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#16 East Pasadena
- 邦題:「イーストパサデナ」/「汚職の街」
- 脚本:Richard Sweren
- 監督:Christopher Misiano
- 初回放映:2011-04-18
事件概要
アマンダ・ラッセル他
元海兵隊員のアマンダ・ラッセルが殺害される。同居していた恋人のデイヴは自分が犯人だと思い込むが、デイヴは事件当時泥酔していて、殺害できたはずがない。また、デイヴは鍵を持っていたのに扉にはこじ開けた跡があり、第三者の犯行であるとわかる。アマンダは除隊後にイーストパサデナで経理の仕事をしていたが、「不要なはずの罰金や認可料が徴収されている」と話していたという。
溶接や配管の仕事を請け負っている業者に聞いてみると、デタラメな書類で法外な認可料が請求されていることがわかる。刑事たちは業者を装って囮捜査で証拠をつかみ、市の事務員スーザン・フォアマンを逮捕。どうやら街ぐるみで大々的な不正が行われており、黒幕は経理部長のドン・ウィーラーと警察のペトラチェリ警部補だとわかる。
モラレスとTJが市庁舎へ向かうと、そこではスーザンの夫のマイク・フォアマンが銃を持って議場に立てこもっていた。2人は現場へ踏み込み、さらに、応援として駆けつけた警官たちも発砲し、フォアマンは死亡。その場にいたドン・ウィーラーも死亡していた。駆けつけた警官の中には、ペトラチェリの姿があった。
フォアマンはモラレスの、ウィーラーはペトラチェリの撃った弾丸で死亡したことがわかるが、ペトラチェリは「ウィーラーが弾道に入った」と主張。モラレスは、市長が犯人しか知りえないことを話すのを突入前に聞いており、市長や助役も関わっていることを確信する。アマンダを殺害したのもペトラチェリであろう。デッカーとルビローサは市の職員に聞き取り聴取を行い、市長や市議が高額の給与を得ていることを知る。不正はヴェルマンが市長になってから始まっており、マイク・フォアマンは以前に不正を告発しようとしたが、脅されてあきらめていたという。
アマンダが殺された直後、ペトラチェリは市庁舎に電話をかけていた。その発信場所がアマンダの自宅から離れるように移動していたこと、着信先の内線があった議場には、その時刻に市長と助役とウィーラーがいたことがわかる。アマンダ殺害の実行犯はペトラチェリであると判断され、ペトラチェリ、市長、助役は逮捕される。
弁護人はモラレスが聞いたというウィーラーと市長の発言内容を排除するよう求めるが、判事は却下。そこで弁護人はモラレスの精神鑑定書の開示を求める。モラレスは現場で発砲したため、規定に従って精神鑑定を受け、問題なしとする医師の判断で現場に戻っていた。鑑定書には当然、秘匿特権が認められるが、弁護人は「隠し事がなければ開示を認めても良いはず」と食い下がる。弁護人はモラレスが異常者であるかのように喧伝し、警察署長もモラレスに圧力をかける。
モラレスが開示をためらっていたのは、会話の中でパートナーのTJのことを話していたためだった。議場に突入する際、モラレスとTJは二手に分かれ、モラレスが合図したがTJは突入をためらっていた。ウィンターズが死んでからTJは遺族の支えになっており、自分にもしものことがあったら――という迷いがあったのであろう。TJは鑑定書を読み、「事実に反したことは書かれていない」と開示に同意する。
だが問題になったのはTJのことではなく、モラレス自身が20年前、パトロール警官時代に容疑者を射殺したことだった。弁護人は「人を射殺したことで罪悪感を感じ、自分を正当化するために記憶を捏造した」と印象づけようとするが、モラレスは「警官として、元検事として、偽証することほど罪悪感を伴うことはない。記憶を作ることはあり得るが、私は断じて作っていない」と断言。デッカーはアマンダやモラレスが危険を顧みず、法と正義のために尽くしていることを強調し、「被告人たちこそがモラレス刑事に対して罪悪感を感じるべきである」と述べる。
評決は全員有罪となり、ペトラチェリは死刑、他は25年から終身刑の判決が下される。
感想
ウィンターズの存在が忘れられていなくて良かった。冒頭の「天国は海兵隊が守っている」発言から始まり、デッカーの弁論にも(直接の言及はもちろんなかったが)アマンダとともにウィンターズへの追悼の気持ちが込められているように思えた。
しかし事件を詳細に見ていくとやはり、首を傾げざるを得ない点が……。
弁護側は、モラレスが容疑者を射殺したことで、その罪悪感から偽記憶を作り上げたのだろうと言うが、あの場面でモラレスが罪悪感を感じたとして、それと偽記憶は結びつかないと思う。モラレスが撃ったのはフォアマンひとりだけ。フォアマンは銃を振り回して立てこもっていたのだから、あの状況での発砲は正当であるし、むしろ市長たちが善人だったほうが罪悪感が軽減されるような気がする。フォアマンが死亡したことで証人がいなくなり、汚職を含む全体の把握と立証が困難になったことは確かだが、だから代わりに記憶を作っちゃいましたというのも、ちょっと飛躍がありすぎる。
モラレスの証言も何だか。「私は断じて記憶を作っていない」って、いくら本人が断言しても無駄なような……。だって本人が「絶対に本物」と思っているのが偽記憶なのだから。
アマンダを殺害した実行犯がペトラチェリなのは確かなのだろうが、立証の根拠は電話だけ? もっと他に確かな証拠か証言はなかったのだろうか。死刑事件でもあることだし、CSIでなくてももうちょっと物証を揃えようよ。
今回の舞台、イースト・パサデナ市は架空の土地なので地図は省略。「イースト・パサデナ」という地名自体は読んで字のごとくパサデナの東にあるが、市というほど大きなものではないので、現実のこの街とは無関係と考えて良いと思う。市長まで関与していた大規模な汚職事件は、カリフォルニア州のベル市で実際に起きた事件が元ネタになっているとのこと。
— Yoko (yoko221b) 2014-01-05