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lao:s04:075_born_bad

Law & Order - Season 4, Episode 9

#75 Born Bad

  • 邦題:「片隅の少年たち」
  • 脚本:Michael S. Chernuchin, Sally Nemeth
  • 監督:Fred Gerber
  • 初回放映:1993-11-16

事件概要

People v. Chris Pollit (判事:Martha Kershan)

全身を殴打されて死亡した少年が路上で発見される。発見したのはホームレスをシェルターに案内している神父だったが、着衣や持ち物から被害者がホームレスとは考えられない。

身元は、付近の中学校に通うジョニー・ラスキーと判明。学校では問題児だったが、問題を抱える生徒が多すぎてカウンセラーも手が回らず、母親は薬物のリハビリセンターに入所中で、ジョニーは里子に出されていた。ジョニーは同じ里子のクリスとアンディとともに出かけたが「突然いなくなった」という。

ブリスコーは、クリスが行動面に問題を抱えていることを知り、2人を追及。やがてアンディは、クリスとジョニーとともに盗みをはたらいたことを認める。その後クリスとジョニーは諍いを起こし、クリスは凶暴化してジョニーを殴ったり蹴ったりしたという。

クリスはかつて強盗事件を起こして矯正施設に入れられたことがあった。その事件では、クリスは現金がなかったことに腹を立て、店主を拳銃で撃ち怪我をさせていた。また、その後施設内でも暴力事件を起こしたことがあった。オリヴェットはクリスに面会して、責任能力があると判断する。

暴力事件の前歴があり、自分が何をしたかを理解し善悪の判断もつき、年齢も14歳以上であるため、判事はクリスを成人として起訴することに同意する。だが、弁護人はクリスが「本人の責任ではなく遺伝子的に暴力的な傾向がある」からと無罪を主張する。クリスの性染色体はXYYで、その遺伝子により暴力/犯罪傾向が備わってしまったというのだ。ストーンはその説は立証されていないと反論するが、判事は「判断は陪審員に委ねる」と決定。

法廷では、「XYY=暴力遺伝子説」を支持する研究者が証言し、クリスの実母は彼が幼少期から暴力的であったことや、父親や父方の親族に犯罪者がいることなどを証言する。

最終弁論の直前になって、弁護人は「第2級故殺罪で、被告人は18歳になるまで矯正施設に入り、その後は検察が選んだ施設に移る」という取引を申し出る。無罪評決が出る公算は十分にあるはずだったが、被告人の希望だという。クリスは法廷で弁護側から「遺伝的に凶悪で矯正できない」という主張を、訴追側から「生育環境が悪い」という主張を聞かされて絶望し「自分は人を殺したし、また殺すだろう」と自ら刑務所に入ることを望んだのだった。


感想

犯行の手口は残酷なもので、暴力事件の前歴があり、精神的にも年齢からも刑事責任を問える状態。形式上は何の問題もないはずの結末なのに、これはやはり間違っている。そんな割り切れない印象の残る結末だった。形式上問題がないからこそ「なぜこれが正しいのだろう」と思わずにいられない。被告人が刑罰を受け入れた瞬間、受け入れたことによりその刑罰が「重過ぎる」印象を帯びてしまう矛盾。加えて被告人は14歳の少年。刑事責任は問えても、法廷戦術を理解して割り切れるほど大人ではなかった。

男性の性染色体が「XYY」となる染色体異常により性質が凶悪になり犯罪傾向を持つようになる、という説はまったく信憑性はないと考えて良さそうだ。そのような俗説が広まったのはリチャード・スペックという大量殺人犯の話が基だったというが、この話自体がきちんと確認されていない。このエピでも「スペックはそもそもXYY遺伝子を持っていなかったので関係ない」ということになっている。劇中でオリヴェットが述べている「XYYの特徴」は平均より背が高いという程度。そんなのXY男性にだっていくらでもいるだろう。

それはそれとして、今回はクリス役の子が良かった。演じているWil HorneffはYoung Artist Awardを受賞している(クリス役と “The Yearling” という別のドラマの両方でノミネートされて、“The Yearling” の方で受賞したみたい)。今IMDbでチェックしたら、CSI:NYシーズン1のフィナーレ「この目に映るもの」にも、大学院生デニスの役で出ているじゃないか。

Yoko (yoko221b) 2009-01-06

lao/s04/075_born_bad.txt · Last modified: 2020-04-18 by Yoko