CSI: NY - Season 8, Episode 18
#180 Near Death
- 邦題:「死の淵にて」
- 脚本:Zachary Reiter, Pam Veasey
- 監督:Alex Zakrzewski
- 初回放映:2012-05-11
事件概要
連続銀行強盗事件
3人組による銀行強盗事件が連続して発生していた。今までは人的被害を出さず金だけを奪っていたが、今回は警備員が反撃し、客の女性が撃たれていた。現場にはMP3プレイヤー内蔵のサングラスが落ちており、アカウントからルーク・シェルトンが逮捕される。ルークは「サングラスはどこかで失くした」と犯行を否定。
防犯カメラの映像に顔は映っていない。腕の血管パターンを照合してみたところ、ルークとは別人であると判明。だが、犯人が着ていたネルシャツは、生地の柄などからルークが購入した物に間違いない。犯人はルークの祖父のハンクだった。ハンクは「自宅で静かに一生を終えたい」から、在宅ケアにかかる費用を得るために強盗をしたことを認め、激しく咳き込み始める。マックは処方箋を持って薬局へ薬を買いに行く。
マック・テイラー
マックが薬局へ行くと、若い男が店主に銃を突き付けてオキシコドンを要求しているところだった。マックはその場に割って入り、強盗犯を射殺。その直後、店に若い女性が入って来たため、通報するように言うが、実はその女性は強盗犯の仲間で、マックは背後から撃たれてしまう。女性はカウンターに散らばっていたオキシコドンを奪って逃亡する。
マックに射殺された強盗犯はダリウス・コール、そして女性はカウンターに残っていた掌紋のDNAから、ダリウスの恋人ティーナ・ミルフォードと判明。ティーナは警察の追跡に気づいて逃亡するが、やがてバスの操車場に追い詰められて逮捕される。
手術を受けたマックは死の淵をさまよい、亡き妻クレアやチームのメンバー一人一人と言葉を交わす。いったんは死を覚悟するが、クレアの励ましで一命をとりとめる。意識を取り戻したマックの傍らには、祈りを唱えるクリスティーンの姿があった。
半年後、マックは無事現場に復帰する。
感想
前年に続く、打ち切り覚悟シーズンフィナーレの第2弾。この年はたしか、本家ベガスだけは早めにリニューアルが決まったが、マイアミとNYはクリフハンガー禁止令が出たまま5月まで「沙汰待ち」になっていた。特にNYは、前年のフィナーレがアレだったので、今度こそ終了すると思っていた人は多かったと思う。
しかし最終的にCBSの決断は、マイアミをシーズン10で終了し、NYをシーズン9へ更新するというものだった。理由は、マイアミの方が製作費が高いということらしいのだが(高いのはほっさんのギャラかな?)、両者を見比べてみると、確かに製作費くらいしか理由として納得しがたいなという印象。それくらい、ここ最近のNYは面白くなかった。私が個人的に「初期シーズンびいき」なのは確かだが、その点を差し引いても、やはりもう限界が来ていたように思う。昨シーズンは、最初のうちはジョーの加入で勢いを取り戻した! と喜んだが、それも一時的なもの。ジョーの周辺を語りつくすと、また以前の調子に戻ってしまっていた。
シリーズを締めくくる最終回としても、今回より前年の方が良かった(どちらもそうはならなかったけど)。事件捜査の描写がしっかりとあって、なおかつ職場を去ろうとするマックの姿が余韻を残す終わり方だった。敢えて言うが、NYは昨シーズンのフィナーレで終了しても良かったのではないか。そして同時多発テロ10周年の話は、独立したTVムービーだったら良かったのにと思う。
NYはこの後もう1年継続し、次のシーズン9でようやく終了することになる。おそらく来年、最終シーズンを見る(看取る)ことになるだろう。だが、ここ2~3年の様子を見る限り、ストーリーの面白さや勢いが盛り返すことはもうないのではないかと思う。この予測が外れるなら嬉しいが……。
さて愚痴はこれくらいにして「過去シーズンの消された事実」を、ちょっとおさらいしてみよう。
今シーズンのプレミアから4話「疑惑の銃弾」までの流れを見ていて、「過去シーズンで都合の悪いことは、なかったことにする」という方針が取られたのではないかと考えた。マック周辺のペイトン、オーブリー、リードなどの存在や、ダニーを執拗に追っていたシェーン・ケイシーの存在がまるでなかったことのように扱われていたからだ。
では、その他の事実はどうなっているのか。
まずはリンジーだが、モンタナでの暗い過去の設定は抹殺対象?「私たちはいつも、被害者家族に対して犯人逮捕を約束するけれど、そんな言葉は慰めにならない」ということが、被害者の側に立ってみてわかったというのだけど、あなた十代の頃、大量殺人事件に巻き込まれて友だち全員殺されたことがあったでしょう。それって被害者の側じゃないの?
リンジーの「暗い過去」話はあまり好きじゃなかったので消えても良かったが、それよりもフラックのあの件を消してほしかった。フラックがシーズン5フィナーレで、ジェシカを殺した犯人を、正当な理由なく射殺した件。これは今回、マックの幻覚の中で言及されたので、消されていないこと確定。フラックが一線を越えたのも、マックがそれを見て見ぬふりをしたこともイヤだけど、同じような動機から殺人を犯した一般市民を当然のように逮捕し、これが正義だという顔をしているのが何よりもイヤだ。これだけは、絶対にやってはいけなかったと今でも思っている。
ホークスとカミーユの交際はまだ続いている様子。これはまぁ……交際だけなら良いけど、仮病を使ってデート、みたいな色ボケ展開は禁止してもらいたい。
こうして見ると、抹殺された(忘れられた)過去というのは、マックの女性関係以外にはダニーとリンジーの周辺しかないのか。もっといろいろ忘れてくれても良かったのに。そういえば、クレアさんは今回もリードのことを口にしなかった。
次シーズンに続きそうなネタとしては、億万長者になったシド先生のその後と、ジョーは本当にラナ・グレゴリー事件を捜査するのか? ということぐらいかな。テレビ東京は今年、NYのシーズン8とベガスのシーズン12を続けて放送している。来年もそのペースで放送するのであれば、マイアミとNYの時みたいにクロスオーバーも放送できるだろうか、と今から期待している。1)
それじゃまた来年。