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Law & Order - Season 2, Episode 10
#32 Heaven
- 邦題:「虚構の楽園」
- 監督:Ed Sherin
- 脚本:Nancy Ann Miller, Robert Palm
- 原案:Robert Palm
- 初回放映:1991-11-26
事件概要
People vs. James Collins & Domingo Guerra (判事:Malcom Freitag)
クラブ “El Cielo”(「天国」の意)で火災が発生、52名が死亡するという大惨事になった。放火であることが判明し、セレタとローガンが捜査に当たる。
病院に収容されたマネージャのギルベルト・アコスタは、火災が起きる前に、騒ぎを起こした客を外へたたき出していた。その男はギレルモといい、クラブで働くセリア・モンタルバノの恋人だったという。セレタとローガンはギレルモを取り調べるが、火災現場から発見された発火装置は巧妙な仕掛けで、ギレルモが使いそうな物ではなく、アリバイも確認された。ビルのオーナーはマルコスというキューバ人だが、火災で死亡していた。
病院に足を怪我し火傷を負った男が現れる。それはコックのセザール・ペスカドールで、脚の傷口にはまだプラスチックの破片を入れたままだった。セザールは抵抗するが、判事の判断で手術が強行され、そのプラスチック片はクラブの床と同じ素材であることが判明。
「警告」のためセザールに放火をさせたのは、“Del Mundo” というクラブを経営するキューバ人のドミンゴ・ゲラだった。ロビネットはそのクラブで大量のグリーンカード申請書を押収。ゲラはヒスパニックコミュニティの「ゴッドファーザー」的存在で、偽造グリーンカードが大きな収入源になっていると思われた。ストーンは、友人でグリーンカード発行の責任者であるロベルト・ディアスがゲラの恩恵を受けていたことを知る。だが実際に事件に関与していたのは、ディアスではなく部下のジェームズ・コリンズだった。
ゲラはコリンズの情報と引き換えに取引を提案する。コリンズは「プロフェッサー」と呼ばれる放火犯の協力を得てセザールを雇い、“El Cielo” のオーナーを脅して黙らせようとした。ストーンとロビネットは放火の前歴のある者から該当する人物を探し出し、コリンズが協力を要請したという供述を得る。
コリンズとゲラは第1級犯罪教唆(criminal solicitation)、第1級放火、第2級謀殺(53名)で起訴され、6週間の公判の後、25年~終身刑の判決を受ける。セザールは取引に応じ、15年の刑。
感想
53名が死亡する大火災。おしゃべりをしながら現場に現れた刑事2人が、路上に整然と並べられた遺体を見て、思わず言葉を失う。これほどの数の死者を見たのは、ローガン刑事は初めて。セレタ刑事は “Not in civilian life.” と言っていたので、軍隊経験があるのだろう。ヴェトナムかな?
この事件の元ネタは90年に発生した Happy Land Social Club の火災とのこと。この事件は結局、店の従業員の元彼が彼女を殺そうとしたものらしいのだけど(つまり、このエピソードで早々に容疑が晴れていたギレルモに相当する人が犯人だったみたい)。
- Fire in the Bronx; Social Clubs Quickly Turn Heavy Profits for Investors (NY Times 1990年3月30日)
このエピソードは、その事件を脚色して発展させ、違法グリーンカードビジネスという背景事情を暴いている。その謎解きにかなり時間をかけていて、法廷のシーンはほとんどなかった。最後の場面が初公判の、被害者の名前を1人ずつ読みあげている場面で、判決は最後に字幕で出ただけだった。
公判の場面は、ただ淡々と名前を読みあげるという描写がかえって、「大勢の被害者」にそれぞれの生活があったこと、その死を悲しむ遺族たちがいることを切々と感じさせる。
今回、刑事2人の出番はセザール逮捕のあたりで終わってしまい、黒幕のことは、検事2人が調べていた。警察と検察の守備範囲ってどうなっているのだろう。刑事さんは殺人課(homicide detectives)なので、偽造グリーンカードは管轄外なのだろうか。
セザール役の人、最近どこかで見た顔だと思ったら、NYPD Blueに登場した、マルティネスのお父さんだ!
— Yoko (yoko221b) 2007-06-24