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#22 Angel's Knoll
- 邦題:「エンジェルスノール」/「美人教師とカジノ強盗」
- 脚本:Peter Blauner
- 監督:Vincent Misiano
- 初回放映:2011-05-25
事件概要
ジョージ・パトリック
従弟の結婚式に出席する予定だったジョージ・パトリックが、宿泊中のホテルの浴室で殺害される。シャンパンの瓶で首を切られ、財布と時計を盗まれたうえ局部を切り取られていた。
ジョージはカジノのフロア主任で、質店業者に10万ドルもの借金があったが「もうすぐ返す」と言っていたという。刑事たちは、ジョージがカジノの金を盗む計画を立て、共犯者に消されたのではないかと疑う。恋人で小学校教師のリズ・ベネットが仲間らしいとわかり、彼女の自宅を調べると、現金強奪に使えそうな機材などが発見される。そして本人はその頃、現金輸送車の運転手になりすましてカジノの金150万ドルを強奪していた。ジョージは現金強奪のために必要な情報を渡した後、用済みとして殺害されたものと思われた。
事件後、現金輸送車は発見されるが現金とリズの姿はない。防犯カメラの映像からリズが逃走に使った車がわかるが、登録主はリズの兄ダン・ラスマンだった。ダンの通話を監視した結果、リズの物と思われる携帯電話がわかり、リズがフォルサムにある刑務所の刑務官と連絡を取っていたことがわかる。刑事たちはリズが刑務官に現金を渡しに来たところを取り押さえ、逮捕。
リズが助けようとしていた受刑者は、300億ドルの詐欺で50年の実刑判決を受けたウォルター・カルヴィン。カルヴィンには子どもが3人おり、長男は自殺、二男がダンで、末娘がリズだったのだ。リズはウォルターが刑務所で暴力を振るわれていることを知り、父親を金で守ろうとしたものと思われた。リズは父親の無実を信じ「皆は父が騙し取った金を隠していると言うが、父は無実。お金も持っていない」と言い張る。ウォルターは「娘が人殺しなどするわけがない」と言いつつ「娘のしたことは私とは無関係だ」と協力を拒む。
しかしウォルターは、暴行を受けたように偽装して娘に金をせびっていたらしいとわかる。ウォルターは受刑中の身でありながら、こっそり高価なワインや売春婦をトレーラーで運ばせ、贅沢を楽しんでいた。カジノの窃盗もウォルターが黒幕らしいとわかり、検事はウォルターを起訴。彼はすでに60代で、今更刑期が増えたところで実質終身刑なのは変わらないが、重罪犯用の刑務所へ送られると、こっそり贅沢を楽しむこともできなくなってしまう。リズは父親の素行について聞かされてもいっさい耳を貸さず、取引を拒否。
リズの弁護人は、自分の弁護料を手配したのがウォルターの弁護士で、マダガスカルの口座から複数の銀行を経由して送金されたことをデッカーに知らせ「この情報が役に立ったらリズの量刑を考慮してほしい」と頼む。ウォルターが騙し取った金の多くは回収されておらず、海外の秘密口座に隠されていると噂されていた。
ウォルターと弁護士はその事実を突き付けられると、資金に関する情報と引き換えに軽警備刑務所での服役を要求するが、パトリック殺害に関しては「娘を売ることなどできない」と取引を拒む。地方検事のハーディンも殺人より資金回収を重視する。
だが調べてみると、マダガスカルの口座などは存在せず、取引のために弁護士も協力して仕組んだこととわかる。重警備刑務所へ送ると脅されたウォルターは、リズがパトリックを殺したと言い、それを証明する会話の録音と引き換えに軽警備刑務所での服役を要求。
デッカーは取引をのんで録音を手に入れるが、リズはパトリックとの協力を嫌がり「いなくなってほしい」と言っていたが、殺すと明言してはいなかった。さらにその中の会話から、ウォルターの愛人ジェンとパトリックが同じ言い回しを使っていたことがわかる。改めて調べたところ、ジェンは10年前に客を殺害して局部を切り落とすという事件を起こしていた。デッカーはパトリック殺害の実行犯はジェンだったと確信するが証拠がない。
デッカーはジェンが「ウォルターが子どもたちをバカにして嘲笑っていた」と話す録画をリズに見せるが、彼女は父親を裏切らず証言を拒否。このままでは殺人罪で起訴できるのは実行犯でないリズ1人だけで、ジェンは証拠がなく、ウォルターは重窃盗罪だが軽警備刑務所に送ることになってしまう。
だが、デッカーは法廷で「誤解を招く悪意のある証拠を渡した」からという理由で取引を反故にし、重警備刑務所への移送を通達。ウォルターは激昂し、次の審理のために入廷したリズに対し「殺しを自供して私を助けろ」と怒鳴りつける。
感想
う~ん、何だかよくわからない結末。あの後リズは父親の呪縛が解けて証言する気になったのだろうか。取引をわざと反故にしてみせる、というのは父親の姿をリズに見せるための策略かと思ったのだが、デッカーはリズを殺人罪では起訴しないと言う。ということは?
事件当日、リズがパトリックの部屋に行きバスタブに入れ、その後ジェンが手を下した――というデッカーの読みが正しければ、リズの証言でジェンを起訴できる可能性がある。ジェンは自分が助かるためなら平気でウォルターを売るだろう。黒幕のウォルターが殺害を指示し、「犯人はリズだ」と嘘の情報を教えたことがわかれば取引は当然無効で、重警備刑務所は免れないだろう。
しかしリズが殺人罪で起訴されないのであれば、証言の見返りとしてリズにどんな利益があるのだろう。重窃盗罪の量刑をうんと軽くして執行猶予を付けるとか? あるいは呪縛が解けた反動から父親を罰するために一切合財全部話してしまうとか? ドラマの描写だけでは何とも判断がつかない。そもそもジェンが殺害の実行犯だというのも、物証があるわけではないし、本当はリズが殺していてもおかしくないのではないか。そのあたり、他の場面を削ってでももうちょっと説明の描写を入れてほしかった気がする。
さて、最後の事件がいささか消化不良だったのはどうにも困ったものだが、総合的に見てLOLAというドラマ自体には可能性があったと思う。ダメだったのはやはり中盤でのキャスト入れ替え。最初交代制だったテレンス・ハワードとアルフレッド・モリーナを毎週出演させることにしたのは良いが、検事から刑事への鞍替えはやはり無理があったと思う。両方出したいなら無理な転職をさせず、本家のマッコイみたいに片方を地方検事に昇格させるべきではなかったか(ハーディンさんにはLAの市長選挙にでも出ていただいて)。
でも今さら言っても仕方ないね。途中では(今回も)いろいろ文句を言ったけど、それでもシリーズ全体としては十分面白かったと思う。終わるのは残念だけど、見ている間は楽しかった。ありがとうLOLA!
タイトルのエンジェルスノールはLAの中心部にある公園のようだが、ここは何がある場所だっけ? 冒頭で被害者が泊まっていたホテルかな?
— Yoko (yoko221b) 2014-01-18