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Law & Order - Season 7, Episode 4
#138 Survivor
- 邦題:「生還者たち」
- 脚本:Barry M. Schkolnick
- 監督:Vince Misiano
- 初回放映:1996-10-23
事件概要
People v. Richard Petersen
アンティークショップを経営するスティーヴン・キャンベルが、自分の店で頭を殴られて殺害される。店には貴重な古いコインが大量にあり、高価なものが手つかずで残っているかと思えば、総額2000ドル程度の記念コインが数枚なくなっていた。また、リチャード・ピーターセンという人物から委託販売を受けていたコインのコレクションもなくなっているという。
その後聞き込みを続けた結果、キャンベルはピーターセン・コレクションを実際には誰にも見せず「鑑定に出している」「韓国人に売った」などと言っていたことがわかる。だが目録上は金庫に保管されていることになっており、キャンベルがアジアに荷物を送った記録もなかった。
刑事たちは令状を取ってピーターセンの自宅を捜索し、キャンベルの店からなくなった数枚の記念コイン(ピーターセン・コレクションとは別の物)を発見。店の金庫にあった指紋も一致したため、ピーターセンは逮捕される。ピーターセンは、記念コインはキャンベルとの賭けで得たものであり、一緒にビジネスをしているので金庫に触ったことは何度もあると主張。
キャンベルがピーターセン・コレクションを誰にも見せず、金庫にも入れていなかったということは、ピーターセンに黙って売り払った可能性が高い。実際、キャンベルは商売がうまくいかず金銭問題を抱えていた。だが、それが動機であると主張するためには、ピーターセンがそのことを知っていたという証拠が必要だ。
People v. Judith Sandler
ロスは、ピーターセン・コレクションについて何度も電話で問い合せてきた女性がいたことを知る。ピーターセン・コレクションは最近雑誌の記事に取り上げられ、彼女はその記事を読んで「これは自分の家から盗まれたものだ」と主張したという。秘書は、コインはキャンベル氏が持っているとだけ言って済ませていた。だがその女性はその後、もう一度ピーターセンに電話をして本人と話している。もし彼女が「キャンベル氏はコインを持っていない」と告げていれば、動機を証明できる。
ピーターセン・コレクションの前の持ち主を調べたところ、1935年にミュンヘンでイシドール・シェーンベルグという人物が持っていたとわかる。ナチスが台頭した時、シェーンベルグはコインをスイスの銀行に預けた。アウシュヴィッツから生還した後、彼はコインを取り戻そうと必死に努力したが果たせなかったという。彼は1948年に米国に移住し、本人はすでに死亡していたが夫人はまだ健在。ピーターセンに連絡したのは、娘のジュディス・サンドラーだった。ジュディスは美術品の修復師をしており、雇い主の話では、ホロコーストを経験した両親の影響で、感情の起伏が激しく神経質で閉所恐怖症だという。
ロスは刑事2人を伴ってジュディスの自宅へ行き、「自宅を見せて欲しい」と頼む。ジュディスは断ろうとするが、3人に詰め寄られて仕方なく扉を開ける。現場で発見された物と同じガラスの破片が付着した靴が発見され、ジュディスは逮捕される。
だがジュディスの弁護人は証拠の排除を要求。ロスは「ジュディスの同意を得て自宅に入った」と主張するが、閉所恐怖症の人間を取り囲んで詰め寄るのは強制に等しいので同意とはいえないというのだ。判事はジュディスの証言を聞いて証拠を排除する。
そこへピーターセンと弁護士が現れ「起訴を取り下げろ」と要求。シフは棄却に同意するが、ロスは彼がコインの行方に興味を示さないことを不審に思う。実際、コインはまだ発見されていない。ピーターセンはそのコインを担保にローンを組んでいるが、銀行には「鑑定中」「預けてある」などと言って実物を見せていなかった。それまでの信用があるので、銀行も疑っていなかったのだ。
ロスは、ジュディスの母親から預かったオークションカタログの目録が、そっくりピーターセン・コレクションと一致していることに気づく。1931年のオークションでは、シェーンベルグを含め20人の人物がコインを競り落としていた。ピーターセンは、複数のコレクターから別々に買い取ったと主張するが、20人の参加者に競り落とされてヨーロッパ中に散らばったコインが、65年後にすべて同じコレクターの手に渡ることがありうるのか。
ピーターセンはようやく、図書館で古いカタログを見つけて詐欺に利用しようと思いついたことを認める。ジュディスはコインの話が嘘で、無駄に殺人を犯したことにショックを受ける。
感想
アンティークショップでの事件。ロスが刑事2人とジュディスを訪ねて「部屋を見せてほしい」と強引に詰め寄った場面で「あぁこれは証拠排除だな」と思っていたら、案の定排除されてしまった。令状はないが、本人の同意を得たので形式上は問題ない。しかしロスたちはジュディスを取り囲むようにしてじりじりと近づいて行ったので、それが「強制に等しい」と判断されてしまった。閉所恐怖症なのを知りながらああいう行動に出たので、これはまぁ最初から覚悟の上だったのかもしれないが(もしロスが弁護人だったら、ぜったいに排除を要求したはずだ)。
さて、それはともかく肝心のコインはどこからも見つからず、ピーターセンの態度も相変わらず怪しい。貴重で高価なコレクションだというのに、その行方にあまり熱心でないし、それどころか情報を隠し警察の捜査を嫌がっているようにも見える。
それもそのはず、ピーターセン・コレクションなるものは最初から存在していなかったのだ。ピーターセンは被害者と組んで、架空のコインコレクションをでっち上げて詐欺をはたらいていたのだった。これは警察の捜査を嫌がるはずだ! 真相を知ったときのジュディスは本当に気の毒に見えた。ピーターセンも、まさか自分の詐欺ネタがこんな結果を引き起こすとは思ってもみなかったのだろう。詐欺の相手は大手の銀行や裕福な医師や歯科医たちばかり。金持ちからちょっと騙し取るぐらいの気持ちだったのだと思う。
ジュディスは故殺罪で8年半から25年の実刑。ピーターセンの詐欺は連邦の管轄になるらしく、連邦検事との間で取引が成立し、こちらはもっと軽い刑で済みそうだ。他のドラマだと、ジュディスのためにお父さんのコインを探してあげるような場面がありがちだが、このシリーズではそういう「ちょっと良い話」は期待できないのだろう。そういうリアルさが良さでもあるのだけど。
ところで、最初の事件現場の場面で、くるくる巻き毛の鑑識員の後姿が映ったのだが、これがCSI:NYのステラに見えて一瞬「おや」とか思ってしまった。ちなみにこちらではCSIではなくCSU (Criem Scene Unit)。
— Yoko (yoko221b) 2012-06-10