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Homicide - Season 3, Episode 13
#46 I've Got a Secret
- 邦題:「秘密」
- 脚本:D. Maria Legaspi
- 原案:Tom Fontana, Henry Bromell
- 監督:Gwen Arner
- 初回放映:1996-02-02
事件概要
No. 077 Gabriel Slayton
ペンブルトンとベイリスは、車の中で死んでいた黒人男性の事件を担当。車の後部座席には大量の血の跡があったが、死んだ男は運転席に座ったまま。大量出血するような外傷はなし。車の持ち主はニッキー・ブラント。持ち主の自宅へ行ってみたところ、被害者はガブリエル・スレイトン、通称エンジェルと判明。
エンジェルはニッキーに暴力を振るっており、また暴行、窃盗、殺人未遂などいくつもの前科持ち。パートナーの「MC」とも争いごとを抱え、復讐しに行ったらしいとわかる。
ベイリスとペンブルトンはMCの家へ。そこには大量のオーディオ機材や財布が整然と並べられ、キッチンには血溜まりがあった。
エンジェルは最近銃で撃たれ、ERで手当てを受けていたことがわかる。だが死因は銃創ではなく大規模な内部出血。3日以内にERで銃創の手当を受けた患者のリストからエンジェルの名前を発見し、病院へ行くと、担当したワイスタン医師は、エンジェルが退院許可を待たずに出て行ったことを話す。
MCが戻ったという通報を受けてベイリスとペンブルトンは自宅へ急行。MCはエンジェルを撃ったことを認める。もともと、エンジェルが盗みなどの汚い仕事をやり、MCが在庫目録を作って販売するという分業をしていたが、その仕事をめぐってエンジェルと争いになり、もみあっているうちに事故で発砲してしまったのだ。MCはエンジェルを車で病院に運んだ。最後に見たときエンジェルは元気で、病院で男性の看護師と争っていたという。
エンジェルの母親(元看護師)は、息子は撃たれて死んだのではなく、病院での扱いが原因で死んだとして病院を訴える。
看護師のシャーマンは、エンジェルを他の患者と同じように扱ったと主張する。シャーマンに事情を聞くうちに、ワイスタン医師の夫がATMで襲われて大怪我をしたことがわかる。
2人はワイスタン医師の自宅を訪ねる。ERにはエンジェルのような患者が毎日のように訪れ、医師に毒づき、傷を手当してはまた外に行って怪我をする。ワイスタンは「確かに最善を尽くさなかったかもしれないけど」と認めてしまい、ペンブルトンは彼女を逮捕しようとするが、ベイリスは「検事に判断を委ねてはどうか」と提案する。
No.??? Wolsky
ケラマンとルイスは容疑者ウォルスキーを追跡。取り押さえようとするが、怪力の犯人に投げ飛ばされ、応援を要請。プールバーに入って行ったのを追跡するが、容疑者は中で大暴れし、またも逃亡。その後、情報を得てウォルスキーの自宅へ逮捕に向かい、ようやく逮捕。
ウォルスキーは妄想型統合失調症と診断される。ケラマンは、税金で病院に入ることに否定的だが、ルイスは「誰も彼を気にせず、見舞いもせず忘れていく。これは緩慢な死だ」と言う。ルイスの弟アンソニーも精神の病気で入院していた。ルイスはアンソニーの入院先を訪ねるが、面会を拒否される。
感想
誰でもひとつくらいは、親しい同僚にも言えない秘密を抱えているもの――そんな秘密をいくつか垣間見てしまったようなエピソード。
ペンブルトンとベイリスは、車の中で黒人の若者が死亡していたという事件を担当。ベイリスの母親は彼に医者になってほしかったらしい。そういえば前シーズンに登場した従兄は弁護士だったし、インテリの家系なのかも。ERで日々人命を救っている医師たちを賞賛するベイリスに、ペンブルトンが一言。
You want glory, go work at ER. Homicide is fine by me.
(賞賛が欲しいならERで働け。俺は殺人課がいい)
このERとHomicideは職業のことと普通に解釈できるが、番組名とも取れる所が面白い。このエピソードが放映されたのは1996年の2月。同じNBCの “ER” はシーズン2で、もうすでに人気番組になっていたのだろうか。
ボルティモアのERはものすごく大変そうだ。毎日のように、抗争で怪我をしたギャングが運び込まれ、医師に毒づき、許可を待たずに勝手に退院してはまたストリートで戦って怪我をし、ある者は死亡する。やってられないわと仮に思ったとして、誰がそれを責められよう。事情を聞きに来た刑事に対して、医師は「確かに最善を尽くさなかったかもしれない。神の手に委ねた」と思わず言ってしまう。え、それが殺人の自供? 本当に?
しかしこの被害者は手術の後、医師の退院許可を得ずに勝手に出て行ったはず。そのまま病院にいれば内出血に気づいてちゃんと手当てを受けられたと思うのだが……。
ベイリスもそう考えたらしく、ここで逮捕せず検事局に判断を委ねてはどうだろうと言う。それに対してペンブルトンは「あの男は死んだ」と一言。殺人課として重要なのはその一点であって、他は自分の決めることじゃないということか。彼にはそういう、一本筋の通った(あるいは融通のきかない)ところがあるように思う。
しかしベイリスが迷っているところでこの話は終わってしまい、その後どうしたのかはわからない(この後に続きがあるわけでもなさそう)。想像だが、おそらくダンバースが不起訴にしたか、あるいは殺人より数段軽い罪で実刑なしということではないかと思う。民事訴訟の方は、和解した (settle) という話があったので、そちらへの影響はないだろう。
さて、ルイス&ケラマン組は親を殺害して逃亡している男を追跡。これが大柄で力持ちで、なかなか取り押さえられないが、自宅で母親の遺体を掘り返して父親の隣に埋めようとしていたところを発見し、穏やかに話しかけて無事逮捕に至る。どうやら妄想型の統合失調症を患っているようだが、ルイスの弟も同じ病気だということが明らかになり、パートナーのケラマンは驚く。
ケラマンは、自分は離婚した経緯のことも、漫画のキャラクター柄の枕で寝ている(そうだったのか!)こともルイスに話しているのに、ルイスの方は弟がいることすら話してくれなかった……と、少々不満そう? 別に隠して秘密にするつもりではなかったのだろうが、何となく言いたくなくて黙っていたということだろうか。この後ルイスは弟の面会に行くが、1978年以来だというから17年ぐらい会っていなかったことになる。結局面会は弟の方から断られてしまったようだ。
そして秘密といえば。マンチはハワードがアントニオ・バンデラス似の恋人と抱き合ってキスしているのを見て衝撃を受け、相手は誰なんだ!と捜査し始める。普段の捜査よりずっと熱心じゃないか、マンチ!
しかし、彼氏の素性はいっこうにわからず、「話してくれたら自分が最も深く隠してきた最も暗い秘密を話す」という取引を持ちかけるが、ハワードは「そんなの知りたくない」と一蹴。あぁ、残念……マンチの秘密、知りたかった。
— Yoko (yoko221b) 2012-03-18