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CSI: NY - Season 8, Episode 11
#173 Who's There?
- 邦題:「仮面の下」
- 脚本:Bill Haynes
- 監督:Vikki Williams
- 初回放映:2012-01-13
事件概要
ロン・ファーガソン
高級アパートに2人組の強盗が押し入り、自宅にいたロン・ファーガソンと妻のエリザベスを襲って縛り上げ、ロンに金庫を開けさせる。ロンは隙を見て反撃しようとするが、強盗に頭を殴られて昏倒。エリザベスは寝室に閉じ込められ、強盗が逃げてから通報した。警察が駆け付けた時には、夫はすでに死亡していた。娘のメーガンは映画を見に行っており、帰宅してショックを受ける。
強盗は、荷物の配達を装って押し入っており、小道具に使った段ボールが残されていた。その付着物から用途がわかり、扱った会社を調べてみた結果、強盗のうち1人はマーク・ジョンストンと判明。マークは「こんなはずではなかった」と言い、共犯者の正体については固く口を閉ざす。
ロンは不動産王で、共同経営者のロスとの間に諍いがあったことがわかる。夫妻は離婚協議中で、ロンは「妻に財産を渡すくらいなら」と、財産の投げ売りをしていたのだ。
さらにロンの携帯電話を調べると、エヴァ・ハットンという愛人らしき女性に妻の殺害をほのめかすメールを送っていたことがわかる。エヴァ・ハットンの身元はすぐにわかるが、彼女はまったく身に覚えがないという。SNSに開設されていたプロフィールページのデータはエヴァの物だが、作成時のIPアドレスなどを調べてみたところ、プロフィールページを作ったのはエリザベスだったとわかる。エリザベスは離婚を有利に運ぶため、架空の愛人をでっち上げていたのだ。
ロンの死因は、当初は頭部の損傷と思われたが、検死の結果、窒息死と判明。気道からは白い綿の繊維が発見されたため、枕のようなものを鼻と口に押し当てて窒息させたものと思われた。
また、ロンの服にはトランプの切れ端が付着しており、そこからルートビアが検出される。成分を調べた結果、小規模の会社で製造している自家製のルートビアで、メーガンが行っていた映画館に納入されていることがわかる。そこでは「ロッキー・ホラー・ショー」が上映されており、観客が小道具を持ち込んでお祭り騒ぎをしながら鑑賞していた。トランプの切れ端も、小道具のひとつであると思われた。その映画館では事件の日が初めての上映であったため、犯人がたまたま他の日に鑑賞していたという可能性はない。映画館の映像には、劇場に入るメーガンは映っていたが、帰るところは映っていなかった。裏口から抜け出し、ボーイフレンドのマイクとともに自宅に押し入っていたのだ。
メーガンは、両親の泥沼離婚に耐えられず、マイクと一緒に暮らしたいと望み、傷つけず金だけを奪うつもりで押し入ったことを認める。だが、ロンの殺害については強硬に否定する。
メーガンでないとすると、犯行が可能だったのはエリザベスしかいない。エリザベスが来ていた白いシャツを調べると、ロンの顔の形に皮脂の痕跡が浮かび上がる。エリザベスは強盗が去った後に通報しようとしたが、そこで「泥沼離婚よりここで殺した方が簡単」と、夫の顔に自分のシャツを押し当てて窒息死させたのだった。エリザベスは、ロンが「エヴァ」に送った殺害計画メールのことで「殺さなければ私の方が殺されていた」と言うが、ロンは「エヴァ」の正体にはとうに気づいていた。それを知ったうえで、冗談であのようなメールを送ったのだった。
感想
捜査のためとはいえ、プロフィールページを勝手に作られてしまうなんてイヤだ。しかもあんな詳細な……。「他人でも作れる」ことを示すなら、もっと簡単なものだけで良いはずだし。
エリザベスは自分で「エヴァ」のページを作成した。つまり、ロンとエヴァの間に何も接点がなかったことを知っている。なのに、ロンが殺害計画メールを送っていることをどう解釈したのだろう。「知らん相手からネット上で恋人扱いされ、舞い上がって妻を殺そうとした」というのもいささか現実離れしているので、これはエリザベスが自分を正当化するための強弁だったのだろう。もっとも、「妻に奪われるくらいなら」と財産を叩き売ってしまうぐらいだから(自分の分は海外口座に確保したとしても)、そういうこともやりかねない人だったのかもしれないが。
荒廃しきった家族関係は異常な感じがしたが、事件としては容疑者も限られていて、さほど複雑でもなかった。そのせいか、現場検証シーンが妙に長く間延びして感じてしまった。ダニーがトランプを使った手品をするので、何か意味があるのかと思ったらなかったみたいだし……。どうもこのシーズン、制作者サイドも「今シーズンで終わり」と覚悟しながら作っていたのか、全体を通じて「覇気がない」印象がある。
でも「シャツに浮かび上がるデスマスク」は怖かった! この場面は良かったと思う。ここだけだけど。
ラストシーンでは、マックのプロフィールページ宛に友達申請が届く。誰から? というところで「次回に続く」的に終わってしまったのだが、誰なのだろう。前回の女性記者だったら、ちょっとウザいかも。