリー・シニーズが原案(Story by)で脚本に参加、「偽りの地、ギリシャ」でメリーナ・カナカレデスが脚本を執筆(Written by)しており、キャストが脚本にクレジットされるのはこれで三度目。カーマインが脚本といっても、別にダニー中心のエピソードではないので、まぁごく普通のエピソードって感じかな。カーマインのバンド、Ceesau の曲が使われていたのはご愛嬌。
ハンガリー(ルーマニア)のヴラド・ツェペシュから連なる「本家ヴァンパイヤ」集団という素材はとても面白いと思うのだが、犯行の様態がいまいち説明不足な感じ。キースは「やりすぎた」というが、最初からヴァンスに罪を着せるつもりでアンクを持っていたのだろうか? それとも、殺した後で罪を着せようと思いついたのだろうか。後者であれば、いったんヴァンスの家に行ってアンクを取ってこなければならない。そうなると、死後少し時間が経ってからアンクで刺し直したことになるので、生活反応のない傷ができたのではないのだろうか。また、切り取った耳をヴァンスの家に仕込んだのはいつなのか。ヴァンスの自宅はそんなに都合よく無防備なのか。CSIのエピソードとしては、そのあたりをもう少し説明してほしかった。
ここで登場するエジプト十字架は、十字架の上の部分が丸い、♀みたいな形のマーク。エジプト十字架って、「T」みたいな形だと思っていたのだけど、違うの? エラリイ・クイーンの『エジプト十字架の秘密』ではT字形だったはず――というか、♀の形だと事件と合わなくなってしまうよ。アンクは「永遠の命」を表すというが、東欧起源のヴァンパイヤがわざわざエジプトのシンボルを使うのはどういうつながりなのだろう。エジプトはあまり吸血鬼とは縁がなさそうな印象があるのだが……。