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Dexter - Season 3, Episode 3
#27 The Lion Sleeps Tonight
- 邦題:「百獣の王」
- 脚本:Scott Buck
- 監督:John Dahl
- 初回放映:2008-10-12
概要
デボラにティーガンの情報を渡した売人のハビエルが殺害され、胸の皮膚を大きく切り取られた状態で発見される。デボラやエンジェルたちはフリーボの犯行を確信するが、デクスターとミゲルだけは、そうでないことを知っている。ミゲルはラグェルタからチッキーの話を聞かされるが、結局アリバイ証人に事情を聞くこともなく公判を続け、チッキーは有罪になる。
フリーボが死んだことで、ミゲルはそれとなくオスカー事件の捜査を終了させようとするが、ラモンにはそれが不満。さらに、ハビエルの事件もフリーボということになって警察が時間を無駄にし、かつ真犯人も野放しになっているので、何とかフリーボの遺体を発見するように仕向けたいと言う。だがデクスターは、フリーボの遺体は墓地に運び、埋葬前の穴に埋めたと告げる。翌日、その穴には上から棺が乗せられ、偶然に発見されるチャンスはない。デクスターは「自分につながる証拠が出ると困る」と言って、遺体発見を諦めさせる。
デクスターは、スーパーでアスターに話しかけていた性犯罪者のネイサン・マーティンを次の獲物と決める。そしてティーガンの写真を使って失踪人捜索のポスターを作成して掲示し、わざとその近くでデボラと食事をする。案の定デボラはそのポスターを見つけ、ティーガンの自宅を調べ、フリーボがいた痕跡を発見する。そして、ティーガンが死んだ時にフリーボが別の女と一緒にいたことも判明する。
ミゲルは一連の動きに満足し、フリーボの血のついたシャツを「信頼の証」としてデクスターに手渡す。
感想
ストーリー上の大きな展開はないが、今シーズンの役者と舞台が揃ったのかな――というエピソード。
デクスターとミゲルは敵対したり、追いつ追われつする関係ではなく、共犯者のような関係になりつつある。フリーボが死んでいることを知っているのは彼ら2人だけ。ミゲルは自分に不利な証拠を敢えてデクスターに渡し、信頼している様子を見せる。前回のラストでミゲルのシャツが意味ありげに映されていたことを思い出す――このシャツは後からどういう意味を持ってくるのか。ミゲルはフリーボの遺体を見てもいないのに、そこまでデクスターを信じることができるのか?
ミゲル自身の人物像もまだ、よくわからない部分がある――チッキー・ハインズの件を握りつぶしたことから、単純な正義の味方ではないということがわかるが、その動機は何だろう。自分の面子を守るためか、チッキーに個人的な恨みでもあるのか、あるいは何か裏の事情があるのか?
フリーボの仕業かと思われていた皮剥ぎ殺人は、どうやら別人の犯行とわかる。どうやらこちらの事件の真相究明もメインのストーリーラインになりそうだ。
そして、ネイサンをあっさり獲物にしたことで、デクスター自身の「方針変更」が明示されたこと。
ネイサンは、従来の「ハリーの掟」からすると、獲物とする水準を満たしてはいない。ハリーの掟は「凶悪犯罪を犯しながら、法による制裁を逃れている者」だったはず。ネイサンは服役を終えて出所し、再犯もしていない。しかしデクスターは、ネイサンが遠からず再犯するだろうということを直感的に感じ取っている。そして次の犠牲者はアスターかもしれないことも――。
このように「予防的」に犠牲者を増やしていけば、いつかは無実の人間を冤罪で手にかけることになりかねないのだが――デクスターにそういう危険は訪れるだろうか。
— Yoko (yoko221b) 2009-12-05