Table of Contents
Law & Order - Season 6, Episode 7
#118 Humiliation
- 邦題:「屈辱」
- 脚本:Michael S. Chernuchin, Barry M. Schkolnick
- 監督:Matthew Penn
- 初回放映:1995-11-22
事件概要
People v. Mark Danforth (判事:Lewis Getman)
売春婦のグウェン・ジョージが路地裏で殺害される。銃で3発撃たれ、バッグには2000ドルの現金があった。現場付近では治安に目を光らせている住人がおり、「客」たちの車のライセンス番号を書き留めていた。彼らを順番に調べていくうちに、近所の商店の防犯ビデオから、客のひとりである整形外科医のダンフォースが嘘をついていた(店に立ち寄ったといったのに映っていなかった)ことがわかる。
ダンフォースは犯行を否定するが、前の週にATMを4回利用し、500ドルずつ引き出していたことがわかる。合計すると2000ドルでグウェンが持っていた金額と一致するため、グウェンに恐喝されていたという可能性が浮上する。ダンフォースは現金は使っていないと主張し、「室内装飾の仕事をしている妻が、調度品を購入したのではないか」と言う。
ダンフォース夫人は現金についての夫の話を裏付けるが、刑事たちは夫をかばって嘘をついているのではないかと疑う。一方、グウェンを殺害した銃は、ダンフォースが登録している物と種類が一致。その銃は自宅に保管してあったはずだが、刑事に聞かれて夫人が置き場所を見ると、なくなっていた。ダンフォースはグウェン殺害容疑で逮捕される。
検察はグウェンがダンフォースを恐喝していたことを立証しようとするが、彼女は同居していた友達にも何も話していなかった。ただし事件の当日、グウェンがいつも商売をしていた場所の公衆電話からダンフォースの自宅に3度電話がかけられていたことがわかる。また、ダンフォース夫人は2000ドルを引き出して調度品を買ったと言うが、買ったものの合計金額は1200ドルにしかならなかった。
マッコイは直接の証拠がないことを理由に訴追に難色を示すが、キンケイドはダンフォースの犯行を確信し「この程度の状況証拠で起訴した前例はいくつもある」と主張。マッコイは「ならば君がやればいい」と言い、キンケイドが単独で訴追することになる。
公判でダンフォース夫人は「疑惑の2000ドル」に関して調度品を買ったことを証言するが、キンケイドが1200ドルのレシートを見せると急に自信を失い「他にも買い物をした」と言うが、どこで何を買ったかは明言できなかった。
キンケイドは、彼女が証言に備えて準備していなかったことを不審に思う。金額が合わないことはすでに夫人に問い質していたのだ。キンケイドは、夫の買春に怒った夫人がわざと不安定な証言をしたのではないかと疑うが、ダンフォース医師には有罪の評決が下される。
キンケイドは判決公判の前にさらに背景調査を行い、ダンフォース医師の買春はこれが初めてではないことや、現場付近に医師の車がいることが2度通報されていることなどを調べ上げる。1度は近隣の住人によるものだが、2度目の通報は医師が会計士と会っていた時刻に匿名の女性から行われていた。夫人がグウェンを殺害し、夫に罪を着せるためにわざと通報したのではないかという疑惑が生じる。銃を提出しなかったのは、彼女の犯行であることを夫に知られないためだとすれば説明がつく。
マッコイとキンケイドは弁護人を呼んで一芝居打つことを提案。そして夫人の同席の下で医師に面会し、「証人の証言に間違いがあり、犯行時刻は推定より30分後だった」と告げる。その時刻なら医師にアリバイがあることから、公判がやり直されることになる。
するとその直後、夫人は凶器の拳銃を提出し「これを調べていただければ夫の無実がわかるはず」と言い出す。夫妻は今の家に引っ越した時に荷物を一部夫人の母親の家に預けており、それを捜査の後で思い出し、前日に母親の家へ行って銃を見つけたという。だが夫人には警察の監視がつけられており、その日に母親の家には行っていないことがわかっていたのだ。もはや言い逃れはできず、夫人はその場で夫を罵倒する。
その後、夫人の弁護人は第1級故殺罪での有罪を受け入れる。
感想
クレア・キンケイド検事は今までも法廷で尋問を行ったことはあったけれど、単独で殺人事件を担当するのは初めて。そして見事に有罪を勝ち取るものの、判決前に冤罪であることがわかってしまう。初めての殺人事件で、せっかく有罪になったのに「冤罪でした」なんて認めるのは相当抵抗があったのじゃないかと想像するのだが、割とあっさり結論を翻していて潔い。まぁ結局真犯人を特定できたのだから、一度だまされたのは帳消しかな。
夫人は金額の矛盾を追及されるところまで考えて脚本を練っていたと思うが、脚本に忠実に演じすぎたのが敗因か。「夫をかばう妻」なのだから、一度金額の矛盾を追及されたところで、ウソでもいいから(ってウソに決まってるけど)何か取り繕う様子を見せておけば良かったのに。あまり上手くやりすぎると夫が無罪になってしまうので、それも難しいところだけど。
夫の女遊びに怒り、相手の女を殺して夫に罪を着せ、一石二鳥を狙う――これ最近CSIでも見たな。もちろん、こちらの方が10年以上先行しているし、事件ストーリーって無限にバリエーションがあるわけじゃないのもわかっているけど、何というか、ちょっと損した気分。
夫人にボロを出させようとして、検事と弁護人が一芝居打つ場面は、少しコミカルな(このシリーズにしては)雰囲気があって良かったと思う。
— Yoko (yoko221b) 2011-11-05