FBI - Season 1
#1 Pilot
- 邦題「ブロンクス爆破事件」
- 脚本:Craig Turk
- 原案:Dick Wolf, Craig Turk
- 監督:Niels Arden Oplev
- 初回放映:2018-09-25
事件概要
連続爆破事件
ブロンクスのアパートで爆破事件が発生。近くにいたFBI捜査官のマギー・ベルとO・A・ジダンが駆け付ける。ベルは住民全員を非難させようとするが、その矢先に2回目の爆発が起きる。監督官のソルバーグは交通を遮断して地区を封鎖する。
爆発が起きた部屋に住んでいたのは、麻薬の売人であるエイムス。現場で携帯電話を回収してデータを復旧したところ、さまざまな抗争の経過が記録されていた。組織のNo.2であるクリントンがエイムスを追い落とすために仕掛けた可能性が考えられたため、クリントンに事情を聞こうとするが、クリントンも自分の車に仕掛けられた爆弾で爆死死てしまう。
その後、新たな爆弾が市民センターで発見される。今回は爆発する前に回収され、軍用の手りゅう弾を利用したプロ仕様のものであると判明。その手りゅう弾は古いもので、エルサルバドルで処分されたはずだった。エルサルバドル出身の雑役係のウィルマーが不審な荷物を受け取っているところが防犯カメラ映像で確認される。ウィルマーを取り調べたところ、相手の男は「MS13」という中米ギャングの一員、ベルナルド・フュネスだという。
フュネスは自宅におらず、拘置所に移送されたウィルマーは所内で何者かに惨殺され、心臓を抉られていた。フュネスの居場所の手がかりをつかむため、FBI捜査班はメディアに名前と顔写真を公開して情報提供を呼び掛ける。程なくして目撃情報が集まり、居場所が判明。ジダンは令状なしで踏み込み、フュネスと爆弾工房を発見する。
爆弾の起爆装置には、数年前にアジアで流通していた安物の携帯電話が使われていた。熱センサーの性能が良くないことが、起爆装置としては好都合なのだった。同じ手法で作られた爆弾が以前にシナゴーグの爆破未遂事件に使われており、その背後には白人至上主義者のロバート・ローレンスがいると言われていた。ローレンスとMS13はともに黒人ギャング組織を敵視しているため、陰で手を組んだ可能性が考えられる。
フュネスの工房で押収した工具には別人の血液が付着していた。登録がなく身元は不明だが、DNA表現型解析という最新技術で外見を予測してみたところ、市民センターでセンター長を務めるブリック・ピーターズと似た容貌が生成される。
ピーターズの母親が経営するダイナーを捜索すると、手りゅう弾が入っていた空き箱が発見される。その箱は空になっており、すべて使用されたとすると、もうひとつ爆弾が存在することになる。
改めてピーターズを取り調べたところ、爆弾を運び屋に手渡したことを認める。最後の爆弾は釘を入れてあり、大勢の殺傷が目的と思われた。さらに、起爆に使用する携帯電話のバッテリーが古いため、起爆は製造後24時間以内に行う必要がある――残り時間はあとわずかだ。
標的となりそうな場所を絞り込んだところ、マイノリティコミュニティのリーダーたちが集まる地域集会がターゲットと思われた。分析官のクリステン・チャザルは現場で市民たちを避難させ、爆弾を発見して無事に解除。ベルとジダンはTVの生番組に出演中のローレンスのもとへ向かう。ローレンスは「弁護士に電話をしたい」と言って爆弾を作動させようとするが、その時はすでにクリステンが解除した後だった。
感想
TV界の大物プロデューサー、ディック・ウルフの2018年新作ドラマ「FBI」の第1話、というかパイロット(試作)エピソード。ディック・ウルフという人はNBCで「Law & Order」やシカゴシリーズなどのヒット作を制作し、それも次々にスピンオフを作ってシリーズ化するので有名。「Law & Order」シリーズは現在SVUしか残っていないけれど(ただし2021年から新スピンオフが始まるらしい)、シカゴシリーズはFire、PD、Medの三部作が安定した視聴率を保っている。
シリーズ化といえばCBSにもCSIシリーズがあったわけだが、そのCBSにもとうとうディック・ウルフが進出し、その第1作がこの「FBI」。シンプルすぎるタイトルで、何を担当する部署なのかよくわからない。エピソードのラインナップを見る限り、爆破、テロ、誘拐、とりあえず何でもありっぽい。
主人公になる2人組は、マギー・ベルとO.A.ジダン。「O.A.」は「オマル・アドム」のイニシャルで、アメドラには珍しいアラブ系捜査官だ。コンビを組んでまだ日が浅いらしいが、ベルは事故で夫を亡くしたばかり、O.A.は潜入捜査の経験があり蜘蛛が苦手という人物紹介的な場面があった。
今回の事件は連続爆弾事件だが、オープニングからとにかくテンポが速く、それでいて混乱させられることもなくサクサクと話が進んでいくのが小気味よい感じ。中米のギャング組織やウィルマー惨殺の場面など、ちょっとあっさりしすぎな感もあったが、冒頭の爆発場面はかなりのインパクト。チョイ役だがブリックのママも良い味出していた。人種差別主義者というアメリカの「今」が抱える問題、ストーリー、キャラクター、すべての点で可能性を感じさせるエピソードだった。新作ドラマに手を出したのは本当に久しぶりで、この先が楽しみだ。
— Yoko (yoko221b) 2021-02-27