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Law & Order - Season 3, Episode 7
#51 Self Defense
- 邦題:「撃つ権利」
- 監督:Ed Sherin
- 脚本:Hall Powell, René Balcer
- 初回放映:1992-11-11
事件概要
People vs. George R. Costas (判事:Edmond Francis)
乗用車の座席で射殺された若者の遺体が発見される。氏名はガーランド・ブッカー。付近の建物に血痕が見つかり、たどって行くと屋内にもうひとりの若者の遺体があった。こちらはセシル・ブッカー。2人は兄弟で、いずれも窃盗や障害などの前科が何件もあり、近辺では麻薬の売人として恐れられていた。
近くで貴金属店を営むジョージ・コスタスを取り調べると、2人を撃ったことを認めた。2人が入ってきて銃を出したので、正当防衛で撃ったのだという。コスタスはギリシャから移住してまだグリーンカードを得ておらず、銃の登録は妻の名でなされていた。そのためすぐに通報しなかったのだ。
だが現場を調べてみると、コスタスの供述と矛盾があることがわかる。また、コスタスの店に監視カメラがあったことがわかり、テープを提出させると、コスタスが銃で被害者を撃退した後、彼らを追って店の外へ出て行った様子が録画されていた。
ストーンは、コスタスが最初に警察の聴取を受けた時に嘘をついたことで、罪の意識があったと判断する。だが弁護人はコスタスがミランダ警告を受けていなかったことを理由に排除を申し立て、コスタスの供述は証拠から排除される。コスタスは任意で同行し、逮捕されていなかったため刑事は警告していなかったが、コスタスの側には「拘束されている」という認識があったと判断されたためだった。
現場付近の商店主たちは、一様にコスタスの行為を賞賛する。コスタスは以前にも別の街で強盗を射殺しており、その時も英雄扱いだったという。
その後、ガーランドを撃った銃弾が身体の下から上に貫通していたことがわかる。改めて車を調べると、座席の下に弾がめり込んでいた。ガーランドは逃げようとして車のキーに手を伸ばしていたところを撃たれたと考えられるが、座席の下に置いた武器に手を伸ばして反撃しようとしたとも考えられる。刑事たちの見解は分かれるが、いずれにしても、ブッカー兄弟が店から逃げ出した以上、コスタスの行為は正当防衛とはいえなくなる。
だがコスタスを逮捕した直後、弁護士は監視ビデオのテープをメディアに公開し、コスタスは自分の店を守った英雄であるとアピール。シフはセシルの件で罪状を武器の不法使用に落とし、ガーランドの件で取引するよう命ずるが、コスタスは「裁判になって無罪を勝ち取る」と息巻く。
公判が始まり、捜査についてはローガンが証言するが、弁護側はセレタを召還する。セレタ刑事は警官による発砲事件を何件も調査しており、発砲の正当性に関する専門家として召還されたのだった。セレタは証言台に立ち、「ビデオで見る限りにおいて」コスタスの行為には正当性があるが、同時に、相手が武器を手にしていると確認するまでは撃たないし、銃を手に誰かを追いかけている民間人を見たら逮捕するであろうと述べる。
ストーンは最終弁論において、コスタスがガーランドを撃った行為は正当防衛を逸脱するものであり「普通の市民が銃を手にし、復讐する相手を求めて通りを走ることが許される、そんな街にあなた方は住みたいだろうか? あなた自身がその相手と間違われるかもしれないのだ」と述べる。
評決はセシルの件は無罪だが、ガーランドの件は有罪であった。
感想
正当防衛か殺人か――シーズン1の「Subterranean Homeboy Blues(隠された過去)」を思い出させるエピソード。このエピソードでもゲッツ事件のことが言及されていたし、「正当防衛の機会を狙った復讐では?」という疑問が出る所も同じ。そんなわけで、ついにLAOでも焼き直しが……と最初は思ったものの、ちゃんと別の話になっていて面白かった。同じ動機で同じような事件を起しても、同じ結末にならない所がこのシリーズの面白さなんだと改めて思った。いつものパターンを楽しみつつ「今回はどうなるのかな?」と飽きさせないつくりになっているのだろう。評決がどうなるのか、本当に最後までわからないものね。
今回、コスタスは憲法の第2修正条項(人民が武器を持つ権利を定めた条項)や「ミニット・マン」を持ち出して主張するが、私としてはどうしても共感できるものではなかった。ミニット・マンというのは独立戦争を戦った民兵のこと。彼らは誰と戦ったのかというと、植民地に駐留していた英国の正規軍である。昨日までは自分たちを守ってくれる存在であった軍隊を敵に回して戦う以上、民間人が武器を持たないわけにはいかない。民兵とは本来、(不当な)権力を叩くためのものであった――この修正条項はそういう建国の事情を踏まえた文脈で捉えるべきだという話を聞いたことがある。確かに、憲法の条項としてはその方が納得がいく。
コスタスは「ギリシャでは警察と軍隊しか武器を持つことが許されなかった。この国では誰でも自分で自分の身を守れる」と言うのだけれど、私の感覚としてはやはり「警察に任せておける」社会の方が安心できる――と思うし、セシルの件を無罪(正当防衛)としても、ガーランドの件を有罪とした陪審員の評決も理解できる。
弁護人役の人、シーズン1の「Prescription for Death(死の処方)」にも弁護士役で登場していたが、今回は同じ弁護士でも名前が違う。LAOってそういうの多いね。演じているロン・リフキンは「エイリアス」のスローン役。最近テレ東でお昼に「エイリアス」を放送しているので、顔はよく見かけている。
それから、この話には「24」のライアン・シャペルことポール・シュルツが出演しているはずなのだが、いったいどこに? 2回見たけど全然わからなかった~。冒頭で登場したCSUのうちの1人かなぁと思うのだけど……どうだろう。
— Yoko (yoko221b) 2008-05-02