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Homicide - Season 3, Episode 15
#48 Justice: Part 2
- 邦題:「正義(Part2)」
- 脚本:David Simon
- 原案:Tom Fontana, Henry Bromell
- 監督:Peter Medak
- 初回放映:1996-02-23
事件概要
No.092 Kenneth Damon
無罪評決の後、ジェイクは妻子とも話さなくなり、父親の元パートナーと酒を飲んで過ごしていた。彼らは「ジミー・ポールソンの後に街は変わった」と言う。
空き地で頭を撃たれた若者の遺体が発見され、ルイスとケラマンが担当になるが、被害者はケニー・デイモンだった。デイモン殺害の動機があるのはもちろんジェイクだが、デイモンは他にも敵の多い男。ハワードはケラマンにジェイクの捜査、ルイスに麻薬関連の捜査を命じ、情報を共有せずに個別に動くよう厳命する。
ルイスは、ケニーがアントニオ・ガレノというドミニカ人から麻薬を盗んで追われていたことを突き止め、ガレノの犯行を疑うが、彼はケニーが死ぬ3日前に射殺されていた(No.089 ベイリス担当)。
ケラマンはジェイクとパートナーのアリバイを確認する。当日2人は張り込みをしていたというが、彼らの話があまりに一致しすぎているため、事前に打ち合わせをしていたものと思われた。ケラマンは、彼らが監視用に使った車が目立つ高級車だったことから、車を他の目的(たとえば囮など)に使ったのではないかと思いつく。
ケニーは手錠で車の後部座席につながれ、十分に恐怖を味わった後に殺されていたため、ケラマンは個人的な怨恨だと判断。マンチは「麻薬がらみの処刑ではないか」と言うが、ジャデーロはハワードが口にした「凶器の銃はデリンジャー」という言葉に反応する。デリンジャーは60年代に警官が予備の拳銃としてよく所持していた物だ。
ケラマンはエドガー・ロジンスキーの記録を徹底的に調べ、同型の銃を発砲したという記録を見つけ出す。その時の銃弾はもう廃棄されているはずだが、まだ残っているように見せかけて、ジェイクのパートナーに脅しをかけると、彼は犯行を自供する。
ジェイクは起訴され、有罪の評決を受ける。
ジャデーロは「ジミー・ポールソン」のことを聞かれ、昔の話を聞かせる。70年代に警官が殺され、街中の警官が犯人を探したことがあった。その時は、犯人を見つけたら問答無用で殺せが不文律。だが良心的な警官のポールソンは犯人を追い詰め、生きたまま逮捕した。その日から、警官は誰一人としてポールソンに口を聞かなくなった。60~70年代は、夢の中ででも警官やその家族を殺したら、飛び起きて謝罪するような時代だった。
感想
エドガー・ロジンスキー殺しの容疑者は前編で釈放され、後編で射殺された遺体となって発見される。担当はルイス&ケラマン組。
状況からみて怪しいのは当然ジェイクなので、ルイスが担当してよいのか? という疑問も生じるわけだが、ハワードは2人にそれぞれ独自の単独捜査を命じる。ルイスが麻薬関連で、ケラマンがジェイクの線。ケラマンは親戚の結婚式で休暇をとり、前編の事件にはいっさい関わらずジェイクと面識もなかったので「クリーン」だから――なるほど、ケラマンが前編に登場しなかったのはこういうわけだったのか。
ルイスが追う路線は最初から見込み薄という印象があったが、案の定行き止まりになり、逆にケラマンの方ではジェイクの容疑がどんどん濃くなっていく。捜査の描写で、ケラマンの優秀さがよくわかる。
ルイスを除いたミーティングで、マンチが「売人の処刑手口に見える」と言ったのを聞いて、前シーズンの銃撃事件を思い出した。ボランダー、フェルトン、ハワードが銃撃され、プラットという有力容疑者が見つかったものの決め手がない。結局プラットは釈放されるが、その直後に射殺されてしまった。プラット殺害事件、犯人はマンチではないかと思わせつつも決定的な描写はなかったと記憶している。うーん、あれは結局どうだったのだろう。
凶器は見つからないが、ケラマンとハワードが同型の銃弾で脅しをかけ、ジェイクの共犯であるパートナーからまず自供を引き出す。こうなるとパートナーはもう、自分の身の安全しか考えていない。彼にしてみれば、パートナーに頼まれれば断れないが、そこまでの覚悟はなかったのだろうと思う。殺人課が本気で捜査するわけがない、と甘く見ていたのかもしれない。ケラマンは「殺人の片棒をかつぐのも良くないが、ここでパートナーを売るのも気に食わない」と露骨に嫌悪感を見せる。
この被害者も、殺人罪で有罪になっていれば死ぬことはなかった――と思うと何だか複雑だ。まぁ死刑判決が出れば別だけど、この時代メリーランド州の死刑制度がどうだったかは知らない。
ジャデーロが「ジミー・ポールソン」の話を語り、ジェイクとポールソンはどちらも、生まれる時期を間違えた――という台詞がこの前後編を締めくくる。だが私はどうしても前シーズンのプラット事件が気になってしかたがなかった。あの事件がケラマン担当だったら、彼はマンチの銃を調べただろうか?
ところで、そのプラット事件を担当して未解決のまま終わらせたベイリスはというと、何かペンブルトンと痴話喧嘩みたいなことをしていた。ランチを買い出しに行ったペンブルトンが、ベイリスの分だけ忘れたのが原因。あのサンドウィッチの山、ベイリスは結局全部食べたのか?