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Law & Order - Season 4, Episode 11
#77 Golden Years
- 邦題:「許されざる罪」
- 脚本:Doug Palau, Ed Zuckerman
- 原案:Doug Palau
- 監督:Helaine Head
- 初回放映:1994-01-05
事件概要
People v. Laura Bauer (判事:Margaret Barry)
82歳のミルドレッド・バウアーが自宅で死亡する。部屋には外から押し入った形跡があり、バウアー夫人は床に倒れていたが、襲われたかベッドから落ちて死亡したかは判然としない。家政婦マリア・ゴンザレスが住み込んでいたはずだが彼女の姿はない。
その後、マリアの居場所がわかる。彼女はミルドレッドの孫娘ローラが食事を与えなかったと主張する。マリアはローラの指示を無視して食事を与えようとしたために解雇されたが、その後心配になって様子を見に行った。呼び鈴を鳴らしたが返事がなかったため、恋人のフェリックスが扉を蹴破り、ミルドレッドが死亡しているのを見て逃げ帰ったのだという。
ミルドレッドの死因は実際に餓死であった。ローラは、食事を制限したのは医師の指示だったと主張するが、その医師は「別の医師にかかっているから」と診察を終了していたことがわかる。また、ミルドレッドが死亡する直前にローラが様子を見に行き、何もせずそのまま餓死するにまかせたこともわかり、ローラはミルドレッド殺害容疑で逮捕される。
弁護側は陪審員を選ぶ際に、65歳以上の候補者を問答無用で排除する。ストーンは、陪審員はコミュニティを代表するべきであり、被害者と同じ属性の者(高齢者)を排除すべきではないと主張するが、判事は弁護側の選択を認める。
検察は証人としてマリアを出廷させようとするが、その直前「マリアがドミニカに送還される」という報せを受け、寸前で阻止。マリアはドミニカからの不法滞在者だった。送還されそうになったのは、入国管理局に匿名の通報があったからだというが、その通報をしたのはローラだった。ストーンは法廷でそれを指摘し、ローラを追及する。ローラは泣き出し「祖母は病気で身体が弱り、死にたがっていた。自分は努力したが祖母を説得できずに死なせてしまった」と認める。
ニュースでその証言のことを知った神父がストーンの事務所を訪れる。ミルドレッドは病気を苦にし、数ヶ月前に神父に対して「これ以上生きることは苦痛です」と言ったという。神父は「生きる努力を放棄することは自殺に等しく神に背くことである」と、その場では説得したつもりだったが、ミルドレッド本人がその後も死を望んでいたとすれば、この事件は根本から崩れることになる。
自殺したとわかれば、教会の墓地に葬ることはできない。嘘をつくことは後から許される可能性があるが、自殺は許されることのない唯一の罪であるため、ローラは嘘を重ねたのだった。ストーンは自殺幇助の罪での取引を検討するが、シフは「その罪状では有罪とは考えられない」と難色を示す。つまり、ストーンと弁護人は、ローラが重罪で有罪になる可能性があることを理由に、彼女が犯していなかったと思われる軽い罪状を認めさせようとしていることになる。それで良いのか、と問われたストーンは「このシステムで、不完全な知識の基では、それで良い」と認める。
感想
自殺というのは、そんなにいけないことなのだろうか。もちろん、しないに越したことはないし身近な人には絶対にしてほしくないのだが、「自殺させるくらいなら私が殺す」と考えるほど悪いことだろうか。CSIにもあったが、カトリック教徒からこの台詞が言われるたびにそう思う。決して許されることのない唯一の罪(sin)が自殺であるとは。私としてはやはり「死者に鞭打たず」とする考え方の方がしっくり馴染む気がする。
今後ミルドレッドさんとローラはどうなるのだろう。神父はミルドレッドを墓地に葬ったままローラを「殺人者」として遇し、赦しを与えるのだろうか。自殺をより重い罪(sin)とする教会と、殺人をより重い犯罪(crime)とする現世の刑事裁判がそれぞれ軽い方の罪で裁くということか。L&O版大岡裁き――と言っていいのかどうかわかんないけど。
劇中で引用されている Georgia v. McCollum は92年の合衆国連邦最高裁判所の判決で、陪審員の選任において刑事被告人は人種のみに基づいて理由なし忌避(Peremptory challenge)を行ってはならない、とするもの。検事の台詞を引用すると「黒人を暴行した罪に問われている白人の被告人は、陪審員から黒人を排除してはならない」ということになる。同じように人種に基づく理由なし忌避を禁じた判決には、86年の Batson v. Kentucky があるが、こちらは検察側に対する禁止しか述べていなかった。
— Yoko (yoko221b) 2009-01-07