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dexter:s06:067_nebraska

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Dexter - Season 6, Episode 7

#67 Nebraska

  • 邦題:「過去の亡霊」
  • 脚本:Wendy West
  • 監督:Romeo Tirone
  • 初回放映:2011-11-13

概要

デクスターはブライアンとともにニックの遺体を海に捨てる。そこへデボラから呼び出しが入り、「トリニティが現れた」と聞かされる。トリニティ事件の後、犯人の妻子は証人保護プログラムでネブラスカへ移住していたが、そこへトリニティことアーサー・ミッチェルが現れて妻と娘を殺し、バイトから帰って来た息子のジョーナと争いになって逃げたのだという。

しかしトリニティはすでにデクスターに殺害されている。デクスターは事件の記録を調べ、ジョーナの犯行を確信。ジェイミーにハリソンの世話を頼み、ネブラスカへ向かう。途中でコンビニにいた少女と行きずりの関係を持ち、そこで銃を盗む。

デクスターはネブラスカに到着し、店で勤務中のジョーナに再会。ジョーナは偽名のカイルではなく「デクスター」と本名で呼ぶ。リタの事件の後、ニュースでデクスターの姿を見て本名を知ったのだ。ジョーナは「父が母を階段から突き落として殺したのを見た。僕が攻撃すると父は逃げ、2階では妹がバスタブで死んでいた」と言う。

その頃マイアミでは、トラヴィスに解放された女性が警察に保護され、「犯人は2人組で、ひとりは教授と呼ばれていた。若い方が解放してくれた」と話す。だが目隠しをされていたので顔は見ていないという。

デクスターはモーテルにチェックインし、トウモロコシ畑の中に隠されたマリファナを発見する。デボラから「DDKの件で進展があったから帰って来い」という伝言を聞き、急いでジョーナの家へ向かい血痕を調べ、ジョーナの犯行を確信。そこにジョーナが戻り鉢合わせするが、デクスターが「トリニティは自分が殺したからここへ来たはずはない。君が殺したのだろう」と言うと逃げてしまう。

デクスターはいったんモーテルへ戻るが、宿の主人がマリファナを見られたことを知り、拳銃で脅す。デクスターは宿の主人をピッチフォークで刺し殺し、拳銃を取り戻すと遺体をサイロに投げ込む。

トラヴィスはゲラー教授の本をカバンにつめて教会へ向かい、本を返すと「もう終わりだ。協力しない」と明言する。

ルイスはゲラーの教え子のリストから、マイアミ近辺に住む者を探し、候補者を200人まで絞り込む。その中にはトラヴィス・マーシャルの名もあった。

デクスターはジョーナから呼び出されて会いに行き、事件の真相を聞く。母親はまだ夫を愛しており、ことあるごとに息子と娘を責め続けた。それに耐えかねて娘は浴室で自殺し、ジョーナが母親を殴り殺したのだという。デクスターはジョーナを殺そうとするが、ジョーナ自身が「殺されたい」と願っていることを知り、殺すのを止めて「自分を許せ」と言い立ち去る。ブライアンの幻影が「殺せ!」と主張して立ちはだかるが、デクスターはブライアンを轢き殺し(?)てマイアミへ戻る。

「ブラザー・サムは光が闇に勝つと言う。光が闇を作り出すなら、闇は闇だけで存在するのではなく、光がどこかで待っている」というデクスターのモノローグに応えるように、マイアミへ続く道にハリーが現れ、デクスターの隣に乗り込む。


感想

アイストラック・キラーが出てきたと思ったら、トリニティまで復活登場。もちろんトリ爺本人のわけはなく、息子ジョーナの犯行である。デクスターにとっては、トリニティが生きていると思われた方が都合が良いのだし、他所の家のことなど放っておけと思わなくもないが、デクスターとしてはやはりネブラスカまで行かずにいられないらしい。ジョーナの口を封じなければと思ったのか、それとも、殺人者の息子が殺人傾向を持つことがあるのかということを、息子を持つ殺人犯として確かめずにはいられなかったのか。

このネブラスカ行き、デクスターの内面的には兄ブライアンとの殺人旅行でもある。行きずりの少女と関係を持ち(相手は未成年でしょ!)、銃を盗み、ハイウェイをぶっ飛ばしながら銃を乱射して(的は看板だけど)大騒ぎ。「ハリーの掟」というタガの外れたデクスターの壊れっぷりが、一種爽快でもある。ブライアンはデクスターの兄であり、すべての原点である「母の死」をともに目撃し、その後同じ道に進んだ仲間でもあり、ハリーの掟がなければこうなっていただろうという表裏一体のような存在。そのブライアンも本体は死んでしまって、ここで登場するのは幻なので、これはデクスターの内なる「闇」を体現したものと言って良いだろう。光への導き手になりそうだったブラザー・サムが退場し、抱え込んでいた「闇」が一気に噴出したといったところか。

2人での「共同殺人」としてモーテルの主人を殺してしまうが、これはまぁ半分正当防衛と言えなくもない。この場面、スローで見てみるとデクスターとブライアンが交互に切り替わるような演出になっているのが面白い。実際にはデクスター1人で手を下しているわけだが。

この共同殺人で気が済んだのか、あるいは「死にたい」と願うジョーナの姿を見て我に返ったのか、死にたがっている相手を殺してもつまらないと思ったのか。ともかくデクスターは「自分を赦せ」と言い、ブライアンを捨ててマイアミへ戻る。陽光あふれるマイアミの街に、光を象徴するかのようにハリーの幻が戻って来る。

ニックを赦すことができず、さらに深い闇へと落ちたデクスターは、「赦す」ことの難しさを知っている。ジョーナへの言葉は、殺すのがイヤになって言い捨てただけのようにも聞こえたが、デクスター自身はこの先、「赦し」を求めて光の側へ向かうつもりなのだろうか。それはまだわからないが、デクスターの闇を育て、現実の殺人を目の当たりにして自殺してしまったハリーが、当然のように光を背負って登場して良いのかと、いささか疑問に思わないでもない。

それはそうと、ジョーナはやはりデクスターの正体を知っていたのね。つまり前シーズンのクインの行動は、やはり無駄に危険を冒しただけだったということか。

Yoko (yoko221b) 2012-12-22

dexter/s06/067_nebraska.txt · Last modified: 2019-09-11 by Yoko