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lao:s03:063_virus

Law & Order - Season 3, Episode 19

#63 Virus

  • 邦題:「コンピューター・ウィルス」
  • 監督:Steve Robman
  • 脚本:Michael S. Chernuchin, René Balcer
  • 初回放映:1993-04-21

事件概要

People vs. John Cook (判事:Janine Pate)

ローガン刑事は「ホーガン・ヘイズ病院で6名の患者が殺された」という匿名の通報を受ける。そこは糖尿病を治療する病院で、確かに6名の患者が低血糖症を起していたが、死亡したのは2名で、3名はこん睡状態、1名が回復したという。死亡した患者のひとりは入院して24時間以内だったため、検死医に報告する義務があった。検死医は血糖値の下がり方が異常であると指摘する。しかも1時間以内に6名もそうなるのは極めて異例。

最初は担当の看護師ロドリゲスが疑われるが、取り調べの最中に、さらに3名の患者が同じ状況でこん睡状態に陥ったことがわかる。今回の担当者は別人、インシュリンも異常なし。機械の故障なら全員に影響が出るはず。被害者にこれといった共通点もない。

だが、血糖値を測定するプログラムを調べてみると、中にコンピュータウィルスが仕込まれていることがわかる。ブリスコーとローガンは、プログラムに仕込まれていた「署名」からクラッカーたちのネットワークを辿り、Striker Oneことジョン・クックに行き着く。ジョンのコンピュータからは、ウィルスプログラムが発見される。ローガンが受けた匿名の通報がジョンによるものであることもわかる。

だが、刑事たちが聞き込みを行った際に、ケニー・リンカーという若者が令状なしでジョンのメールボックスに侵入したことが「プライバシーの侵害である」と弁護側が申し立てる。弁護人の主張は認められ、その証拠が排除される。さらにそこから間接的に得られた証拠が使えないとなると、ジョンの氏名すらわからないことになり、事件は棄却されてしまう。

シフは「動機を探れ」と指示する。数多くの標的の中で、なぜホーガン・ヘイズ病院を選んだのか。そこから適法捜査によってジョン・クックの存在を知る、すなわち不可避的発見(inevitable discovery)に至ることができれば、証拠は再び使用できるようになる。

調べてみると、ジョンの父親ロバート・クックはホーガン医師の患者で、糖尿病により失明し、医師を訴えようとしていたことがわかる。ロバートはホーガン医師の医療ミスであると主張し続け、ジョンは父親に感化されていたという。これで、リンカーの情報がなくてもジョンの自宅を捜索するに十分な根拠が整ったと思われたが、判事はやはりストーンの主張を退ける。

People vs. Robert Cook

しかし、これらの証拠をジョンではなくロバートに対して使うことは可能だった。血液サンプルのデータを、ジョンがロバートから得ていたとすれば、共謀罪に問える可能性がある。

記録を精査してみると、ロバートが医師会に宛てた手紙に、病院のコンピュータから直接ダウンロードしたデータが添えられていたことがわかる。つまり、ロバートは息子が病院のコンピュータに侵入できることを知っていた。根拠として十分かどうか意見は分かれたが、ストーンは起訴を主張。父親を救うためにジョンが罪を認める可能性が考えられた。

ロバートは法廷で、ホーガン医師は自分の目を潰した、他の医師は医師同士で結託してホーガンをかばっている、弁護士もストーン検事も陰謀に加担しているとまくし立てる。陪審員が有罪の評決を下す可能性が生じ、ストーンはロバートとジョンを交えた話し合いを持つ。そこでジョンは「パパの目を潰し、僕らの家庭を壊したあいつに仕返しをしてやった」と罪を認める。


感想

タイトルがVirusで舞台が病院だったから、院内感染の話かな? と思ったらコンピュータウィルスの話だったのか。

違法捜査で得た証拠を排除するのはわかる。さらにそこから間接的に得られた「毒樹の果実」を排除するのも、まあいいとしよう。ただ、その同じ証拠を「こっちの被告人の権利は侵害していないから」と別の被告人に使うというのは、以前CSIに出て来た時も思ったけれど、やはりどうしても納得し難いんだなぁ。今回のが違法捜査かどうかはともかくとして(メッセージをクラッキングしたのは刑事じゃないから)違法なら違法じゃないのか、あっちで排除するならこっちでも排除するべきなんじゃないのか? というのは素人考えなのかなぁ。

違法収集証拠と不可避的発見、というとシーズン2のプレミアエピ「Confession(自白の行方)」を思い出す(マックス~~!)。この時は、すでに捜索令状が申請されており、判事の署名を待つばかりになっていたので、これはわかる。しかし今回、大勢いる潜在的容疑者の中からクック親子にたどり着ける可能性はどの程度あっただろう?

ジョン・クック少年は父親の医師に対する恨みに取り付かれてしまったのだが、彼が直接害をなしたのは医師本人ではなく何の関わりもない患者たちであり、その死を嘆き悲しむ大勢の家族たちがいた。ジョンがそのことに思い至った様子を最後まで見せなかったことを残念に思う。

作中で言及されたNix v. Williams(1984年)事件については、記事が見つかったけど読んでいる余裕がないのでとりあえずリンクのみ。

Yoko (yoko221b) 2008-09-09

lao/s03/063_virus.txt · Last modified: 2020-04-17 by Yoko