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Law & Order - Season 5, Episode 3
#91 Blue Bamboo
- 邦題:「女性の敵」
- 脚本:René Balcer, Morgan Gendel
- 原案:René Balcer, Hall Powell
- 監督:Don Scardino
- 初回放映:1994-10-05
事件概要
People v. Martha Bowen (判事:Joseph Rivera)
(日本人の人名は適当に当て字)
東京でナイトクラブを経営する林進郎がホテルで射殺される。ヴァン・ビューレンのもとには朝日新聞、ニッポン・ウィークリー、ジャパン・タイムズなど日本のメディアからの取材が殺到。
通話記録や目撃証言などから、マーサ・ボーエンという歌手が現場にいたことがわかり、逮捕される。マーサは2年前に東京へ行き、林の経営するクラブで歌手をしていたことがあり、その当時も給料などをめぐるいざこざがあったという。
マーサは逮捕されるが、被虐待女性症候群(BWS:Battered Woman Syndrome)を主張。東京時代、マーサは歌手として歌うのではなく売春をするよう命じられ、パスポートを取り上げられて帰国もできず、逆らえば殺すと脅されていた。林がニューヨークに来たと知ったマーサは「自分を探しに来た」と思い込み、正当防衛で林を撃ったのだという。
マッコイらは、BWSは雇用関係には当てはまらないことや、虐待が終わってから1年以上経っていることを根拠に、復讐のための計画殺人であることを主張する。
エリザベス・オリヴェットはマーサと面接し、彼女は「BWSの典型例」と診断。マッコイはオリヴェットの証言をあきらめ、「典型例」であることに着目してマーサのアパートを捜索させ、BWSに関する大量の文献を発見。
マーサは証言台に立ち、クレアは反対尋問で、マーサの「BWSの典型例」を示す言動がことごとく本からの引用であることを指摘する。マッコイの意向により、判事は「被害者の人種、国籍、過去の言動、日本の社会や文化を考慮しないように。陪審が判断すべきは被害者ではなく被告人の行動である」と説示する。
感想
日本人としては、何というか複雑な印象を禁じ得ないエピソード。日米貿易不均衡、ジャパンバッシングの時代を思い出すなぁ……日米の文化摩擦を描いた漫画『オフィス北極星』が連載されたのもこの頃ではなかったっけ。もはやバッシングではなく「ジャパンパッシング」(日本素通り)と言われ、かと思うと日本のサブカルチャーが注目を浴びたりする今日この頃、15年も経てばもうねぇ、隔世の感があるわ。
まぁ、でもマッコイ検事も裁判長も「被告人の人種や国籍などを考慮しないように」と仰ってくださっているので、ここは遠慮なく「林って最低」と言わせていただこう。もう無罪でいいよ無罪で。供述が本と同じだというが、自分の置かれた立場を理解するために本を読み、のめりこんで繰り返し読むうちに、自分の感情と本の記述が混ざってしまうことってあると思う。
だが、この裁判でマーサが無罪になったことを「女性の権利の勝利」と言うのであれば、ロシアや東欧から人身売買同然に連れて来られた女性たちがアメリカ人男性を殺害したとしても、やはり同じ結論を下すのだろうね、と釘を刺しておきたい気持ちはあるけど。
ところで今回のマッコイ検事は精神科医のドクター・オリヴェットと対立。全員とひととおり対立しておかないといけないのだろうか。
台詞の中に出てきたケネス・ビアンキは、12人もの女性をレイプしたうえで殺害し、多重人格の演技で罪を逃れようとした殺人犯。
— Yoko (yoko221b) 2010-02-28