Table of Contents
Dexter - Season 1, Episode 9
#9 Father Knows Best
- 邦題:「父親たち」
- 監督:Adam Davidson
- 脚本:Melissa Rosenberg
- 初回放映:2006-11-26
概要
ストーリー
ドークスはエンジェルとともに車に乗っている途中、ある男に目を留めて声をかける。男が逃げ出したためドークスは後を追い、その後を追ったエンジェルが追いついてみると、ドークスがその男を射殺していた。ドークスは「相手が先に発砲したので応戦した」と言うが、その主張はデクスターの血痕分析と食い違う。エンジェルも発砲の瞬間は見ておらず、ドークスが先に発砲したのではないかと疑う。
デクスターはオフィスで書留郵便を受け取る。デクスター・モーガンの実父が死亡し、家を相続したという。だがデクスターは、生前のハリーから「実の両親は亡くなった」と聞かされていた。デクスターは実父だというジョセフ・ドリスコルについて調べるが、ほとんど記録がなく、どういう人物かはわからない。
週末、デクスターはリタとともにドリスコルの家へ出かける。その後、来ないと言っていたデボラも恋人ルディとともに現れ、4人で荷物を片付ける。
翌朝、デクスターはモルグで「父」の遺体を見る。ボーリングが大好きで物静かな優しい人物だったというが、デクスターは、遺体の腕にクモの巣のタトゥー(刑務所で彫られるもの)があることから、囚人だったのではないかと疑う。その瞬間、デクスターの脳裏に幼い頃の記憶が蘇る――車の助手席に乗っている小さなデクスター、車を運転している男の腕にある、そっくり同じタトゥー。
デクスターはこっそり遺体の血液を採取し、自分の血とともにマスオカに送り、DNA鑑定と毒物検査を依頼する。
デクスターは、幼い頃に大怪我をした時のことを思い出す。輸血が必要になるが、デクスターの血液型はとても珍しい型でストックがない。血液のことで両親が何か言い争っている。その後、命を取りとめたデクスター少年は「お父さんのおかげで助かったよ」と聞かされる。
マスオカから鑑定の結果が届く。ジョセフ・ドリスコルはデクスターの実の父親だった。「パパを信じていなかったの!」とデボラは怒りを隠さない。デクスターは毒物検査の結果を見て、インシュリンを注射されて死んだのではないかと疑う。
注射跡を探すためにデクスターはモルグへ忍び込むが、ドリスコルはすでに火葬されて灰になっていた。そこで警備員に見咎められ、思わず灰を抱えて逃げ出したデクスターは、ルディに助けられる。そこで2人はボーリング場へ行って灰をまく。
戻って来たデクスターは「書類が出てきた」とリタから聞き、箱の中に見覚えのあるカードを見つける。それは、輸血で助かったデクスター少年が書いた “Thank you for the good blood.” (素敵な血をありがとう)というお礼のカードだった。ハリーはやはり、デクスターの実父を知っていたのだ。
デクスターはドリスコルの死の真相が気になり、隣家の老婦人に話を聞くが、ケーブル工事の作業員が来ていたということぐらいしかわからない。週末が終わり、4人はそれぞれ帰路につくが、その時老婦人はルディの顔を見て「ケーブル工事の人だわ」と彼を呼ぼうとする。しかしルディ以外は誰もそれに気づかないままだった。
一方、マイアミ警察ではドークスの発砲事件が問題になっていた。エンジェルは悩んだすえ、内部調査課に疑問を打ち明けるが、その件はいつの間にか不問になってしまった。射殺された男はハイチの「トントン・マクート」という暗殺部隊の一員で、数々の残虐行為を行っていた。ドークスはかつて軍隊におり、特殊任務でハイチに行った時にその男の顔を見て知っていたのだ。その後、この一件に関して軍の上層部との間で話がついたらしく、ドークスは不問に付されることとなった。
自宅に戻って来たリタは、子どもたちと面会できなかったポールから強引に迫られ、危うくレイプされそうになるが、咄嗟にポールをバットで殴って昏倒させると、子どもたちを連れて隣家に避難する。
そしてドリスコルの隣人の老婦人のもとには、ケーブル作業員に扮したルディが訪れていた――。
マイアミ警察事件ファイル
- ジャック・バヤード事件: ドークス巡査部長が職務中に射殺したハイチ人。発砲の状況に関して内部調査部による調査が行われるが、何の処分もなく調査は打ち切られる。
デクスター被害者ファイル
今回はなし。
感想
前回、ルディの正体がアイストラックキラーだった! とわかったところで、2人の対決ストーリーが始まるのかと思いきや、デクスターの「実の父親」の存在が明らかになり、意外な方向に起承転結の「転」が来たなぁと思った。
デクスターの「実の父親」の死。そしてどうやら、その死にはルディ(=アイストラック・キラー)が関わっているのではという疑惑が。ハリーは、デクスターの実の両親は「事故で亡くなった」と言っていた。パパの言葉を信じないなんてひどい! とデボラは怒っているのだが、どうやら本当の怒りは「デクスターの家族」は自分だけなのに、そこに他人が割り込んでくるなんて許せない! というところじゃないかな。どちらにしても、成人して恋人もいる女性の言葉としては少々子どもっぽい気がする。
あれ? でも6話でデボラはラグェルタに「父が犯罪現場(crime scene)でデクスターを見つけた」と言っていたし、ラグェルタも「警官(ハリー)が事件と個人的に関わった」ことを知っていたはずなのにな。子どもだから「事故」と言っていたのであれば、嘘をついたと今さらショックを受けることもなかろうし。
今回はデクスターの「お仕事」はなし。アイストラック・キラーも活動せず(最後にドリスコルの隣人の家にいたのが気になるが……)、その代わりといっては変だがドークスがハイチの極悪人を射殺。
デクスターとドークスって、何だか表裏一体というか、殺人という一点を軸にして対極にいる存在のように思える。容姿も性格も正反対。同じように悪人を処刑しているが、デクスターが内的な殺人衝動から殺すのに対して、ドークスは(おそらく)自らの正義感によって処刑を行っている。デクスターは犯罪者として証拠を隠滅して罪を逃れているが、ドークスは権力の庇護で処分を逃れる。
ところで、荷物を片付けるデクスターとルディが、ゴミ袋をガサゴソしたり、テープをピッと破いたり、カッターナイフを閃かせたりする演出がさりげなく面白かった。
そしてデクスターのTシャツには、また変な日本語が。「勇気は買戻しを提供する」って何じゃそりゃ!
……うーん、推察するに「買戻し」は redemption ではないだろうか。確かに買戻しとか回収の意味もあるけれど、「贖罪」「償い」という意味でも使われる。つまり「勇気を持って罪を償う」とか、あるいは「贖罪には勇気が必要である」とかそんなような文章を翻訳機にかましたら、上記の文が出てきたのではないかと想像。うーん、そうだとすると、もしかしてこのシャツには何か深い意味があったりしないかな。しないか。
— Yoko (yoko221b) 2007-11-05