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CSI: NY - Season 9, Episode 17
#197 Today Is Life
- 邦題:「今日を生きる」
- 脚本:Zachary Reiter, John Dove
- 監督:Allison Liddi-Brown
- 初回放映:2013-02-22
事件概要
ティモシー・ブラウン
NYPDの制服警官が2人組の宝石強盗を追跡し、1人を射殺。しかし死亡したのはティモシー・ブラウンという大学生で、身辺に犯罪者とのつながりがなく、銃も持っていなかった。情報がリークされ「誤射ではないか」とマスコミが取り上げる。ティモシーが黒人で警官が白人であることから「人種差別だ」と抗議する市民たちで警察署の周囲は大混乱に陥る。
発砲した警官ケヴィン・ホプキンスとその相棒トレイ・ジェンセンは別々に事情聴取を受ける。ケヴィンはトレイと分かれて単独で片方を追っており、銃撃されたと主張。犯人がポケットに手を伸ばして撃とうとしたので発砲したという。ティモシーは銃を持っていなかったが指輪を手に持っており、犯行に関与した可能性は否定しきれない。
トレイはもう片方を追跡していたが、周囲の騒音が激しくケヴィンの言う銃声は聞いていないという。トレイが追っていた相手は有刺鉄線を乗り越えて逃亡し、現場に残したジャケットからは盗品の宝石が発見される。
警察署の周囲は抗議する市民に取り囲まれてしまっているため、ホークスとアダムが現場へ向かい、ケヴィンはその映像を見ながら「銃撃」された場所へと誘導。現場からは弾の痕と薬きょうが見つかり、ケヴィンの言う銃撃が実際にあったことがわかる。
発見された薬きょうは、ブルックリンで発生した複数の未解決事件にも使用されていた。その他にもブルックリンにつながる証拠が見つかり、ジョーらは強盗犯の顔を見たトレイとともに現場へ向かう。トレイが強盗犯の2人を発見、1人はすぐに逮捕されるがもう1人は逃亡し、近くにあるビルの郵便受けに向かう。犯人の目的は銃だと直感したジョーはその場で発砲し、相手を射殺。郵便受けには銃が入っており、ジョーの判断が正しかったことがわかる。彼らは郵便受けに銃を隠して共有し、使ったら元の場所に返すことにしていたのだった。
一方ティモシーは手に発射残渣もなく強盗とは無関係と判明。所持していた指輪は別の宝石店で購入したもので、交際していた恋人にプロポーズするつもりだったのだ。
ケヴィンは無実の若者を射殺してしまったとわかり、はげしく後悔する。フラックは「しかしもし本当に強盗犯だったとしたら、今頃は君が死んでいた」と諭す。ティモシーの恋人トーリーは悲しみをこらえつつ「いつの日かホプキンス巡査を許せたらと思う。でも強盗犯のことは決して許さない」と述べる。
そして、ティモシーのモットーだった「今日を生き、今日を大切にする」という言葉に心を動かされたマックはクリスティーンにプロポーズし、承諾の返事をもらう。
感想
ようやくたどり着いたシリーズフィナーレ。シーズン9のみならず、「CSI:ニューヨーク」という番組がここで完結した。もう本当に「ようやく」という感じなんだな……ようやく終わってくれた、と正直ほっとする感じがある。
このドラマのシーズンフィナーレは、最初の3シーズンは割と標準的、というか次シーズンに続いても続かなくても通用するエピソードになっていた。フィナーレらしくストーリー展開に力が入っており、各キャラの見せ場や人間関係の描写もあるという、いわば王道パターン。
シーズン4から6はクリフハンガーで終わり、次シーズンの第1話でその続きが語られるという形式になった。フィナーレ制作前に継続が決まっていたかどうかは記憶していないが、まず打ち切りはないだろうという時代だった。
そしてシーズン7。放送枠が水曜から金曜に変わり、少しずつ終了の可能性が見え始め、フィナーレ前には「CBSからプロデューサーに対し、クリフハンガー禁止令が出たらしい」と報じられた。ここでもう一度シーズン1~3のような王道フィナーレに戻っても良かったはずなのだが、この年のフィナーレになった「最後の未解決事件」は、予想以上に最終回テイストの強い話だった。確かこの年、「クリミナル・マインド」のスピンオフである「レッドセル」とこのCSI:NYのどちらか片方が打ち切られるだろうという報道があったように記憶している。裏でどういう話し合いや攻防があったかはわからないが、結局堂々のクリフハンガーで終わった「レッドセル」が打ち切られ、最終回風味でまとめて終わったNYが継続するという結果になった。
次のシーズン8は、911同時多発テロ10周年エピソードで幕を開けた。前シーズンで継続か打ち切りかまだ決まっていなかった頃、継続を強く希望するファンがその理由として多く述べていたのが「次のシーズンは911テロの10周年だから、それを組み込んだドラマを見たい」だったが、制作サイドにも同じ思いはあったのだろう。そしてフィナーレではまたしてもクリフハンガー禁止令が、この時はマイアミとNYの両方に出された。なので、マイアミかNYのどちらかが終わるだろうと予想され、大方の予想は「NY終了」だった。
シーズン8のフィナーレは、マックが重傷を負って生死の境をさまよい、その中でマックにとってCSIの仲間や部下たちがどのような存在であるかが語られ、マックが半年後に回復して仲間たちの待つ職場へ戻っていくという場面で終わっていた。いわば、シリーズ全体を「おさらい」するようなまとめエピ。しかしこの年も、ある意味前年と同じように、まだ未解決の要素のあるマイアミが打ち切られ、最終回風味でまとめて終わったNYが継続することになった。
今シーズンは、もう今度こそ三度目の正直で終わるだろうと思われていて、実際その通りになった。エピソード数は途中で削減され、シリーズを通じて最も少ない17話となり、フィナーレは通常の5月より早く2月に放送。継続を期待させるサインが何もない。で、今度はどんな最終回パターンになるのやらと思っていたら、初期に戻ったかのような王道パターンのフィナーレだった。これだったらもう1シーズン続いても違和感ないぐらいよ。「終わらなさそうなフィナーレで終わったら打ち切り」という、これも前年、前々年の傾向を踏襲しているのかもしれないけど。
いかにも終わりそうなフィナーレを経て見続けるシーズンというのは、見る側にしてみると少々つらい面があった。最終シーズンを3年続けて見させられるようなもので……。最終シーズンらしい、というか「覇気のない」シーズンが続いていたと思う。以前に使ったネタの使い回し、進みそうで進まないストーリーアーク、思い出したような個人ネタの蒸し返し、事件とは関係ないプライベート描写。すべてに勢いが感じられなかった。
やはり前シーズンのフィナーレで書いたように、NYはシーズン7の「最後の未解決事件」で終了し、同時多発テロの10周年企画はTVムービーにして、そこで完結しておけば良かったのではないかと思う。遅くともマイアミとの終了順序は逆であるべきだった。
それにしても、ドラマでありがちなクリフハンガーとして思い浮かぶ「辞職をにおわせる」「生死の境をさまよう」「プロポーズして返事待ち」を、クリフハンガーにせず3年かけてすべて制覇した、というのは、これはこれですごいことかもしれない。
いろいろ言ったけど、「CSI:ニューヨーク」というドラマと、マック・テイラーというキャラクターはすごく好きだった。初期シーズンの方針を維持してくれていたら、もっと良かった。9年間ありがとう、お疲れ様。終わった後も大都会ニューヨークの安全を守っていてほしい。
— Yoko (yoko221b) 2020-04-14