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Law & Order: UK - Season 2, Episode 6
#19 Masquerade
- 邦題:「いい子の悲劇」
- 脚本:Richard Stokes
- 原案:Jeremy R. Littman
- 監督:Hettie MacDonald
- 初回放映: 2010-10-14
事件概要
Crown v. Sally Douglas
アジア系の大学生、アーチー・ラーマンが自宅で殺害される。部屋には誰か他の人物がいた形跡があった。
部屋に残されていた図書館の本と監視カメラの映像から、女子学生のサリー・ダグラスが現場にいたことがわかる。サリーは関与を否定していたが、現場からサリーの指紋が発見され、ようやく事実を認める。
サリーはアーチーと知り合って意気投合し、部屋でワインを飲んだところ、薬が混ぜられていたらしく動けなくなり、レイプされたと言う。その後、アーチーがまた襲いかかってきたので、その場にあったナイフをつかんで夢中で刺した、と正当防衛を主張。
検察はサリーをアーチー殺害で起訴。アジア人の若者が殺害されたことよりも白人女性がレイプされたことに注目が集まり、またアーチーが少年時代に「女子生徒を襲った」ため停学処分にされたことも暴露される。その事件はアーチーが13歳の時の物で、上級生に煽られた悪ふざけとして警察沙汰にはなっていなかった。アーチーの素行に関しては検事の意見も分かれる。
サリーの通話履歴を調べたところ、アーチーの住むマンションの公衆電話を使って連絡を取り合っていたことがわかる。つまり、事件の日に初めて会ったというのは嘘だったのだ。検察はその点を材料に取引を提示する。アリーシャは、自らも性犯罪被害者として証言台に立った経験を打ち明け、サリーを説得しようとするが、弁護側は取引に応じず、事件は公判に持ち込まれる。アリーシャはサリーの反応を見て、レイプは嘘だったと確信する。
サリーの父親は、「よそ者のレイプ犯をかばうのか」と怒り、両親がバングラデシュの出身であるアーチーをあからさまに見下すような態度を取る。
医療記録により、サリーが家庭内暴力を受けていたらしいとわかり、スティールはその点を法廷で尋問する。サリーは以前、黒人青年と交際していたが、その時父親から手首を強く掴まれて骨折。家ではあらゆる点で父親からの干渉を受けており、アーチーと交際していることを打ち明けられなかった。アーチーはそれが不満で堂々と交際することを望んでおり、言い争いになって思わずナイフで刺してしまったのだった。
サリーは殺人罪で有罪の評決を受ける。
感想
前回、フィリップスが自身のレイプ事件に言及しなかったことが何か、心理的な問題の複雑さを表しているのかと思ったら、今回あっさり口にしていてやや拍子抜け。何だ、特に意図はなくて今回のために「とっておいた」だけだったのだろうか。確かに、2回続けてそういう話をさせるのはちょっと「重苦しい」感じがあるし、どちらかにするならやはり今回の方だろう。サリーの反応を見て嘘だと気づく重要な場面であるから。
それにしてもちょっと性犯罪が多すぎないだろうか。今シーズン、まだ6話目なのに、2話、4話、5話とこの6話が性犯罪関連。やるなとは言わないし、もちろん殺人が関わっているので担当範囲なのはわかるけど、ちょっと多すぎ。性犯罪の話をメインに描きたいなら、本家ではなくSVUをリメイクするべきでは?
さて今回の事件、本家のエピソードはシーズン7「恋する二人」。本家の原題が “Good Girl” なので、何だか今回の邦題の方が合っているみたいで混乱する。
本家の方では性犯罪と殺人、警察内部での地位と属性、その構造に「男性と女性」「黒人と白人」という視線が複雑に絡まっている感じが興味深かったのだが、今回は人種よりも性犯罪の方が強調されていたように思った。その理由はやはり、フィリップスの件が重ねられたからだろうと思う。
その分すっきりとわかりやすい構成になったとも言えるのだけど……やはり今回の話のキモは、その「複雑さ」だったと思うのだ。フィリップスが過去を乗り越えて活躍するエピではなくて。彼女が優秀で粘り強く正義感があって強い精神力を持っていることはもう十分にわかったので、そろそろもう少し描写を控えめにしてはどうかと思う。
ところで、サリーが有罪になったのは良いとして、罪状は謀殺(Murder)で良かったのだろうか。状況からは故殺の方がふさわしいように思えるのだが。
— Yoko (yoko221b) 2015-10-11