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#5 Sylmar
- 邦題:「シルマー」/「過激派トラック爆弾テロ」
- 脚本:Richard Sweren
- 監督:Constantine Makris
- 初回放映:2010-10-20
事件概要
ビリー・ミラー、ニッキー・ミラー
民家で爆発事故が発生し、幼い兄妹が死亡する。亡くなったのは、その家を訪れていた女性の子ビリーとニッキー。住人のロニーは中で覚せい剤を製造しており、爆発後に車で逃走。母親のキムは最初「忘れ物を届けに来ただけ」と主張するが、話に矛盾があり、追及されてロニーと浮気していたことを認めるが、覚せい剤のことは何も知らなかったと言う。
ロニーの母親と姉はリシーダ在住。母親は覚せい剤の件を一笑に付し、薬品は「模型飛行機の材料」だという。調べてみると、ロニーが模型飛行機用の燃料を大量に購入していたことがわかるが、現場に燃料の痕跡はなかった。
車が発見されロニーが逮捕されるが、燃料は見つからない。ロニーは、燃料のことはまったく何も知らないと主張する。爆発現場を検証した結果、爆発の原因は変性アルコールと判明。覚せい剤の製造中の事故ではなく、何者かがロニーの命を狙って変性アルコールを混入させたものと思われた。現場に入ったのは、姉エイミーの婚約者テリーだけ。
改めてロニーの実家を調べたところ、エイミーがイスラム過激派としてアメリカを糾弾する動画が発見される。燃料を注文したのもエイミーだったのだ。動画にはテリーの他に数名の仲間が映っていた。顔認識で仲間の身元がわかり、交遊関係を調べた結果、彼らは車爆弾を製造し、感謝祭でにぎわう空港を標的にしているらしいと判明。エイミーが協力者の名前を自供し、テリーと仲間らは逮捕される。
だが罪状認否法廷に軍人が現れ「軍事法廷で裁く」と被告人を連行。担当検事のデッカーは、JAGの有罪率が低いことを気にし、彼らを「殺人罪」で起訴し公開の法廷で裁くべきであると主張する。デッカーの主張が認められ、被告人は州に身柄を戻される。
弁護側は、彼らは「イスラムの戦士」として米国に戦いを挑んでいるのだと主張しようとするが、土壇場でデッカーが空港爆破などテロ行為での起訴を取り下げ、ビリーとニッキーの殺害のみに関して争うと宣言。これで弁護側は法廷で彼らの「戦い」を主張できなくなってしまう。
エイミーが出廷し、テリーが結婚をエサに自分をだまして弟を殺そうとしたと非難するが、弁護人から指輪の写真を見せられると態度を一変させ、ロニーを殺そうとしたのは自分だと主張を変える。だがデッカーが再尋問に立ち「イスラムの女性は常に夫に従い、何をするにも夫の許可を得なければならないのでしょう……弟を殺す時も」と言うと、答えられず絶句する。
テリーら被告人には全員、第1級殺人で有罪の評決が下される。
感想
前回は医療マリファナ、今回は覚醒剤問題かぁ……と思っていたら、途中から意外なびっくり展開に。
アメリカ人でイスラム教徒というと、ブラック・ムスリムか中東系かと思っていたが、今回の「イスラム過激派」たちはごく平凡に見える白人の若者たち。政治にも宗教にも深く関わらず、日常の仕事や雑事に追われるだけに見えていた彼らが、ある瞬間にテロリストに変貌し、過激な主張を叫び始める――というのは、とてもドラマチックな展開に見えるのだが、ドラマチックすぎて現実感が湧かない。
彼らはなぜここまでイスラムに深く傾倒し、罪もない子どもを殺した(意図的ではなかったとしても)ことに何の罪悪感も抱かず、さらに過激な破壊工作に進んでいけるのか。エイミーについては「孤独につけ込まれた」と言われていたような気がするが、それだけでここまでするかなという所の説得力に欠ける。他の仲間についても、背景事情や彼ら自身の思いがまったく伝わって来ず、ただ決まりきったスローガンをわめき立てるだけに終始したような気がする。
弁護人はWaTのスポ校長でCSIの保安官代理だったので、これはもう最初から悪そう。デッカーの戦術で政治的な主張を封じられた時は、いい気味と思う反面、少々物足りなく感じた。その後、指輪作戦でエイミーの気持ちをがしっとつかんでまんまと偽証させてしまうわけだが……これも弁護側の作戦勝ちというよりもエイミーの愚かさだけが印象に残る感じで、何だかなーと思ってしまった。あんた自分さえ愛されていれば他はどうでもいいんかい!
それでも、エイミーが「どうしてもそうせずにいられなかった」という気持ちの動きがしっかりと描写されていれば良かったかもしれないが、この人たちは「社会に溶け込んでいるテロリスト」を描写するためだけに「動かされている」感じがしてどうにも共感のしようがなかった。彼らに比べたら、冒頭に出てきた不倫妻やその夫の方がまだ「血の通った」描写がなされていたように思う。この2人、子どもが死んで不倫がばれてもうダメかと思ったら、裁判には2人で傍聴に来ていたので、もしかするともう一度やり直そうと話し合っているのかもしれない。
今回担当のデッカーは、やはり彼らしく信念と正義を貫いて敢えて困難な道を行。ようやく最終弁論が聞けたし、裁判の結果自体に文句はない。前回のモラレスと比較して「情熱で動くモラレスと理念で動くデッカー」という対比があるのかな? と思ったが、人物像の確立にはまだもう少し時間がかかるかもしれない。
タイトルの「シルマー」はかなり郊外の方にあって、こんな所まで管轄? と思うような場所。でも作中ではあまり出て来なかったような……。デッカーが「シルマー出身の2人の子ども」と行っていたので、被害者の家がある所かな。
ところでTV.comによると、捜査中に出てきたスタジオが、本家のLA出張編(シーズン7)で容疑者が働いていた所なのだそうだ……うーん、悪いけどぜんぜん記憶にないわ。ごめん。
- Sylmar – TV.com
— Yoko (yoko221b) 2013-11-16