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Homicide - Season 3, Episode 14
#47 Justice: Part 1
- 邦題:「正義(Part1)」
- 脚本:David Rupel
- 原案:Tom Fontana, Henry Bromell
- 監督:Michael Radford
- 初回放映:1996-02-16
事件概要
No.088 Edgar Rodzinski
墓地で年配の男性がワイヤーで首を絞められて殺害され、マンチとラッサートが担当する。被害者は元警官で、風紀課に30年勤めたエドガー・ロジンスキー。息子のジェイクは警察学校でルイスと一緒だった。ジェイクは主任担当のマンチが元ヒッピー、ラッサートが格下げになったことに不安を抱く。
マンチとラッサートは墓地の管理人に話を聞き、ロジンスキーを恨む者がいなかったか、墓地周辺で過去に起きた事件などを調べるが、有力な手がかりは見つからない。2人はロジンスキーの通夜へ行く。そこで元パートナーの退職警官は、この事件の解決につながる情報提供に対して2万ドルの謝礼金を出すことを提案。ジェイクは捜査の進展がないことに苛立ち、独自に捜査をしないかとルイスに持ちかけるが、ルイスは断る。
翌日ジェイクは「むかし父親が刺されたことがあった」と話す。それは60年代、ジェイクがまだ子どもの頃の話だが、詳細は報告書に載っていなかった。当時エドガーは窃盗事件を捜査中で、その犯人はすでに死亡していたが、検察側の重要証人のポーラ・シュウェンクに19回も事情聴取していた。回数が多すぎることを疑問に思い、ポーラに話を聞くと、刺したのは息子のアランだという。彼女とエドガーは愛人関係であった。マンチとラッサートはアラン・シュウェンクを逮捕するが、アランは事件とは無関係とわかる。
その頃ジェイクはオットー・ハーヴェイを犯人だと思い込んで殴りつけ、逮捕されていた。ジェイクはハーヴェイを以前に逮捕した時に、「今後いつか、お前が忘れた時に思い出させてやる」と脅されていたのだ。だがハーヴェイは犯行時刻には断酒会に出席しており、アリバイが確認される。
その後、墓地の管理人が現れ「事件の前の夜に、娘と交際していたケニー・デイモンと口論し、ケニーにワイヤーで首を絞められた。娘が来たのでケニーは逃げた」という話をする。報奨金が目当てなのは明らかだったが、法廷で証言することには同意する。ケニーは麻薬犯罪や自動車窃盗などの前科があり、釈放されたばかり。不起訴だが、別の被害者の首を絞めたという容疑もかかっていた。
一方、ロジンスキーの車が解体工場で発見され、証拠品が収集される。中には凶器と思しきワイヤーが入っており、扉にはデイモンの指紋があった。デイモンは逮捕され、公判が始まる。
検察側の証拠は指紋やDNAなどがあったが、弁護側は事件後に車が発見されるまで48時間あったことや、ジェイクが別人を犯人だと思い込んだことなどを持ち出して対抗。評議は難航し、デイモンの弁護士は「第2級謀殺で25年」という取引を持ちかけるが、ジェイクは「10年もすれば保釈される、それでは不十分だ」と反対する。
結局評決は無罪。陪審員長はジェイクに問い詰められ「1人だけ強硬に無罪を主張した人がいて、彼は誰が何を言っても耳を貸さなかった。有罪を主張したのは2人で、他の人はどうでも良いみたいだった。無罪の人は絶対に考えを変えないし、皆疲れていて家に帰りたかったから」と口にする。
釈放されたデイモンに対して、ジェイクは「気をつけろよ」と脅す。
感想
警察ドラマは大抵そうだと思うが、身内(警官・退職警官やその家族)の殺人となると熱の入り方が違う。誰が殺されても殺人は殺人だろう、という考え方もあると思うが、警察は社会秩序の象徴とも言える存在。個人的な諍いとは社会に与える影響の大きさが違うとも言える。
とはいえ、警官も人間だから個人的にトラブるのはごく普通にあるだろうし、今回の被害者はすでに引退していて今はもう一般市民。犯人にとっても襲う相手は誰でもよく、元警官とは知らなかったのだろうと思う。その点で今回の(元)警官たちの反応はやはり、「身内 (one of our own) を殺された」感情的なものに見える。
で、実を言うと、最初の方ではジェイクを疑っていた。本当は彼が犯人で、ルイスがそれを知る羽目になるのではないかと……でもそれは考えすぎ。ジェイクの反応はただ父親を殺されたショックと怒りによるものだったようだ。
それにしてもマンチとラッサートは信用されていないのだろうか。「ラッサートは2階級も降格されているし、マンチは元ヒッピー」って。前シーズンのあの写真は、かなり話題になったようだ。マンチとルイスといえば、クロセッティの事件を担当したのもマンチ(とボランダー)で、ルイスがそれを邪魔しまくっていたことを思い出すが、今回のルイスは「2人に任せよう」と冷静な態度を崩さない。一方、被害者が元警官ということで上層部も捜査の行方を気にしており、ラッサートはマンチが独自に報告書を提出したことがちょっと不安な様子。主任担当はマンチなので問題はないはずだが、やはり政治的なことが気になるのだろう。
結局、情報提供に対して2万ドルの謝礼金を出すことになり、それを目当てに目撃者が現れて犯人がわかるが裁判は難航。その挙句に無罪評決――。その前に「第2級謀殺で25年」という取引をジェイクの意向で断っているので、余計に辛かったと思う。だがジェイクに対しては、「俺たちはルールに従う」とか、そんなえらそうなこと言えるのかとも思う。
ケラマンは親類の結婚式のため休暇中。ベイリスはケラマンの名前が書かれたサンドウィッチを食べようとするが、すでに2週間冷蔵庫に入っていたものらしい。もうパンもカサカサだろ、そんなの……。
— Yoko (yoko221b) 2012-03-18