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Homicide - Season 3, Episode 19
#52 The Damage Done
- 邦題:「ダメージ」
- 脚本:Jorge Zamacona
- 原案:Henry Bromell, Tom Fontana
- 監督:Jace Alexander
- 初回放映:1996-05-03
事件概要
No.135 Muhammed Corson, No.136 Calvin Mathias 他
ルイスとケラマンは、頭を撃たれて死亡した麻薬売人の事件を担当。ケラマンは現場で「近所で別の銃撃事件があった」という報せを受け、その現場に向かう。そこではカルヴァン・マサイアスと妻のマルタ、息子のヤンシーの3名が頭を撃たれて死亡し、8歳の末娘リシェールがクローゼットに隠れていた。マサイアスも麻薬の売人だった。
リシェールは「ママに言われて隠れた」とだけ言い、犯人のことは何も見ず声も聞いていなかった。ケラマンは麻薬課で話を聞き、アロンゾ・フォルチュナード、通称「ドラック(ドラキュラ)」という男の手口らしいと知る。ドラックは犯行を否定し「やったのはルーサー・マホーニーだ」と言う。
その後、フォレスト・ピンデルという男が射殺され、さらにフロリダからコカインを運んで来たトラック運転手が36時間前に殺害されていたことがわかる。そのトラックはルーサー・マホーニーの荷を運んでいたのだ。ケラマン担当の麻薬関連殺人はこれで6名になった。
ルーサー・マホーニーは、表向きは実業家で慈善事業なども行っており、隙を見せない。事件当日は「シカゴにいた」と言う。
その後、買春で勾留中の男からドラックがマルタの家を訪れたという情報が入る。ルイスとケラマンは再度ドラックを訪ねる。ケラマンは銃の故障で撃つことができず、ドラックに銃を向けられる。ドラックは「誰かがルーサーの荷を盗んだので、自分はルーサーに狙われると知って警告しに行った」とあくまで無関係を主張し、ケラマンに銃を返す。ケラマンはドラックを逮捕せずに去る。
翌日、麻薬課の刑事が売人を殴って半殺しにしていた男を逮捕。その男は一連の殺人に使用された拳銃を所持しており、すべて自分がやったと認める。ケラマンは背後にマホーニーがいることを知りつつ、手を出せないことに苛立ちを見せる。
夜、ストリートの暴力撲滅を祈る市民集会が開かれ、ドラックが顔を見せる。そこへ1発の銃声が響き、倒れるドラック。ケラマンが顔を上げるとそこにはマホーニーの姿が――。
感想
麻薬販売の元締め、ルーサー・マホーニー登場。どうやらこの人物が、ケラマン、ルイスの宿敵になっていくようだ。インテリで見かけは慈善事業家、決して自分の手は汚さず表に出ることもない――という、The Wire のバークスデイルを思わせるキャラクターだ。演じているのは The Wire で検死医だった人だけど。
まず売人が1人殺され、次に売人一家の3人が殺され、次に同じ手口でまた1人。ケラマンの欄に赤い文字の名前がどんどん増えていくが、増え具合としては「スナイパー」ほどではないと思う(もっと言うと The Wire の空き家殺人の時がいちばんすごかった)。
「これは5件の殺人じゃなく1つの事件」とケイが言ったところで「6件だ」と追加が入る。冒頭でトラックの運転手が殺されていたが、その場面がどこにもつながらず宙ぶらりんになっていた。それがここでようやく発見され、どうやらそれが一連の事件の発端だったとわかる。つまり、その運転手がマホーニーの「荷」を運んでおり、誰かが襲撃して荷を奪ったために報復が始まり麻薬戦争になってしまったのだ。
これだけの大事件、この話だけで解決できるんだろうか? 次に持ち越し? とか思っていたらあっけなく解決してしまった。暴力事件を起こした男を逮捕してみたら、一連の犯行に使われた銃を所持しており、本人も「全部自分がやった。マホーニー?知らないよ」と言って終わり。どう考えても単独犯ではありえず、背後にきっとマホーニーがいるとしか思えないのだが、物証も証言もない。おそらく、この男がすべてをかぶって終身刑になり、マホーニーが家族の生活を保証してやるのだろうと思う。
マホーニーの漂わせる「大物感」が良い感じ。また、彼の名を口にした売人の通称「ドラック(ドラキュラ)」がルイスの高校の後輩であるという「地元感」が、リアリズムを伴ってじわじわ侵食してくるように感じた。善玉と悪玉、世界がすっきり分かれているわけじゃなく、お互いに同じ空間を共有して、その中で生活しているんだ、という描写がドラマに現実感を与えている、「ホミサイド」はそういうドラマなんだという印象が強く残った。
最後に、上のタイトルのところに書ききれなかった被害者リスト。Novak というのが運転手だよね。
- No.137 Marta Mathias
- No.138 Yancy Mathias
- No.139 Forrest Pindell
- No.140 Novak