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Law & Order - Season 6, Episode 1
#112 Bitter Fruit
- 邦題:「復讐の代償」
- 脚本:René Balcer, Jeremy R. Littman>Jeremy Littman
- 監督:Constantine Makris
- 初回放映:1995-09-20
事件概要
People v. Nicholas Capetti
空き地で少女の遺体が発見される。誘拐され、拘束されたうえに撲殺されたものと思われ、失踪人届けを調べた結果、ジョディ・ゲインズ12歳とわかる。ブリスコー刑事は、新しいパートナー、レイ・カーティス刑事とともに捜査に着手。
ジョディは失踪当日、ピアノのレッスンを受ける予定だったが、現れなかった。カーティスは、スクールバスの運転手がジョディを降ろした場所の近くに銀行のATMがあることを思い出す。防犯カメラには、ジョディが連れ去られたと思われる時刻に白いバンが映っていた。ジョディの遺棄現場でも同じようなバンが目撃されている。運転していたのは、窓の修復業者ニック・カペッティ。カペッティは「事件の夜は母親の家で食事をしていた」と言ったため、母親の自宅を調べると、ジョディの遺体をくるんでいたものと同じ柄のシーツが発見される。
ニックは逮捕されて起訴されるが、罪状認否手続の最中、突然銃声が響く。ジョディの母親カレン・ゲインズがニックを射殺したのだ。
People v. Karen Gaines (判事:Eric Caffey)
カレンはその場で逮捕される。マッコイはカレンを起訴しようとするが、世論は彼女に同情的。シフは「無罪の評決が出た場合の悪影響を考えろ」と取引を指示する。マッコイが第1級故殺罪、弁護士が第2級故殺罪を主張したため交渉は決裂しかけるが、キンケイドが「第1級故殺罪で量刑は判事に一任してはどうか」と機転をきかせ、被告人もそれを了承する。
カレンの元夫は離婚の際、カレンが鎮痛剤の依存症であることを理由にジョディの親権を得ていたが「カレンは治療を受けて立ち直ってからは、ジョディの良き母であり、できるだけ長く一緒に時間を過ごそうとしていた」と証言する。判事は、2年以下の実刑でワークリリースを認めるなど、第1級故殺罪としては異例の軽い刑を言い渡す。
キンケイドは刑事たちとともに関係書類をまとめて最終報告書を作成しようとするが、その途中で、ニックの雇い主フランク・サリヴァンとカレン・ゲインズの間に接点があったことを発見。カレンとサリヴァンは、依存症の治療のため同じグループセッションに参加しており、そこで恋愛関係にあったというのだ。
取調べを受けたサリヴァンは「すべてカレンのアイデアだった」と言い出す。依存症を理由に元夫が娘に会わせようとしなかったので、「子どもに会えない辛さをわからせてやりたくて」ニックに誘拐を依頼したという。
元夫のゲインズは、ジョディが行方不明になった当初、実はカレンではないかと疑った。離婚後、カレンは何かにつけてゲインズを非難して苦しめていた。だが、まさか殺害に関わったとは思わず、ゲインズは弁護士の言うままに「カレンは良き母だった」と証言したのだった。
マッコイは「カペッティが母親に何か話したかも」と、あらためてカペッティ夫人に話を聞く。マッコイが「誘拐を指示したのがカレンであることがわかれば、殺人罪で起訴できるかも」と言うと、夫人は急に「事件の日にニックがカレンに電話をした」と言い出す。ジョディと争いになって怪我をさせた後、ニックはカレンに電話して「病院に連れて行く」と言ったが、カレンが「そんなことをすれば全員逮捕される」と言って止めたという。カレンの関与について、夫人がそれをマッコイから聞かされるまで知らなかったことは明らかであり、キンケイドは「これは偽証ではないか」と非難するが、マッコイはそれを承知で「実際に証言までさせる必要はない」と言い、「自分の望みは死者のための正義と生者のための尊厳だ」と、カレンの起訴に踏み切る。
People v. Karen Gaines (判事:Janine Pate)
弁護側は「検察側の材料は、間接的な伝聞にすぎない」と棄却を申し立てるが、マッコイは「言った本人に訴追の危険が生じる場合(statements against penal interest)は伝聞の例外とされる」と主張。判事はマッコイの言い分を認め、カペッティ夫人の証言を採用する。
マッコイとカレンは改めて交渉の場を設けるが、その途中でカレンは取り乱して元夫を非難し、「こんなはずではなかった」と叫び出す。マッコイは第1級故殺罪で6年の実刑を求める。
その後、ゲインズ氏は娘の死亡に関して元妻を訴える。かつて愛し合っていたはずの2人の争いは終わらない。
感想
前シーズンでマイク・ローガン刑事が去り、新しくレイ・カーティス刑事を迎えた初めてのエピソード。今までローガン刑事のパートナーがグリーヴィからセレタ、ブリスコーへと変わっていった時は、それほど大きな変化は感じなかったのだが、カーティス刑事の登場でようやく雰囲気が変わってきたかな、と思う。カーティス刑事はヒスパニック系(後のエピソードで「母方がペルー出身」という言及あり)のイケメンで、生真面目で家族思い。今回の被害者はカーティス刑事自身の娘と同年代だったらしく、かなり感情が入ってしまっている様子だった。現実で夫にするならともかく、ドラマのキャラとしては、あまり面白みがなくて取っ付きにくいんじゃないのかなぁ……という心配がなきにしもあらず。ブリスコー刑事ともまだしっくり行ってないようだし。前シーズンと同じように、前半10話くらいかけてゆっくり馴染んでいく覚悟で見るべきかもしれない。
さて今回の事件、前半での注目点はやはりカーティス刑事が得意そうなハイテク捜査! 最近の捜査ドラマではもう基本中の基本だし初期シーズンでも防犯ビデオが登場するエピソードはいくつかあったものだが、今回の描写では「新しい捜査手法」という印象をより強く感じた。理由はおそらく、従来の「現場の状況を把握する」役割ではなく、証拠の一つとして「分析対象」にするというアプローチの違いからであろうと思う。血痕分析やDNAとともに、5年後にCSIが誕生する下地が出来上がりつつある時代の流れを感じる。
そして罪状認否法廷での発砲というハプニングを経て事件の様相が一変し、後半での注目点はマッコイの偽証教唆(←と言っていいよね、あれは)。こういう強引さがマッコイらしいといえばそうなのだが、そこがやはり私にとっては全面的にマッコイに共感できない部分なわけで。1話目からちょっと微妙なもやもやが残ってしまったが、メンバー交替に加えてNYの司法制度が大きく変わる節目でもある今シーズン。最後までしっかりと付き合っていこうと思う。
— Yoko (yoko221b) 2011-08-22