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Dexter - Season 8, Episode 2
#86 Every Silver Lining
- 邦題:「よき理解者」
- 脚本:Manny Coto
- 監督:Michael C. Hall
- 初回放映:2013-07-07
概要
ヴォーゲルはデクスターに昔のビデオを見せる。デクスターが10歳の時、ハリーはヴォーゲルのオフィスを訪れ「デクスターが犯罪現場を見たがり、ついに根負けして連れて行ったら、血の海と化した現場に魅せられ、血の付いたガラス片を『戦利品』として持ち帰って来た」と相談していた。ヴォーゲルは、デクスターにサイコパスの特質があり、将来は殺人を犯すようになるとわかったので、ハリーと協力して「掟」を設定したのだった。
ヴォーゲルは、デクスターにその話をしたのは頼みごとがあるからだと言って小さな容器を見せる。中には人間の脳の島皮質前部が入っており、家の玄関に置かれていたという。彼女は、自分の元患者のひとりが犯人だと考え「犯人を探して私とハリーの教えを実行してほしい」と言う。彼女が「掟」を設定したのはデクスターだけだが、他にも型破りな処置を施したことがあり、そのいくつかは違法でもあったため、自分の患者に対して警察の捜査が及ぶと困るというのだ。
デクスターはヴォーゲルの頼みを断るが、ヴォーゲルはさらにハリーのビデオを見せる。ハリーはデクスターの犯行を打ち明け、殺す前に被害者ら自身の犯罪行為を示す写真を見せたと話す。
頭を切られ、島皮質前部が抉り出された2人目の被害者が発見される。今回は、直接の死因は窒息で、犯行に使用したビニール袋がやはり近くに置かれていた。ヴォーゲルのもとにも新しく島皮質前部が届いたという。
デボラはブリッグスの所持品から鍵を奪っており、エルウェイとともに自宅へ侵入し、ブリッグスが借りていた倉庫の場所を突き止める。
ビニール袋の指紋は、ライル・サスマンと一致。彼はヴォーゲルの患者ではなかった。デクスターはサスマンの自宅を調べ、湖のそばに狩猟小屋を持っていることを知る。マスオカも被害者の口に貼られたダクトテープから部分指紋を検出したため、刑事たちもサスマンを容疑者として追跡。エンジェルはクインがジェイミーと交際していることを知り、昇進試験を受けないかと勧める。
デボラはトランクルームで宝石を見つけるが、尾行してきたエル・サポに襲われ、宝石を奪われる。デボラはエル・サポに殴り掛かり、逆に激しい暴行を受ける。
そのエル・サポは、車の中で射殺されているところを発見される。デクスターは、デボラの身も危ないのではないかと案じ、血液の付着した窓ガラスの破片をこっそり持ち帰る。その後デボラの自宅へ寄り、彼女がエル・サポに襲われて怪我をしたことを知る。
デクスターはサスマンの小屋を調べるが、そこにあったのはサスマンの遺体。デクスターは、サスマンが共犯者に殺害されたのではないかと言うが、ヴォーゲルは「このような殺人犯は通常は単独犯。真犯人は他にいる」と言う。
翌日、デクスターがエル・サポ事件のガラス片の血痕を調べると、それはデボラのものだった。そこへデボラが、事件の件でクインに会いに現れる。
デクスターが問い詰めるとデボラは「宝石を取り返そうとして、気がついたらエル・サポが死んでいた」と言う。デクスターは、車に残されていた銃がデボラの物であると知り、証拠をこっそりすり替える。ラグェルタの件以来、デボラは変わってしまったと感じる。
ヴォーゲルが「家に侵入者がいる」と言ってデクスターを呼び出す。中に入ると誰もいなかったが、PCの上には不審なDVDが置かれていた。中を見ると、サスマンが誰かに脅されて人を殺している場面が映っていた。やはり真犯人が他にいて、サスマンに被害者を殺させ、サスマン自身をも殺したようだ。
デクスターは、自分のせいでデボラが変わってしまったことをヴォーゲルに打ち明ける。ヴォーゲルは「あなたには何の問題もない。あなたは完璧よ」と励ます。
感想
ヴォーゲルはハリーを知っているだけでなく、ハリーとともに掟の設定に関わり「殺人鬼デクスター」を作り上げた張本人だった! という衝撃の事実。博士自身はデクスターと直接会うことはなく、ハリーが死んだ時もその後もずっとコンタクトを取ろうとしてこなかった。
それが今になって現れた理由は――という所のつじつま合わせが多少強引だなという気はするけど(これまでマイアミでは毎シーズン連続殺人事件が起きているのに顔を出さなかったわけだから)それはまぁ良いとして。
最終シーズンになってヴォーゲル博士というキャラクターを設定したということは、「殺人鬼デクスター」の生い立ちを総括しておこうということなのだろうと思う。デクスターはまだ子どもだったし、ハリーもカミラさん(警察資料室の人)も亡くなっているし、前シーズンの様子から察するにマシューズ警部は何も知らされていない。というわけで、当時を知る生き証人としてヴォーゲル博士を登場させたわけだ。
デクスターの生い立ち、回想シーンで断片的に紹介はされているものの、途中で設定変更があったりして何度か混乱させられた。
シーズン1では、病院で患者にモルヒネを投与して死なせていた看護師が最初の獲物ということになっていた。病気で入院していたハリーが危うく犠牲になるところでゴーサインを出し、デクスターが手を下したおかげでハリーは無事退院したが、結局その後に病死したことになっていた。この経緯は原作小説と同じ。
しかしシーズン2では一転し「ハリーは実は自殺だった」という真相が語られる。掟を設定し、相手を確保するための格闘技や証拠をいっさい残さないための周到な準備などの「実技」を教え込んだものの、いざバラバラ死体を目の当たりにすると、その凄惨さに耐え切れず――ということだったようだが、どうも何となくしっくりこない物を感じた。(この設定変更は不要だったと今でも思っている)
で、今回の冒頭。ハリーはデクスターの最初の殺人でショックを受けて自殺したわけではなく、何度もその犯行に立ち会い、手口を洗練させていく様子をヴォーゲルに報告している。これって、また設定変更?
現役時代のハリーの役職も謎。母ローラ・モーザーが惨殺された現場からデクスターを救い出したハリーは、現場に駆け付けた制服警官だったはずなのだが、シーズン2では刑事で、ローラを内通者として使っていた(ついでに浮気もしていた)という設定に変わっていた。
で、今回ビデオ映像で登場したハリーは制服姿。うーん、やはり制服警官だったのか。デクスターが10歳ということは、ローラ事件からもう7年経っているはずなのだが。CSI:マイアミのトリップ刑事のように、巡査部長に昇進するための巡回勤務で警ら課にいたのだろうか。
こういった細かい点にまですべて決着がつくこと――は、ないだろうなぁ。そういえばこの当時、ブライアンはどうしていたのだろう。
— Yoko (yoko221b) 2015-05-03