• 邦題：「古巣へ」
• 脚本：Jace Richdale
• 監督：Stefan Schwartz
• 初回放映：2012-10-14

四六時中デボラに見張られ、ストレスがたまっているデクスター。DNAサンプルを採取する際、抵抗する被疑者に思わずつかみかかってしまう。デボラも仕方なく監視の手を緩める。

デクスターは凶悪犯レイ・スペルツァーについて秘かに調査。今まで複数の女性が、スペルツァーとデートした後に失踪し、惨殺されているが、彼との関連は出ていない。デクスターはスペルツァーと同じジムに入会して様子を探る。

ナディアがクインを訪ね、「カジャのブレスレットを一緒に埋葬したい」と言う。クインは所持品リストを調べるが、ブレスレットは入っていなかった。そのブレスレットはGPS信号の発信器が仕込まれており、ナディアは命令されて情報を探りに来たのだ。アイザックは、刑事に接近してヴィクターについての情報を探れと指示する。

デクスターは証拠品の義手をマスオカに送り、ルイスが落札したと思わせる手紙を添える。マスオカは怒り、ルイスを解雇する。さらに、ルイスと風俗嬢の濡れ場の映像がジェイミーに送られ、ルイスは失恋。

デクスターはわざとデボラに尾行させ、バーでスペルツァーの姿を見せる。スペルツァーは頭髪を剃っていたが、これは殺人の前にかならず行う儀式的な行為なのだ。デボラは「殺しを認めろと言うのか」と怒り、スペルツァーには手を出すなと言い渡す。デボラもスペルツァーが悪人であることは知っているので、ラグェルタに再捜査を願い出るが、根拠が不十分であるとして却下される。

アイザックは技術担当者に命じてブレスレットの信号を追跡させる。信号はヴィクターの自宅から空港へ、その後マリーナへ移動して沖合で途絶えていたアイザックは、ヴィクターが殺害されて海に捨てられたことを確信する。

ランダルの母親がデボラを訪ね、息子から託された品を提出する。息子を死刑にしたくないという思いから隠してきたが、もうその必要もなくなったのだ。中には女性の持ち物が入っており、やはり供述どおり他に被害者がいる可能性が再浮上する。

デクスターはエンジェルとともにランダルの恋人だったハンナ・マッケイに話を聞く。ハンナは事件当時15歳。殺人に直接関わったわけではなく、逮捕後はランダルに不利な証言をして短い刑期で済ませていた。ハンナは被害者については何も知らないと言う。デクスターはハンナのDNAを採取。

アイザックらは信号の位置を特定し、その場に係留されていたデクスターのボートに乗り込む。そこではルイスが腹いせに穴を空けようとしていた。ルイスはアイザックに脅され、「これはマイアミ警察のデクスター・モーガンのボートだ」と言う。アイザックはルイスを射殺。

ナディアはスパイを命じられたことをクインに打ち明け、お互いに協力して様子を探ることにする。

スペルツァーの仕事は墓地の管理人。デクスターはその墓地にある霊廟で、被害者のピアスを発見する。写真を撮ってデボラに送ろうとするが、霊廟の中は圏外。

その頃デボラはスペルツァーの自宅を監視していたが、屋内の様子がおかしいことに気づく。そして女性の悲鳴を聞いて突入。スペルツァーは家の中を迷路のように改装し、逃げ回る女性を追い詰めて殺していたのだ。

デクスターはデボラの伝言を聞き、慌ててスペルツァーの自宅へ向かう。デボラを無事に救出するが、女性はすでに殺害されていた。スペルツァーは逃亡。霊廟も調べるが、ピアスはなくなっていたという。

デボラは、「もしデクスターがスペルツァーを殺していたら彼女はまだ生きていた。だが現実ではスペルツァーが自由の身で彼女が死んでいる」と言う。考えを変えたわけではないが、デクスターの言い分を理解した。これは必要悪なのかもしれない。だがデボラは、血のスライドだけはまだ理解できないでいた。それは結局、スペルツァーのピアスと同じではないか――。

凶悪殺人犯・スペルツァーの事件をきっかけに、デボラがデクスターに理解を示す様子を見せ始める。スペルツァーは言ってみれば「ハリーの掟」の典型のような獲物――凶悪犯であることは間違いないのだが、徹底して証拠を残さない方法を身に着けており、逮捕の決め手がない。先回りして殺しておけば被害を未然に防げるが、警察がそれをやるわけにはいかない。何かが起きるのを――誰かが殺されるのを待つしかない。

それはおそらく、デボラだけでなくハリーも抱えていたジレンマで、それが「掟」につながっていったのだろう。しかしハリーはその現実に耐えられず自殺。デボラはどうする? 血のスライドは結局のところ、スペルツァーのピアスと同じではないか。そう思うのは当然だろう。実際に同じだから――連続殺人犯がほしがる「トロフィー」であるという点において。

さて、一方でルイスはあっけなく射殺されてしまう。これはやはり、ブライアンとは無関係の線だな。しかしこれでアイザックはデクスターの身元を知ってしまった。ボートにルイスがいるのが見えた時は、ルイスを殺人犯だと思って殺すのかと思ったが、それほど甘くなかった。どうする、デクスター。

— Yoko (yoko221b) 2015-03-15