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CSI: NY - Season 7, Episode 12
#152 Holding Cell
- 邦題:「出口を求めて」
- 脚本:Bill Haynes
- 監督:Scott White
- 初回放映:2011-01-14
事件概要
ミゲル・マルティネス
クラブのプロモーター、ミゲル・マルティネスが自宅で腹部を刺されて死亡する。恋人のナタリア・サンチェスが発見したが、ナタリアは警察ではなくミゲルの母親に連絡し、その後消息を断っていた。ミゲルはスペイン人で、母親のエバは外交官。エバの兄で、スペイン警察の鑑識主任であるヘクター・バルガスが急遽渡米し、空港からNYPDに通報していた。現場でヘクターの独り言を聞き取ったジョーは、彼がミゲルの伯父であることを知る。
ナタリアはスペイン領事館におり、「現場の扉は開いており、中に入るとミゲルが死んでいた。ミゲルのお母さんに連絡すると、すぐその場を離れろと言われたのでここへ来た」という。
ミゲルの傷は3ケ所で、致命傷になった傷だけ上下の向きが異なっていた。シドは、まだ若く入院歴もないミゲルの背に床ずれがあることを不審に思う。
自宅に押し入った形跡はなく、凶器こそ見つからないものの、争ったような跡も見られない。血痕はすべて上から垂れたものであり、ミゲルは刺された後部屋中を歩き回っているのに、電話で助けを求めようとしなかった。マックは、これは本当に殺人なのかと疑問に思い始める。
ミゲルの母エバが到着するが、シドは「防腐処置の途中で新たな証拠が発見されたので」と遺体の引渡しを拒否。首にロープで締めたような索状痕が浮かび上がってきたのだ。だがそれは約1週間前のもの。
ミゲルの自宅に落ちていたガラス片が手がかりになり、窃盗常習犯であるホームレスのバーン・ジャクソンがその場にいたことがわかる。ジャクソンは現場にいたことは認めるが、ミゲルから「殺してくれと頼まれた」と主張する。頼みに応じて首を絞めたものの、途中で怖くなって止めたのだという。
ヘクターはその話を聞き、ミゲルの父親のことをマックに語る。父親はミゲルがまだ幼い頃に自宅のプールで死亡していた。当初検死官は「死因不明」と断定を避けたため、メディアは「自殺だ」「妻が夫を殺した」と書き立てた。結局、検死官が「溺死」と意見を変えたことで噂は収まったが、ミゲルも父親と同じように死を望んでいたのかもしれない。
凶器のナイフは離れた場所のゴミ箱で発見されていたが、付着していた血痕はすべてミゲルのもの。マックは、ナイフの端に途切れたような血痕があることに気づく。床に落ちた凶器の端に血が垂れたのであれば、同じ血痕のもう半分がどこかに落ちているはず。該当する血痕を見つけ、周囲の指紋を調べてみると、それはミゲルのものだった。ミゲルは自分で自分を刺し、いったんナイフを落としたが、拾い上げてもう一度刺した。その時に刃物の向きが逆になったのだ。
ナタリアは、ミゲルが自殺したことを認める。そもそも、父親がクローゼットで首を吊って自殺したのを発見したのはミゲルだったが、母親が「一家の恥になる」と遺体をプールへ運んだのだった。ミゲルもうつ病を患い、家族から自由になるためにアメリカへ渡り、明るく振舞っていたが、実際には何日もベッドから出られないこともあった。ナタリアは何とか説得しようとしたものの、ミゲルの決意は固く、ついに協力することになった。だが最後の最後でやはり翻意し、止めようとしたが間に合わずミゲルは死亡。そうなった以上は、頼まれていたように凶器を捨て、他殺のように見せかける他はなかったのだ。
すべてを知ったエバは「ミゲルは幼い頃から父親と同じ目をしていた」と認める。
感想
冒頭のクラブシーンが無駄に怖かった。ガスマスクを装着する人、金網の向こうにいる若い男女、天井から噴霧される霧……ガス室を連想させる道具立てで、正体を明かすまで引っ張る引っ張る。もしや今回は毒ガスで大量虐殺かしら、とか身構えていたらミュージックスタート! でクラブだとわかる。頭上からアルコールを噴霧する「ミストキューブ」という仕掛けにはびっくりしたが(下戸の人はマスク持参でないと参加できないね)、でも事件にはほとんど関係なかった。
押し入った形跡がなく、また即死ではなく歩き回っているのに助けを呼んでいない、という所で自殺という真相は示唆されていたと思う。だとすれば誰かが凶器を処分して偽装したことになるが、それができそうなのはあの彼女くらいしかいない。CSI的に重要なのはそれをどう証明するか、という所ぐらいかな。途切れた血痕から凶器が落ちた場所を特定し、被害者本人が刺したことが指紋から裏付けられた。CSI:マドリードのヘクターが結構良い感じ。マックとの連携も上手くいっているし、1回だけのゲストなんてもったいないなぁ。
エバの娘が何のために出てきたのか、よくわからなかった。ナタリアと印象がかぶっているのか、正直最初はいることにも気づかなかったくらい。IMDbを見ると「カルメン」という名前があり、スペインのTVなどでそこそこ実績のありそうな女優さんが演じているのに、台詞の一言もなし(出番カット?)。意味があったのは、エバが最後に抱きしめた所ぐらいかな? その前の場面に「私なら、ぎゅっと抱きしめて離さなかった」というジョーの台詞があったので、カルメンも父や兄と「同じ目」をしていたのかも。でも、それならいっそのことナタリアの役割をカルメンと統合しても良かった気がする。