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csi_ny:s07:150_shop_till_you_drop

CSI: NY - Season 7, Episode 10

#150 Shop Till You Drop

  • 邦題:「聖なる夜の贈り物」
  • 脚本:Trey Callaway, Aaron Rahsaan Thomas
  • 原案:Adam Targum, Christopher Silber
  • 監督:Skipp Sudduth
  • 初回放映:2010-12-03

事件概要

リチャード・グロスマン

クリスマスシーズン到来。ジョーのショッピングに付き合わされたマックは、デパート前の混雑の中でスリを発見し、取り押さえる。その直後にデパートのホリデイウィンドウが公開されるが、そこには頭から血を流す男性の遺体があった。

被害者は店長のリチャード・グロスマン。現場の血痕から犯人が怪我をしたらしいとわかり、血染めの足跡をたどってみると、犯人は化粧品カウンターのコットンと化粧水を使って化粧室で応急手当をしたらしいとわかる。

マックとジョーが取り押さえたスリ、ハウィー・サイモンの上着には血液が付着しており、調べてみると化粧室にあったコットンの血液と一致する。ハウィーは「デパートの中で女性にぶつかった」と主張。防犯カメラの映像を調べてみると、確かにハウィーが誰かにぶつかっていた。ジョーは映像を拡大し、デパートへ行く途中でその女性を見かけたことを思い出す。公園で雪の中に寝そべってスノーエンジェルを作っていた女性だ。

ジョーは公園に戻り、その女性がまだいることに気づいて驚き、彼女を連行する。

その女性はグロスマンの補佐をしていたアレーナ・メイブルック。現場にいたのは確かにアレーナ本人だとわかるが、彼女は口をとざしたまま、何があったか語ろうともしない。アレーナは品行方正で犯罪とは無縁だが、2週間前に銀行口座を空にしてアルバ島行きの片道チケットを買っていたことで、計画的犯行の可能性も生じる。

しかし、殺害前にアレーナがグロスマンと争い、激しく抵抗していたことが防御創から裏付けられ、さらにグロスマンが大勢の従業員からセクハラで訴えられていたことなどがわかり、正当防衛の可能性が高いと判断され、アレーナは釈放。さらに調べを進めてみると、アレーナは半年前に突然婚約を解消した後、週の勤務時間を大幅に増やし、女性の同僚たちのセクハラに対処したり、シングルマザーの同僚の仕事を肩代わりして早く家に帰れるよう尽力していたことがわかる。

アダムは現場で発見されたUSBコネクタを調べ、小型ビデオカメラの付属品であることを突き止める。だが現場にカメラ本体はなかった。マックは、ハウィーを捕らえる前、彼がカメラを持っていたことを思い出す。ハウィーは逮捕される前にカバンを隠していたが、そのカバンはビデオカメラとともに側溝の中から発見される。

カメラのメモリーカードを調べると、中にはアレーナがレジから現金を盗む場面が録画されていた。アレーナは同僚たちに代わってレジを閉める作業を一手に引き受け、少しずつ現金を抜き取っていたのだ。10ドル未満の金額ならば、合わなくとも誤差として見逃される。だが、100台以上のレジから半年にわたって盗み続けると、総額は25万ドルにも及ぶ。グロスマンはそれに気づいて現場を撮影したものと思われた。

そこでリンジーが新たな発見を報告。血液が増幅できないことから、病歴を調べてみたところ、アレーナは白血病を患っており余命はあとわずかだというのだ。

ジョーは公園にアレーナを呼び出して事情を聞く。アレーナは半年前に病気を告げられ「余命3ヶ月」と言われていた。そこで婚約を解消し、自分に残された時間を同僚たちのために使おうと決意。景気悪化でデパートは人員削減を計画していたのだ。アレーナ自身は解雇予定者ではなかったが、同僚たちの多くは解雇予告も一時金もないまま、年末までに路頭に迷うことになる。そこでアレーナは彼らのためにできるだけのことをしようと、盗みを始めたのだった。それをグロスマンに気づかれ、黙っていることと引き換えに身体を要求された。一度きりだと思っていたが苦しみは終わらず、アレーナはついに限界に達し、グロスマンともみ合って殺害してしまったのだった。警察署で黙秘を続けたのは時間稼ぎのためだった――。

ジョーは事件を窃盗課に送るが、捜査が始まるまでアレーナの命は持たないかもしれない。その頃アレーナの同僚たちには、多額の現金が届けられていた――。


感想

シーズン中盤恒例の、雪景色エピ(実際には10~11月のLAで撮影しているわけだけど)。この景色が出ると、ああ今シーズンも折り返し点に来たのだなぁと思う。今年はデパートのホリデイウィンドウのお披露目があって、特に華やか!

雪の中で手足をパタパタさせてスノーエンジェル(天使のシルエット)を作っている女性がいて、最初に見た時は微笑ましいというより「大丈夫かしらこの人?」と思ってしまったのだが、真相がわかってからもう一度見てみると、彼女の表情にまったく違う意味が与えられているように思えた。

あの表情には、人を殺して茫然自失というショックと、グロスマンの脅威がなくなったという解放感、そして諦めていた雪景色を満喫できたという喜びが同居していたのだろうと思う。半年前に「余命3ヶ月」と宣告され、今年のクリスマスにはもうこの世にいないものと思っていたら、それより長生きできた。時間ができたおかげでちょろまかす金額も増えたし、高飛びの準備もできたし、恨み重なるグロスマンはぶっ殺したからもう思い残すことはないわ! みたいな。降り積もる雪で自らの罪悪は覆い隠され、このまま自分も天に上っていくような幻想的な気持ちもあったかもしれない。

盗んだ現金が店員たちに配られるシーンはクリスマスに相応しい、美しい結末だったと思うが、あれはどういう体裁で渡したのだろう。不審な現金がいきなり送られてきたら気持ち悪いじゃん? 変なお金で、誰かが取り返しに来たら、とか思うと怖い。宝石入りのバッグを拾ったために殺された人だっているんだぞ! あの事件ニュースになったでしょ? デパートからの特別ボーナスみたいな形にしたのだろうか。それなら店員たちは喜んで受け取ったかもしれないが、その後解雇通知でどん底に落とされることに……。横領の影響で解雇される人員が増えているかもしれないしなぁ。

結局、アレーナがグロスマンを殺した件は正当防衛で決着したのだろうか。横領の方は窃盗課に回されたので、アレーナが死亡してもいずれ捜査は始まるだろう。皆に配った現金、結局は返さなければいけなくなるのではなかろうか。どうせきれいにまとめて終わるなら、新しい店長と店長補佐のもとで体制を刷新して人員整理も見直すらしい、ぐらいの台詞が入っていた方が良かったかも。

下掲の「レインディア・ゲーム」はクリスマス&シニーズつながりということで。もうひとつ共通点がないこともないけど、ネタバレにつき自粛。


使用楽曲

  • “Baby, It's Cold Outside” by Dean Martin with Martina McBride (冒頭)
  • “All Fall Down” by Quivver (John Graham) (ラボでの分析場面)

Yoko (yoko221b) 2013-06-09

csi_ny/s07/150_shop_till_you_drop.txt · Last modified: 2024-03-02 by 127.0.0.1