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Homicide - Season 3, Episode 10
#43 Full Moon
- 邦題:「満月」
- 脚本:Eric Overmyer
- 原案:Tom Fontana, Henry Bromell, Eric Overmyer
- 監督:Leslie Libman, Larry Williams
- 初回放映:1996-04-05
事件概要
No. 225 Charlie Wells
モーテル “New Moon” で、宿泊客チャーリー・ウェルズが射殺され、ルイスとケラマンがカメラマンのブロディとともに向かう。腹部には「見つけたらモンタナ州ホワイトフィッシュのアイダ・フラッドまで返却を」というタトゥーが彫られていた。はいていたブーツはなぜか片方だけ。
モーテルの受付係は、銃声のすぐ後にオートバイが走り去る音を聞いていた。そのバイクはチャーリー本人の持ち物だったという。チャーリーはよくプールにビール缶を浮かべて射撃の練習をしていたというが、部屋で銃は見つかっていない。
ルイスとケラマンは、宿泊していた家族が出て行こうとするのを見て呼び止める。一家はチャーリー殺しとは無関係だが不法移民なので逃げようとしていたらしい。ルイスは「この一家は殺人とは無関係」と判断して出て行くことを許可する。その後彼らは二手に分かれて住人たちに事情を聞く。住人たちはドラッグで道を踏み外した元麻酔医、売春婦、飲酒運転で親友を死なせたことでずっと苦しんでいる男など、その大半が犯罪の前歴を持っていた。
2人はエヴァンス夫妻を除く全員に事情を聞き、全員無関係と判断。エヴァンス夫妻は、背景調査をしたマンチから「怪しい」と聞かされていた人物。夫妻は部屋で居留守を決め込んでいたが、妻が飲み物を買いに出た所を刑事たちが見つけ、部屋へ踏み込んで拳銃を見つけて逮捕。
だが調べた結果、その拳銃はウェルズを撃った物ではなかった。受付で押収した銃も事件とは無関係とわかる。
そこへチャーリーの娘が遺品を取りに来る。彼女はジェニファー・ウェルズで、アイダは祖母(チャーリーの母)の名だった。ブーツを片方しか履いていなかったのは、昔からの変わったクセだという。
ルイスは、かつて自分が暮らしたアパートが爆破解体されるのを見る。
感想
ちょっと変わった構成のエピソード。メインで活躍するルイスとケラマンの他は、マンチがちょっと出てくるだけで他の刑事たちはまったく登場しない。これが製作順なのだとしたら、ペンブルトンとベイリスは Law & Order とのクロスオーバーエピソードの撮影で忙しかった、ということなのだろうが、ジーやラッサートやハワードまで登場しないというのはどういうこと?
事件は単純なものだが未解決。現場は郊外のちょっと怪しい雰囲気のモーテルで、住人たち(宿泊客というより、短期的にしても「住んでいる」感じ)は大半が犯罪歴を持ち、自堕落な生活をしたり、不法入国してひっそりと隠れ住んでいたり、あるいは自分を罰するように敢えて普通の生き方に背を向けたり。犯罪捜査というより、このモーテルに来てすれ違い、去って行くさまざまな人々とその人間模様を描くためのエピソードなのだと思う。中国語でも「四」と「死」は似た発音なのね。
いかにも怪しい住人が見つかり、銃も押収されるがそれは事件とは無関係。受付においてあった防犯用の銃を念のためにと預かって調べてみたところ、以前の未解決事件につながって棚ぼた解決。これはベイリスが担当していた事件だった。
今回モーテルで起きたWells事件はNo.225で、棚ぼた解決したDorland事件がNo.224。ベイリスの担当としてDorlandの上に書いてあったのは「No.211 Garbarek」なので、今回の事件は「人形の目」のしばらく後に起きているはず……でも前回の「スナイパー」では年が明けて真っ白になったホワイトボードに次々に名前が書かれていたので、時期が前後しているようだ。
それはともかく、たまにはこういう番外編的なまったりした話も、何だか趣があって良い。