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Law & Order - Season 3, Episode 16
#60 Jurisdiction
- 邦題:「裁きの権限」
- 監督:Bruce Seth Green
- 脚本:Walon Green, René Balcer
- 初回放映:1993-03-03
事件概要
People vs. David Scott Zifrin
看護師2人が寮の部屋で刺されるという事件が発生。アロマは重傷を負い、ヴィクトリア・ヘミングスは左の薬指を切り取られた状態で死亡していた。
その後アロマは意識を取り戻し、「ヴィクトリアが男と争っていた」と言う。ブリスコーは、最近ブルックリンでも看護師の刺殺事件があったことを思い出す。ヴィクトリアはブルックリンのメタドン治療センターに勤務していたことがあった。
ブルックリンの事件の被害者はメアリ・デイヴィスという看護師で、メタドン治療センターで講師をしていた。ブリスコーとローガンは、看護師を襲う動機があるのは治療をドロップアウトした患者と推測し、アロマの目撃情報と合わせて容疑者を絞り込む。だが、そこへ「ブルックリンの分署で容疑者が自白した」という報せが入り捜査は中断。逮捕されたのは、デイヴィ・ジフリンという精神遅滞障害を持つ男性だった。
アロマはデイヴィの顔を見て犯人と認めた。デイヴィはヴィクトリアを刺したことを認め、侵入経路についても詳しく供述する。ブリスコーはデイヴィの犯行であると納得するが、ローガンは懐疑的。だがデイヴィのナイフから、ヴィクトリアと同じA型の血液が検出され、デイヴィは起訴される。弁護人のシャンバラ・グリーンは、デイヴィに刑事責任を問えるかどうか鑑定するよう要求する。
デイヴィの知能指数は78で、読み書き能力は小学4年生程度。だがデイヴィには犯罪に関する本を何冊も読み、犯罪捜査に憧れる面もあった。オリヴェットは、デイヴィは精神遅滞と言われることを嫌っており、頭が良いことを示すためであれば人を殺す可能性もあると判断する。
グリーンは、デイヴィに権利が正しく伝えられなかったことを理由に、供述を証拠から排除するよう申し立てる。ブルックリンの法廷はその申し立てをすでに却下していたが、マンハッタンの判事はグリーンの言い分を認める。ブルックリンで無罪になった場合に備えて、ストーンとロビネットは別の材料を探す。
ロビネットは、デイヴィが「メアリとヴィッキーはドラッグを使っていた」と主張していたことに注目する。その点を追及すると、アロマはヴィクトリアが薬物を横流ししていたことを認める。顧客の中で一人だけ名前がわかっていたのは、マーティ・レイクという人物で、ブルックリンで別の犯罪を犯して勾留されていた。マーティは、ヴィクトリアが殺害された後、彼女が隠し持っていた大量の薬物を売りさばこうとした男がいたと供述する。その男は、ヴィクトリアの指と指輪を持っていた。指のことはメディアには流れていないため信憑性が高いと判断し、ストーンはブルックリンの検事に話を通して取引しようとするが、マーティはすでにブルックリンのトレリ刑事にその情報を提供し、取引を断られたばかりだった。
ストーンはデイヴィが無実だという確信を得るが、ブルックリンの検事はあくまでデイヴィ犯人説に固執する。グリーン弁護士はストーンを証人として召還し、ストーンはブルックリンの法廷でマーティ・レイクの供述に関して証言する。だがデイヴィはすべての罪状で有罪の評決を受ける。
People vs. James Lee Pawl
ストーンは何とかしてレイクを証言台に立たせようと、麻薬犯罪を担当する検事ジェリー・シルボと交渉。シルボの権限はNY市全域に及ぶため、レイクを釈放させることも可能だった。ようやく取引が成立し、レイクはヴィクトリアを殺害したという売人を名指しする。それは、デイヴィが逮捕される前にブリスコーとローガンが取り調べていたジミー・ポールだった。
ジミーの自宅からは、殺害を示す証拠がいくつも発見される。ストーンは「殺人1件(ヴィクトリアの件)、暴行、窃盗、薬物の不法所持を合計すると50年以上の刑は確実だが、ヴィクトリアとメアリの件の両方を認めれば減刑してやる」と持ちかけ、最終的に25年の実刑で取引が成立。ストーンはマンハッタンの検事なのでブルックリンの事件に対して権限は持たないが、殺人の動機には麻薬が関係しているため、ジェリー・シルボを介して事件を渡してもらうことが可能だった。
キングス郡の検事フランク・ラザーは辞職、デイヴィ・ジフリンは控訴し、トレリ刑事はデイヴィを偽の自白に導いた罪で逮捕される。
感想
これは珍しい! ストーン検事が何と、証人(しかも弁護側の)として証言台に立ち、シャンバラ姐さんが尋問ですよ! 初めて……だよねえ、こういうパターンは。姐さん、すっごい楽しそう……。
この事件、ブリスコーとローガンがブルックリンへ事情を聞きに行った直後に容疑者が逮捕されたのは、やはりマンハッタンの分署に手柄を渡したくないという対抗意識だったのだろうか。トレリ刑事がデイヴィに「こう供述しろ」といろいろ教え込んだのは確かなのだろうが、検事の方はどこまで知っていたのだろう。うすうす気づいてはいたが、刑事の体面もあって言えなかった? ジミーが有罪を認めると、同一の事件で共犯でもない2人が同時に有罪ということになるのだが……。
最後のテロップでは、デイヴィは現在控訴中。つまり直ちに無罪放免、というわけにはいかないのね。これはブルックリンの事件で、麻薬特捜検事もそこまでは口を出せないということなのか。(少なくとも建前上は)公正な裁判で有罪の評決を受けた、という事実はそうそう軽く扱うわけにはいかないのだろうか。てかブルックリンの検事、辞職するくらいなら何とかしろよ。
ところで、このエピだったか2つ前の「Promises to Keep(秘められた思い)」だったか定かでないが、ストーン検事がオリヴェット先生のことを “Liz” と呼ぶ場面があった! 今まで、ローガン刑事は “Liz” と呼んでいたけれど、検事は “Elizabeth” だったはず。少なくとも「Point of View(揺らいだ中立性)」の時はそうだった(と思う)。ふむふむ~。
— Yoko (yoko221b) 2008-08-08