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Without a Trace - Season 1
#1 Pilot
Once we find out who she is, odds are we'll find out where she is.
- 邦題:「自由の代償」
- 脚本:Hank Steinberg
- 監督:David Nutter
- 初回放映:2002-09-26
事件概要
失踪者:マギー・カートライト(28歳、出版社勤務)
出版社に勤めるマギー・カートライトがアパートから姿を消し、消息を絶つ。最後に目撃されたのはアパートに帰宅するところで、翌日出勤しなかったという。旅行に出た様子も争った形跡もなかった。ジャック・マローンが率いるFBI失踪者捜索班が事件を担当、その日からマーティン・フィッツジェラルドが新しくメンバーに加わる。
防犯カメラには、夜中の2時過ぎにバックパックを持って裏口を出て行くマギーの姿が映っていた。だが財布もカギも部屋に残っていたことが符合しない。
マローン班は「失踪者の人となりをしれば居所もつかめる」という方針の下で聞き込み捜査を進める。マギーは、会社では優秀な社員、母親には従順な娘、父親には性関係のこともあけすけに話し合う友達のような娘、といったように、いくつもの役割を使い分けていた。同時に、同僚と不倫をしたりコカインを利用したりといった問題も抱えていたらしい。
その後、母親のもとへ身代金を要求する脅迫状が届く。だがその一方で、マギーが株や債権を整理し失踪の準備を整えていたらしいこともわかる。マギーの父親は、彼女が支配的な母親の下で息苦しい思いをしていたこと、最後に会った友人のトムは「彼女は何か追いつめられているようだった」と話す。失踪前のマギーの足取りを順番に見ると、まるで別れを言うように父親、母親、親しい友人に会っていることがわかる。
マギーは自分から失踪するつもりだったが、協力者が裏切って誘拐されてしまった――協力者はおそらく社内の同僚、という仮定のもとに、出国を予定している社員を調べると、バート・ヒギンズという人物がネパールのカトマンズへ向かう予定であるとわかる。マギーはかつて、ネパールを訪れたことがあった。会社へ向かうが、バートは不在。マーティンが、近くにあるというバートの自宅へ単身で急行し、ヒギンズに殴られて昏倒してしまう。警官と他の捜査官がヒギンズを取り押さえ、監禁されていたマギーを救出する。
マギーは生活に疲れ「しばらく消えたい」という気持ちで失踪を企てた。バートは自分も一緒に行くつもりだったため、ひとりで行動しようとしたマギーに腹を立てて誘拐事件をでっち上げたのだった。バート・ヒギンズは本名ではなく、実は指名手配中の殺人犯だった。
感想
パイロット、最初に見た時は気がつかなかったけれど、改めて見るとセットが違う! ジャックのスーツが違う! ヴィヴィアンのメイクが違う! ジャックがダニーに “Danny boy” って呼びかけてる!
失踪者の居場所を知るためには、その人となりを知る必要がある――このコンセプトは、パイロットの時から存在していたわけだが、その他のところはまだ何となく未完成な印象のあるパイロット。
このエピソードはDVDにコメンタリーが付いているが、その内容も興味深く面白い。ダニーの役柄が最初は「内向的で物静かな仕事人間」という設定だったが、オーディションに現れたエンリケ・ムルシアーノを見て「役柄を変えて彼でいこう」と決めたこと、最初はマギーに妹がいる設定で、配役まで決まっていたのにボツになったことなど。このエピソードでマギーはネパールへ行こうとするが、このシリーズの脚本家/プロデューサーが実際に、逃避するように旅立った先がネパールだったそうだ。脚本家としてなかなか成功せず、進路に悩んだ挙句のことで、何とFBIが探しに来て連れ戻されたらしい――そして5年後にこのシリーズを制作することになったのだそうだ。
マギーの妹の設定をボツにしたのは妥当な選択だと思う。一人っ子か、せいぜい年の離れた男兄弟がいる程度の方が「実は孤独な娘」という設定が説得力を持つのではないか。さらに、ダニーのキャラを変えてエンリケさんを採用したのは大正解だ!
— Yoko (yoko221b) 2008-03-05