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Law & Order - Season 7, Episode 8
#142 Family Business
- 邦題:「ファミリービジネス」
- 脚本:Gardner Stern, Barry M. Schkolnick
- 監督:Lewis H. Gould
- 初回放映:1996-11-20
事件概要
People v. Laura Bergreen (判事:Grace Larkin)
デパートの重役を務めるリチャード・スピーゲルが、閉店後の店内で射殺される。リチャードの妻ケイトは、デパートのオーナーの娘で、現在は姉のローラとともに共同経営者になっている。ケイトは服飾、その他の経営はリチャードとローラが行っていた。
そのデパートは服のデザインをめぐってデザイナーのメディチと争っており、さらにメディチとケイトが不倫をしていたこともわかるが、メディチはアリバイが成立。ケイトは「不倫のことは夫も公認で問題はなかった」と言う。
リチャードは殺害される直前に、横領や不正などの企業犯罪を専門に扱う弁護士に連絡してい。ローラのもとでデパートの経営は悪化していたが、彼女は父親に知られないよう違法な手段でそれを隠蔽していた。スピーゲルはそれを知ってローラと対立していたらしい。
その後、近くで強盗事件が起き、それに使われた銃がスピーゲル事件の凶器と判明する。強盗犯はデパートの近くのゴミ箱で銃を拾ったと主張。銃身からはローラの指紋が検出される。
銃の登録者は、ケイトの精神的な指導と犬の世話をしているジェフリー・アーボーであり、銃はケイトが持っていたという。ケイトはリチャードから「離婚して子どもの親権を取る」と脅されていたのだ。銃はケイトのもの、指紋はローラ、動機は両方にあった。ローラとケイトは2人とも殺人罪で逮捕され、マッコイとロスが別々に圧力をかける。
アーボーが牧師の資格を持っていたため、ケイトの弁護士は「聖職者と信徒の会話として秘匿特権が適用される」として証拠の排除を申し立てる。そこでロスはローラのマッサージ師から話を聞き、事件の前日ローラとケイトが電話で話し合い、「何とか彼を止めなければ」と激しい口調で話していたことを知る。
ケイトは会話の内容を告げることと引き換えに全面的な免責を要求。マッコイはそれに応じるが、姉妹の会話は本来、共同謀議を裏付ける証拠であるはず。父親がアリバイを証言すれば2人とも無罪になる可能性もある。マッコイとロスの間で意見は分かれるが、マッコイはローラが主犯でかつ実行犯であると信じ、「少なくとも1人は有罪にできる」と取引を進める。
公判が始まり、ケイトは「リチャードはローラを経営から外そうとしていたので、ローラは何をしてでも彼を止めようとした」と証言。続いて父親のシーモア・バーグリーンが証言する。シーモアは当初「事件当日はローラもケイトも自分と一緒にいた」と言っていたが、証言台では前言を翻し「その夜ローラは私と家にいたが、ケイトはいなかった。ケイトは夜遅く帰宅して私にアリバイ工作を頼み、翌朝リチャード殺害を告白した」と述べる。
マッコイは、シーモアがケイトの取引のことを知って偽証したことを確信し、偽証罪を調べるために5日間の猶予を得る。マッコイはシーモアを逮捕するが、誰も主張を変えず取引にも応じず、結局成果なしで公判を再開。陪審員はローラに無罪の評決を下す。
感想
冒頭で恒例になっている被害者発見前の小芝居、今回は警備員とその彼女だった。閉店後に売り場を見回り、不審人物を発見――と思ったら、実は彼女を売り場に忍ばせてロールプレイングまがいのデート。そこへ銃声が響き、いつものドラマ開始。本筋とはまったく関係のない内容なのだが、手を変え品を変えてけっこう丁寧に作っている。「冒頭小芝居マニア」の人もいるんじゃないかと思う。
今回の容疑者と被害者は、有名デパートを経営する一家とその婿。デパートはローラとケイトの姉妹が共同経営者になっており、ケイトの夫で重役のリチャードが被害者。ローラには経営をめぐる動機、ケイトには不倫と離婚をめぐる動機がある。使われた銃はケイトの物だが、検出された指紋はローラの物。ただし、指紋があったのは銃身なので、撃ったという立証はできない(犯人が銃を捨てた後、誰かが拾って強盗に使ったので指紋は消えてしまったと思われる)。
父親は最初、娘は2人とも自分の家にいたと供述する。この父親は病気で引退し、現在はケイトと一緒に住んでいる。しかし、父親は「娘たちと一緒にTVでニュースを見た」というのに、姉と妹は顔を合わせていないというのだ。どういうことかと追及すると、まずローラが家に来て9時のニュースを一緒に見た。ローラが帰った後、ケイトと一緒に10時のニュースを見たとのこと。一応つじつまは合っているが、不自然極まりない。
その後、ローラとケイトが電話で犯行を話し合っていたらしいとわかり、ローラが主犯だと確信するマッコイは、ケイトと取引をし、ケイトは証言と引き換えに全面的な免責を手に入れる。
さぁここで来るぞ~と思ったら案の定。父親が病身を押して証言台に立ち、自ら供述したはずのケイトのアリバイを否定し「ケイトが夫殺しを告白した」と証言する。父親がケイトの免責を知って偽証したのは明らか。こうすればローラも無罪になり、2人とも罪を逃れることができるのだから。ここは少々predictableだったように思う。
父親はローラの弁護人を通じて免責のことを知ったようだ。弁護人は「事実を伝えただけだ」と言うが、マッコイは「実質的に偽証の教唆に等しい」と非難する。そりゃ免責されたと聞けば、ねぇ。免責された方に罪を着せれば2人とも無罪放免なのだから、そりゃ偽証するだろう。それに偽証の教唆ってことでは、マッコイもあまり偉そうなことは言えないと思う。
マッコイは父親を偽証罪で逮捕するが、それでも誰も主張を変えようとしない。これはもう、家族ぐるみで共同謀議したも同然かもしれない。家族でも罪を突きつけられると途端に裏切り合ってしまうケースもあるのだろうが(マッコイもそれを狙ったのだろう)、今回の家族は結束が固い。弁護士の入れ知恵もあっただろう。偽証罪も立件できず、「金持ちが罪を逃れるのはこれが初めてではない」とマッコイもあきらめ気味。
前回の親子は何年かかっても追及する気なのに、今回は早々にあきらめちゃうんですか? と言いたくなるようなラストシーンだった。せめてもうちょっと粘りを見せてほしかったかな。
— Yoko (yoko221b) 2012-06-17