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Dexter - Season 1, Episode 6
#6 Return to Sender
- 邦題:「嵐の予感」
- 監督:Tony Goldwyn
- 脚本:Tim Schlattmann
- 初回放映:2006-11-5
概要
ストーリー
犯罪現場に呼び出されたデクスターは、場所を聞いて顔色を変える。それは、デクスター本人がカスティヨ夫妻を処刑したスクラップ工場だったのだ。行ってみると、海中に投棄したはずのヴァレリー・カスティヨの遺体があった。マスオカは遺体の首に残る注射跡を、ドークスとデボラはキューバ人たちが監禁されていた場所と、その床に彫られた電話番号を発見する。さらに、スクラップ工場の車のトランクには、キューバ人の少年が隠れていた。
少年は「誰かが悪い女の人から助けてくれた」と言う。ラグェルタは少年の話を基に似顔絵を描かせることにする。注射跡に注目していたマスオカは、検死報告書に記されたM-99という強力な麻酔薬に目を留める。これは入手が制限されている薬品で、所持者はすべてDEAのリストに載っているという。デボラは加害者のプロファイリングを行い、「アイストラック・キラーの模倣犯」説を組み立て、デクスター本人にぴったり該当する容疑者像を披露する。
殺人鬼人生最大の危機に見舞われたデクスターは、マスオカのコンピュータを操作して薬品所持者リストから自分の偽名を消し、デボラのプロファイリングに難癖をつけたりと工作をめぐらせる。幸い、主要な捜査の流れは行方不明中の(デクスターが殺害した)夫ホルヘに向いていた。
その一方で、リタの暴力夫ポールが仮釈放されて強引に会いに来たため、デクスターはその対応にも追われることとなる。
デクスターはボートで夜の海に出て、殺人に使う道具一式を海中に投棄する。さらに、完全な証拠隠滅のため、スライドガラスにはさんだ血液コレクションを取り出す。ガラスにはさんだ血液を見ながら、自分がそれまで手にかけた悪人たちのことを次々に思い出すデクスター。そしてカスティヨ夫妻のスライドを取り出してみると、そこにはアイストラック・キラーの仕業と思しきスマイリーが刻まれていた。
デクスターはそこから「彼は自分を追いつめているのではなく、この状況から抜け出せるか試しているのだ」というメッセージを読み取り、解決策を思いつく。いそいでラボへ戻り、スライドにはさまれたわずかな血液をナイフと衣服に付着させ、証拠を捏造したのだった。これで、ホルヘ犯行説が決定的となった。
車で発見された少年はラグェルタになついており、ラグェルタも少年をいっそ自分の養子に、とまで思ったようだが、伯父だという男が現れ、少年は引き取られていった。その少年が見た男の似顔絵を見て刑事たちは一様に驚いた顔を見せる。不安をおぼえつつデクスターがその絵を受け取ってみると、そこに描かれていたのはキリストの肖像であった。
マイアミ警察事件ファイル
- ヴァレリー・カスティヨ殺害事件: もちろんデクスターの犯行。
デクスター被害者ファイル
- No.7 アレックス・ティモンズ: デクスターの回想シーンに登場する被害者その1。スナイパー。
- No.8 ジーン・マーシャル: 回想の被害者その2。放火犯。
- No.9 シンディ・ランドン: 回想の被害者その3。デクスターによると “black widow” とのこと。“black widow” というと黒後家蜘蛛(交尾した後メスがオスを食ってしまう)のことなので、おそらく夫を殺害したのだろう。
感想
え~金魚をトイレに~~~? と、冒頭でまずびっくり。アメリカのドラマを見ていると、色々なものがトイレに流されて行く――切った爪とか映画のチラシとか麻薬とかカエルとか。トイレから何かが出現する話も「X-ファイル」にあったような気がする。
それはともかく、シーズン中盤に来てデクスター大ピンチ。そろそろ何か起きそうだなと思っていたら、何と捨てた遺体が戻って来てしまうとは!アイストラックキラーはデクスターの行動を監視し、遺体を捨てた沖合いまでボートで尾行した(どうやって!?)ということなのだろうか。んで、デクスターとリタが「平凡な生活がいいね~」とか何とか語り合っていた間、遺体を引き揚げて元に戻したりしていたのだろうか。想像するとすごいわ。
そんなわけで大ピンチに見舞われたデクスターが今回の中心になるわけだが、その他にもいろいろ印象深い場面の多いエピソードだったと思う。会話の端々から、ドークスがかつて軍隊にいて湾岸戦争(デザート・ストーム作戦)に参加していたこと、ドークスの家族のこと、リタの前夫のこと、ラグェルタとエンジェルも子どもの頃にキューバから逃れて来た難民だったらしいことなど。
ラグェルタといえば、今回はすっかり優しいおばさんになってしまって。もう原作のイメージはないなぁ。こんな風に持ってくるんなら、デクスターに気があるとかそういう描写は省略しても良かったのでは……。
そのラグェルタが少年に食べさせていた pastelito というお菓子、探してみると
というページを発見。キューバの代表的な家庭料理(というか、おやつ?)のひとつであるらしい。美味しそ~。
この少年が「見た」人物はやはり、デクスターということで良いのだろうか。似顔絵を見ると、キリストを表す記号(ヒゲとか髪型とか)以外の部分はデクスター……かな。実際、目の部分だけを見たデクスターが「見られた」と観念してるし。
あるいは――この少年自身がキリストの使いであるという解釈は可能だろうか。だって何だか現実感がないのだもの。倉庫に閉じ込められていた女性は「子どもはいなかった」とはっきり言っている。ヴァレリーに捕まったところを助けられたというが、前回のエピではそれらしい描写もなく状況がよくわからない。伯父が突然現れたという状況も何だか不自然だ。伯父さんともども、本当は実在してないんじゃないか、とも思えてくる。だとするならば、少年がデクスターに残したメッセージは何だろう。「今日はこれくらいにしといたる」とか?
ところで、デクスターがマスオカのリストから消した偽名 “Patrick Bateman” は『アメリカン・サイコ』の主人公の名前だそうだ。
— Yoko (yoko221b) 2007-10-12