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Dexter - Season 4, Episode 10
#46 Lost Boys
- 邦題:「消えた少年」
- 脚本:Tim Schlattmann, Charles H. Eglee
- 監督:Keith Gordon
- 初回放映:2009-11-29
概要
小屋が壊れたため、デクスターは自分の “dark passenger” が生まれた場所でもあるコンテナを借りて、そこに殺しの道具を隠していた。そしてアーサーを尾行し、彼がゲームセンターで少年を誘拐するのを目撃。駐車場で追い詰めようとするが逃げられてしまう。
アーサーは誘拐した少年スコットを監禁し、彼を「アーサー」と呼んでパジャマを着せ、玩具の汽車を走らせていた。
デクスターはアーサーが「儀式」と言ったことを思い出し、過去の犯行現場での行方不明事件を探す。すると、どの現場でもバスタブ事件の5日前に10歳の少年が行方不明になっていたことがわかる。姉が死んだ当時アーサーは10歳。つまり、誘拐された少年はアーサー自身であり、トリニティの殺害は3連続ではなく4連続だったのだ。少年は行方不明のままだったため、ランディに知られることもなかったのだった。
デクスターは交通課の警官に作り話をしてアーサーの車を探すよう頼み、スコット捜索の手伝いをすると言って家を訪ねて情報収集し、ジョーナにも協力を頼んでアーサーの隠れ場所を探す。
デボラは「インタビューを受けるから」とクリスティンを署に呼び、エンジェルにクリスティンの様子を見ていてほしいと頼む。エンジェルはクリスティンの様子を見て、彼女が事件に関わっていることを確信する。デボラはエンジェルと話し合い、クインに状況を打ち明けてクリスティンのDNAを手に入れる。
誘拐されたスコットは「家に帰りたい」と抵抗していたが、アーサーが姉の話をするのを聞いて同情し、ついに「アーサーと呼んでもいい」と認める。アーサーはアイスクリームに薬を混ぜてスコットに食べさせる。
DNA鑑定の結果、クリスティンはトリニティと血縁関係があることがわかる。
クリスティンは「バスタブで女の人が死んだのを見た」と言ってアーサーを呼び出す。クリスティンは5歳の時に父親がバスタブで女性を殺すのを目撃したが、夢だと思い込んできた。だが30年後に同じ場所で同じように女性が死んだことを知り、父親から送られた葉書の場所を見て事件に気づいていた。そして「パパを守るためにランディを撃った」と告白する。
デクスターはようやく監禁場所を見つけるが、アーサーは入れ違いに少年を連れ去っていた。デクスターはセメントの粉を見つけ、遺体の処理方法を知る。急いで「救済の家」に駆けつけると、アーサーはまさに少年を埋めようとしているところだった。デクスターは間一髪でスコットを救出するが、その間にアーサーを逃がしてしまう。
アーサーは「今夜お前の家に行くから話し合おう」と言ってクリスティンをなだめるが、クリスティンはアーサーが到着する前に警察に連行されてしまう。
感想
トリニティ・キラーは「常に3人セットで殺害するから」という理由でこう呼ばれていたのだが、その「三連続」に先立って少年を誘拐していたことが判明。ユングは「三位一体」に対して悪魔を加えた「四位一体」論を唱えたが、こっちでも4人セットだったとは。
アーサーは30年間にわたって殺人を繰り返し、最初の場所に戻って一連の犯行をやり直し、それをやり終えたところで姉の残った遺灰を撒いて死のうとしていた(8話)。いわば殺しのために今まで生きてきたようなものだ。しかしデクスターに助けられて何か勘違いしてしまったのだろうか。「ここで殺しを止めてはいけない」とでも言うように、またサイクルを始めてしまった。家庭内暴力も相変わらずのようで、ジョーナたちが事情を知ったら、何であの時あそこで死なせなかったかというところだろう。
アーサーはスコットを連れ去った理由が「儀式」であること、彼を「汚さない」ことを仄めかす。彼は一連の殺人の中で姉の事件を特に重要視しているように見えたが、もしかすると本当に望んでいたのは「汚れなき10歳の自分の死」、すなわち悲しみも喪失も知らないままで時を止めることだったのではないだろうか。
— Yoko (yoko221b) 2011-08-15