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Law & Order - Season 6, Episode 13
#124 Charm City
- 邦題:「ボルティモアからの刺客」
- 脚本:Michael S. Chernuchin, Jorge Zamacona
- 監督:Ed Sherin
- 初回放映:1996-02-07
事件概要
People v. Brian Egan (判事:Fred Naughton)
ハーレムからダウンタウンへ向かう地下鉄の車両内で毒物が撒かれ、20名の乗客が死亡する。現場で発見された証拠から、犯人は毒物を割れやすいガラス瓶に入れ、それを紙袋に入れて車両の床に置いて下車したと思われた。ラッシュアワーで混雑する車両内で瓶はすぐに踏まれて割れ、毒物が放出されたのだ。車内で紙袋を持っていた男がいたことがわかり、似顔絵が犯罪情報センターに公開される。
ボルティモア市警殺人課のペンブルトン刑事は事件の経緯を知り、自分が5年前に担当した事件と同じ犯人だと確信する。その事件では教会に毒物が撒かれて6名が死亡し、目撃者により犯人が「白人男性」だということだけわかっていた。
ペンブルトンはパートナーのベイリス刑事とともにNYへ向かい事情を説明する。ヴァン・ビューレンは「容疑者が見つかったら連絡します」とだけ言って門前払いしながらも、メリーランド州の車を探すよう通達する。その中から盗難車が見つかり、ブリスコーとカーティスは犯人が駅へ向かったことを知る。
一方、門前払いされたペンブルトンは独自に捜査を始め、ボルティモアの化学会社に似顔絵を流し「ブライアン・イーガン」という氏名を突き止める。ボルティモアではマンチ刑事がイーガンの息子を訪ね、父親の予定を聞き出す。イーガンが列車で帰る予定だと知り、ペンブルトンらは駅へ向かうが、イーガンは一足先にNYの刑事に逮捕されていた。
ブリスコーとカーティスはイーガンを取り調べるが成果がなく、途中でペンブルトンとベイリスが交代する。だがイーガンが「話したくない」と言ったのに質問を続けたため、ヴァン・ビューレンは取調べを中断させる。彼らのボルティモア方式はNYでは通用しないのだった。イーガンは「教会に子どもがいたことは知らなかった」と口にするが、その供述は証拠から排除される。
しかし目撃証言と物的証拠があるため、マッコイはイーガンを第1級謀殺罪で起訴。弁護人は「マンハッタンの地下鉄が標的で陪審員がマンハッタンの住人では公正な判断ができない」と場所の変更を求め、後半はウェストチェスター郡で行われることになる。
公判で弁護人は、乗客の中に犯罪前歴者が何人もいたことを持ち出し、イーガンが「乗客の中で彼だけが白人であったために犯人と名指しされた」と印象付けようとする。ボルティモアの教会で「白人の男が逃げるのを見た」という女性が証言するが、彼女は現在ムスリムに改宗しており、過激な指導者であるルイス・ファラカンとの関連を示唆される。
マッコイはイーガンに共犯者がいることを確信し、「仲間の名前を言えば死刑を求刑しない」と取引を持ちかけるが、イーガンは「自分は氷山の一角。仲間は増え続けている」と不敵に笑うだけだった。
「ホミサイド 殺人捜査課」シーズン3「歪んだ愛国心」に続く…
感想
「ホミサイド 殺人捜査課」とのクロスオーバーエピソード、前編。冒頭で発生した地下鉄の毒ガステロ事件は、前年(1995年)起きた東京の地下鉄サリン事件がヒントになっている。路上に遺体が並べられている場面を見ると、当時の混沌とした報道が思い出され、17年経った今でも少々不安な気持ちにさせられる。
それはともかく、今回の毒物はサリンではなかったようだ(名前は失念)。5年前にも同じ手口の事件があったということで、「ホミサイド」のペンブルトンとベイリスがボルティモアからNYへ出張。前年にマイク・ローガン刑事が被疑者を護送してNYからボルティモアへ行った場面を思い出す。
で、こちらの2人と合同捜査が始まるのかと思ったら、ヴァン・ビューレン姐さんがいきなり門前払い。しかし、ちゃっかりと「メリーランド州の車」を手配して容疑者を発見する。一方ボルティモア側も独自に捜査を始めて被疑者の氏名を割り出す。電話していたペンブルトンが「オペラの演目は知らん」と言ったので、相手はきっとマンチだろうと思ったらやっぱりそうだった。
ボルティモアではマンチ刑事がイーガンの自宅を訪問。この場面が後半で重要になるので覚えておこう。
NYではペンブルトンとベイリスがようやく捜査に合流し、取調べを途中でバトンタッチ。自白を得られそうになるが、NYでは許されないことをやってしまったため、案の定証拠からは排除されてしまう。「ホミサイド」でペンブルトンの取調べを見ていると、「これってL&Oでは許されるのだろうか」と気になるのだが、やはりNYでは許されないということがよくわかる。といっても今回のは、ペンブルトンの取調べとしてはかなり大人しいと思うんだけど。
さて後半は公判。今回は審理を行う法廷がウェストチェスターなので、いつもと法廷が違う。
場所は変わっても検事として法廷に立つのはやはりマッコイなので、何が違うのかというと陪審員。ウェストチェスターはNY州の郊外にある郡で、マンハッタンのベッドタウンでもある。全米でも有数の高級住宅街があるということなので、東京で言うと自由が丘や田園調布のような所? 陪審員も裕福な白人が多くなる。対してイーガンはハーレム居住の貧しい黒人を狙った、米国版ネオナチのような男。検察側に不利かと思われるが、評決は有罪になる。
う~ん、何だかいつもと比べて裁判場面はあっさり終わったような印象。普段だと法廷でもう少し話が二転三転すると思うのだが。マッコイが法律書をゴミ箱に捨てるパフォーマンスをやったことぐらいかな。今回はやはり、クロスオーバー前編ということもあって警察パートに重点が置かれたように思う。普段だと裁判場面が事件の締めくくりになるわけだが、今回はまだ続きがあるから。
— Yoko (yoko221b) 2012-02-17