CSI: NY - Season 8, Episode 7
#169 Crushed
- 邦題:「毒牙」
- 脚本:Kim Clements
- 監督:Duane Clark
- 初回放映:2011-11-11
事件概要
リビー・ドレイク
若者たちがパーティに集まり、騒ぎすぎたせいでバルコニーが落下。下にいた高校生のリビー・ドレイクが死亡する。リビーはその家の住人で親は旅行中。最初は友だちだけを呼んでいたが、ネットで情報が広まり、最後は何百人もの若者が集まっていた。
バルコニーの建材や構造には問題なし。60名もの若者がすし詰め状態になって飛び跳ね、そこに大理石のテーブルまで運び込んだため重量オーバーになった。テーブルを運んだ者が過失致死罪に問われる可能性があった。
リビーは窒息死だったため、バルコニーとともに落下して押しつぶされたと思われたが、詳しく調べてみると、落下した時に起きるはずの骨折がなく、舌骨が折れていることがわかる。リビーは何者かに首を絞められて殺され、その上にバルコニーが落ちたのだ。また、リビーは首にネックレスをかけていたが、その跡が首についていないことから、犯人が死後にネックレスをかけたものと思われた。
リビーの部屋を調べると、アクセサリーが盗まれ、代わりに「#WORDSRDEAD(言葉は死んだ)」と印刷された紙片が残されていた。それはネットで有名な窃盗犯のサイン。パーティに出没し、どさくさに紛れて窃盗をはたらき「#WORDSRDEAD」というハッシュタグを後に残す。犯人はブログまで開設しており、アクセス経路からデパートの警備員、ミッキー・ナッシュの仕業とわかる。
ミッキーは窃盗は認めるが殺人は否定。ミッキーが盗んだアクセサリーを調べると、リビーが身に着けていた物と同じネックレスがいくつも発見される。
ダニーはリビーのパソコンを調べ、「CHERRY BOMB」という悪趣味なサイトを発見。それは、クラスの中でまだヴァージンの女子生徒を標的に選び、おしゃれをさせて持ち上げ、人気者のグループに入れたと思わせてパーティに呼び、自分のボーイフレンドを使って初体験を経験させ、それを露骨に描写して笑いものにするというサイト。ネックレスは標的に選ばれた女子の目印であり、現場で撮影された写真にも、同じネックレスを着けた女子生徒が写っていた。
写真の少女、エリン・ワトソンはその夜のパーティに来てはいたが「すぐに帰った」と言い、自分がかげで笑われていることには気づいていない様子。別の標的だったケイトは「もう関わりたくない、あんなパーティに行くぐらいなら死ぬ方がまし」と関係を否定。
リビーが身に着けていたネックレスからは、リビー以外の女性2人のDNAが検出されていた。ひとりはケイト。もうひとりは不明だったが、ケイトと血縁関係のある女性とわかる。また、部屋の窓枠に付いていたグリースが、陸上選手の使う物であることがわかり、ダニーは病院でマラソン大会の話をした少女を思い出す。
その少女レイチェルはケイトの異父姉。レイチェルはケイトが笑いものにされて傷ついたことを知り、リビーに直談判するためにパーティに乗り込んだが、かえってバカにされて怒り、その場で思わず首を絞めて殺害してしまった。そこで誰かが来たので見つからないように窓から遺体を外に出したところ、その上からバルコニーが落ちてきたのだった。
アリー・ランド
フラックは分署に被害を訴えに来た女性から話を聞く。彼女はアリー・ランドと名乗り、前の晩にジョン・カーティスという男にレイプされたと言う。
担当したリンジーは、アリーが売春婦であることを知る。カーティスは、相手が売春婦なら訴えないだろうと油断して名を告げたものと思われた。精液、体毛、皮膚などの証拠はまったく見つからなかったが、アリーの血液からはGHBが検出される。
ジョン・カーティスはジョーがFBI時代に担当した事件の容疑者。被害者は上院議員の娘で注目された事件だった。下着に付着した微量の精液のDNAが決め手になったが、ジョーの同僚がDNAの検査でミスを犯していた。ジョーはミスがあったことを公にせざるを得ず、そのために証拠は排除されカーティスは無罪になっていた。
感想
珍しく事件2つの構成だと思ったら、Bプロットの方はジョーの宿敵が関わる話だった。こちらの方はまだ解決せず、次回へ続くようだ。前回が何だか間延びした感じだったので、2つくらい事件を入れた方が時間配分的に良いのかもしれない。少なくとも夫婦漫才よりはずっと良い。
以前にDCで起きた事件では、検査ミスで犯人が無罪になっていた。ジョーはそのことをずっと気にしていたのだろう。リンジーとの間でちょっとトゲトゲしいやり取りがあった。
「私でも責任を感じたと思う」と言うリンジーに対して「私は正しい判断をした、責任を感じる必要などない」と怒るジョー。その判断に限定すれば正しいかもしれないが、でもこれは、やはり責任を感じるべきなんじゃないかと思う。隠蔽するべきだったという意味じゃなく、ミスをカバーする手段を持たなかったこと、他の証拠をあげられなかったこと、その結果としてレイプ犯を野に放ち新たな被害を生んでしまったことに対して。
でも最後の方で、ジョーが「本当は責任を感じていたのであのように感情的になったのね」と認め、和解してくれたので良かった。そしてホークス先生がまた「恋人がレイプされた」とか言い出すかと思ったが、それはなかった。担当でないからかもしれないが、このままホークスは事件に関わらずゴチャゴチャ言わずにいてほしい。あのエピソード本当に要らなかったと思う。
メインの事件は、高校生たちのバカ騒ぎがどんどん膨れ上がって収集がつかなくなったための惨事。ここで怪我をした子たちは、当分パーティどころではないだろうし、良い薬かも。亡くなったリビーの方は、バルコニーに押しつぶされたわけではなく、怨恨による殺人。それも、かなりひどいいじめを続けており、あまり同情できる被害者でもない。それよりも、最低な初体験で人間不信になったケイトが可哀想だった。
ぐちゃぐちゃになった室内を見てダニーが「ジョーのオフィス」と言ったのは笑った。