Table of Contents
CSI: NY - Season 8, Episode 12
#174 Brooklyn 'Til I Die
- 邦題:「ブルックリンに死す」
- 脚本:Aaron Rahsaan Thomas
- 監督:Eric Laneuville
- 初回放映:2012-02-03
事件概要
ミシェル・ルイス
ドレス姿の女性が路地で射殺される。FBIの身分証と拳銃を所持していたが、身分証は偽名を記載した偽物、拳銃もおもちゃだった。その近くで男性の靴の片方と別の偽身分証が発見される。男女2人連れで、男性の方が犯人に拉致された可能性があった。所持品の中には、口紅に偽装した小型カメラがあり、ギャンブルをする男の姿が映っていた。
被害者の足に付着していた薬品や食材などの痕跡から足取りがわかり、2人がいた場所がわかる。そこへ踏み込んでみると、中はバカラ会場のようで、映像の男もいたが「これは全部芝居で、ゲームをしているだけだ」という。被害者とその連れの男性は宝探しゲームの参加者で、偽の身分証や拳銃などもゲームの小道具だった。被害者の氏名はミシェル・ルイス、連れの男性は大富豪の息子のプレストン・セヴィルJr.とわかる。
父親のセヴィルの屋敷を訪ねると、少し前に「息子を預かっている」というメッセージが切り取られた指とともに送られてきていた。FBI捜査官やセヴィル氏が雇っている護衛たちも捜査に加わり、やがて身代金の要求が届くが、セヴィルは「私は一代で財産を築いた。息子のために金を出す気はない」と突っぱねる。プレストンJr.は大富豪の息子でありながら父親に反発し、ウォール街のデモに加わったりしていた。
犯人の要求は、400万ドルを4つに分けて4ヶ所に置けというもので、NYPDはFBIと協力して現金バッグを用意するが、4ヶ所のどこにも犯人は現れない。マックは、これは人員を分散させて警備を手薄にするのが目的だと気づき、セヴィル邸にいるジョーに連絡するが、その頃セヴィル氏は自分の書斎で警備員に銃を向けられ、400万ドルを送金するよう脅されていた。
マックの連絡で事態に気づいたジョーが声をかけると、偽警備員は中から発砲して逃走。幸いにも送金する前だったため、まだ金を手にしていない以上息子が殺されることはないだろうと思われた。案の定、犯人からは倍の800万ドルを要求する電話が入る。
一方、ラボではミシェルのドレスとプレストンJr.の指に付着していた微細証拠の分析が続けられ、ドレスからは連続殺人犯に殺された被害者の歯の欠片、指からは卵の殻と海藻が検出される。歯の欠片は、有名な殺人犯にまつわるグッズを扱う店で販売している庭の土であると思われた。被害者を殺して庭に埋めていたので、歯の欠片が混入していたのだ。また、卵の殻と海藻は植物園の温室に使われているもの。両方に関わる人物を絞り込んだところ、「ウィリアムズ」という共通の姓が発見される。温室を管理しているメイブル・ウィリアムズの息子ジェイムズが土を購入していたのだ。
警察はウィリアムズ家に踏み込み、拘束されているプレストンJr.を救出する。
ジェイクとその兄弟のジョージは、身なりの良いカップルを見つけて強盗しようとしたが、ゲームの一部だと思ったミシェルが銃を出したため、撃ってしまった。焦ってプレストンJr.を拉致し、彼が富豪の息子であることを知り、身代金を得て逃亡するつもりだったという。拉致した時の乱暴なやり方に比べて、身代金の要求が手のこんだ方法で行われていたのは、シナリオを考えたのがプレストンJr.本人だったため。
プレストンJr.は父親を嫌い、そんな父の息子であることを忘れたくてゲームの中で別人になりきろうとした。そして、父親は自分のためには金を出さないだろうと確信し「金を奪う気なら本人に銃を突きつけなければ無理だ」と言って、兄弟に計画を伝え、警備員になりすますために必要なセキュリティコードを教えたのだった。
感想
謎めいた強盗事件が誘拐事件へとつながり、ちぐはぐな手口に最初は首をひねるが、そのうち「黒幕」が誘拐被害者本人であることがわかり――というアイデアは良いと思う。だが……やはりこのエピソードも、細部のツメが甘くないかな?
脅迫の手口がプレストンJr.本人の発案だった、というのは良い。でも、自分の指を切ることまで同意したのか、お父さんと疎遠なのになぜ最新のセキュリティコードを知っているのか(普通は時々変更するでしょう)、緻密な計画を立てられない実行犯兄弟があれほど鮮やかに脅迫・発砲、逃走をやってのけられるのか、そもそもお父さんが事件を通報せず警備を手薄にすることもなかったらどうするのか。
なりきりゲームで遊んでいました、というのは他シリーズも含めて今まで何度か出て来た話なので、新規性がないのは確かだが、使い方次第で面白い話にできたのではないか。連続殺人犯のグッズ販売も同様。もう少しホラーっぽい話でうまく使えたような気がしないでもない。あるいは、「サムの息子法」の抜け道的に使われているというような話でも。
警察が踏み込んでも高いびきだった実行犯ママンは良いキャラになりそうだったが、活躍する場面がなく残念。あのママンも、絶対ただの公園管理人ではないような気がする。
感想が残念残念の繰り返しになってしまったが、要するに個々のパーツには、それぞれすごく面白くなりそうな可能性があったということなのだ。脚本家がんばれ~。
そうそう、忘れていたが前回マックのプロフィールページを見て友達申請してきたのは、クリスティーン・ホイットニーという女性。制服警官だった頃のマックがパートナーを組んでいた、スタン・ホイットニーの妹で、スタンが殉職してからずっと疎遠になっていたとのこと。このクリスティーンがマックの恋人候補なのだろうか。まぁ、恋愛話のあれこれは、事件とは関係ないところで仄めかす程度に進めてくれれば良いのだけど、前々回あたりで思わせぶりに出て来た女性記者と三角関係になる、とかいうのは止めてほしい。