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Dexter - Season 1, Episode 10
#10 Seeing Red
- 邦題:「血の海の少年」
- 監督:Michael Cuesta
- 脚本:Kevin R. Maynard
- 初回放映:2006-12-3
概要
ストーリー
マイアミ警察に不審なビンが届けられる。赤黒い血のような液体の中に、ホテルのキーのような金属片が見える。マリナビュー・ホテルの103号室とわかり、そこに踏み込んだドークスとデボラはその場に凍りつく。床には血溜り、壁もベッドカバーも天井も、部屋中が血で緋色に染まっていたのだ。
鑑識が呼ばれ、血液の専門家であるデクスターがまず現場に入る。全身を防護服とマスクで覆って現場に入ったデクスターの脳裏に、血まみれで泣き叫ぶ幼児の姿が蘇る。彼は一瞬意識を失って床の血溜りの中に倒れこみ、起き上がると一目散に外へ飛び出した。
その後、鑑識チームが中へ入って血液を採取するが、デクスターは中に入れず外から「写真を撮ってくれ」と指示を出す。デクスターから「電気のコンセントを見て」と言われたマスオカは、プラグを差し込んでいたような跡を発見する。
現場で見つかったのは血液だけで、遺体はおろかその欠片もない。さらに、血は薬品を混ぜて凝固しないようにされていたことから、保存した血液を散布したのではないかと思われた。血液の量は、ゆうに大人5人ぶん。そしてアイストラック・キラーの被害者も、生存者トゥチを除いて5人。
現場となった部屋は103号室。その部屋のラジオは103FMにセットされており、聖書にはレビ記10章3節、つまり103のページにしおりがはさまれていた。
その夜、ルディはビールとステーキ肉を手土産に「デボラと喧嘩したのでアドバイスを」とデクスターの家にやって来る。ひとしきり話をしてルディは帰って行くが、別れ際に「僕も女性がトラックに轢かれるという夢を繰り返し見たことがある。それは4歳の時に目の前で母親が車に轢かれて死んだ時の光景だった」と言う。
発見された血液は、DNAからアイストラック・キラーの被害者のものと判明。ここでラグェルタは正式に、「アイストラック・キラーの捜査を再開する」と記者会見で発表する。ニール・ペリーの起訴手続きを進めてきたマシューズ警部は面目丸つぶれとなり、両者の対立はいっそう激化。
一方エンジェルは、クラブで義手の女性に目を留めていた。その義手が、冷凍庫で発見した指と同じように、1本ずつ違う色のマニキュアで塗られていたのだ。話を聞いてみると、義手に異常な興味を示す客(ペリーではない)がして行ったのだという。
翌日エンジェルは、マスオカの助言を得てルディに話を聞きに行く。アイストラック・キラーは四肢切断に性的な興味を持つフェティシストかもしれないと思いつき、その方面に知識がありそうな整形外科医の話を聞こうとしたのだった。その時にはたいした収穫はなかったが、その後エンジェルは駐車場で何者かに襲われて刺され、瀕死の重傷を追ってしまう。
リタはポールをバットで殴り倒したせいで訴えられる。リタは襲われて身を守っただけと主張するが、状況はリタに不利。リタの家でポールに鉢合わせしたデクスターは、ポールの言葉に腹を立てて思わずフライパンで殴ってしまう。デクスターは昏倒したポールをそのまま自宅へ運び、麻薬を注射して匿名で通報。警察がかけつけてポールを発見、仮釈放は取り消された。
デクスターはひとりで血の海の部屋を訪れる。血溜りの中で泣き叫ぶ幼児、「デクスター、目を閉じて。ママはあなたを愛してる」と呼びかける女性、血の海に倒れている誰か、そして悲鳴――デクスターの中に次々と、凄惨な記憶が蘇る。
マイアミ警察事件ファイル
- アイストラック・キラー事件(再開): マリナビュー・ホテルの1室に大人約5人分の血液が散布される。DNA鑑定によりアイストラック・キラーの被害者の血液と判明し、ラグェルタ警部補により捜査が再開される。
デクスター被害者ファイル
今回もなし。殴られたうえに薬物使用の罪を着せられたポールが被害者といえば被害者ではあるが……。
感想
前回が「番外編」っぽい感じだったな~と思っていたら、アイストラック・キラー復活! ホテルの部屋でいきなり血の海とは、インパクトありすぎ~怖い~。今までの遺体は、バラバラではあったけれど、血の一滴もないし紙で包まれていたりするので、何かこう「作り物」っぽい感じがしていた(いや、実際に撮影用の作り物ではあるのだけど、そういう意味ではなくて)。今回の血の海って、血のない遺体の何倍も生々しいというかオゾマシイ印象だった。
ルディは四肢形成の仕事をして、デボラともデートして、さらにその合間をぬってホテルに部屋をとって血を撒いたりしているのか……忙しそうだな。職場のデスクにマニキュアが何色もあったから、時々オフィスで義手にマニキュア塗って遊んだりもしてるんだろうな~。
さて、どうやらアイストラック・キラー=ルディのデクスターへのメッセージは「子どもの頃のことを思い出せ」となってきている様子。今回「103」というヒントが新たに加わった。ホテルの部屋にあった聖書には、レビ記10章3節にしおりがはさまれていた。103には何か意味があるのだろうが、なぜ「レビ記」なのか(創世記や出エジプト記にも10章はあるのに)。レビ記は旧約聖書のモーセ五書のひとつで、儀式の方法を定めた祭司規定と、人々が守るべき規律を定めた神聖法集から成る。10章があるのは祭司規定の方で、神への捧げ物などが規定されている。「儀式」「捧げ物」というのが、何となく気になるところだ。
思うに、デクスターにとっては、人を殺してその身体をバラバラに切り刻むことそれ自体が重要なのであって、その後に遺体を処理するのは、証拠隠滅のための「後片付け」にすぎないのではないか。バラバラにした後は、無造作にゴミ袋に詰めて海にドボン。それは、死んだ金魚をトイレに流してしまう男の子の延長線上にあるような感じで、あまり美的なこだわりはなさそう。
対して、アイストラック・キラーは、遺体の切り方にこだわり、血を抜いて生々しさを消し、オブジェのように加工し、置き場所にもこだわる。彼にとって切断と加工は儀式なのではないかと思えた。殺人のプロセスと同じくらい、もしかするとそれ以上に、身体の各部位へのこだわりが強い。また、血液は単に不要だから抜いたというわけでもなく、血は血で特別な用途があったわけだ。
そして、デクスターはそれを理解してくれるだろうと思っていたのに「気分が悪くなって倒れた」と聞いてがっかりし、デボラを怒らせる羽目になってしまった……ということなのかな?
殺人者のフェティシズムに気づいたのはデクスターではなくエンジェルで、彼はアイストラック・キラーに四肢切断(者)を好む性癖があるのではないかと疑う(そして気づいたために大変なことに!)。
四肢切断といえば、CSI:NYのシーズン1にもそれを扱ったエピソードがあった(シーズン1「外れた者」)。四肢切断愛については、以下のサイトに詳しい。
デボラとドークスがホテルに到着したシーン。TV.com で「車のウィンドウにカメラが映っている」という記述を見て、確認してみたら本当にあった。クレーンみたいなのでカメラを吊ってあるのかな。そうか、上からの図ってこうして撮影するんだ。
それはそうと、デクスターは「ケンからフローズン・バービーへ」の返信を読んだのだろうか。何かそれどころじゃなさそうだったけど。
— Yoko (yoko221b) 2007-11-07