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Without a Trace - Season 1
#16 Clare de Lune
- 邦題:「月影のクレア」
- 脚本:Jan Nash, Allison Abner
- 監督:Mel Damski
- 初回放映:2003-02-27
事件概要
失踪者:クレア・メトカフ(16歳)
コッパー・メドウズ病院に入院していた少女クレア・メトカフが失踪。情緒不安定になったため入院していたが、突然暴れ出して保護室に入れられ、1時間後に医師が到着した時に部屋は空になっていた。保護室はもちろん施錠されており、自力で逃げ出せるはずもない。監視カメラもワイヤーが切断されており、内部の誰かが手引きしたことは明らかだった。
クレアは数週間前に異常行動を起し、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。彼女のトラウマは、母親のオリヴィアが6年前にバルコニーから身を投げて自殺したその場面を目撃したことで、このような症状はトラウマを受けてから何年も経って突然現れることもあるという。病院では絵画療法を受けており、事故当時に住んでいた家と、その上にのしかかるような黒い怪物のような絵を描いていた。
面会記録から、クレアのボーイフレンドのディランが来ていたことがわかる。クレアは入院する直前にも、父親のローレンスが改装工事を請け負っているロフトでディランとデートしていた。クレアが異常な行動をとったのはその直後のことであった。
クレアが持っていた指輪が質入されたことがわかる。店の監視ビデオを見ると、クレアを保護室に入れた職員のマイケル・ビーチャーであった。クレアは「指輪をあげるから逃がしてほしい」とマイケルを説得して協力させたのだ。病院に迎えに来たのはディランだった。
クレアが昔住んでいた家に突然現れたという通報が入る。パニック状態で乱入し、その家の女性に「早く逃げないと殺される」と叫んだという。その後、付近でディランの姿が発見される。
ディランはクレアとロフトで会い、先に帰ったが、クレアはそこに残り父親が来るのを見た。そして父親が仕事のことで揉めている男と争い、相手を突き落とすのを物陰から見てしまったのだ。クレアはその後に異常行動を取って入院し、ディランとともに抜け出した後もロフトへ戻り、「父が男を殺した、死体を見た」と言い張ったとうい。もちろん死体はなく、その階段は落ちて死ぬような高さでもなかった。クレアは混乱し、ディランを突き飛ばしてどこかへ逃げてしまったという。昔住んでいた家に現れたのは、その直後のことだった。
ダニーは、オリヴィアは自殺ではなく事故で、ローレンスに突き落とされたのではないか、そしてクレアはその場面を目撃し、ロフトでの争いに記憶を呼び覚まされたのではないかと疑う。だがポリグラフの結果、ローレンスは無実とわかる。ではクレアは何に脅えていたのか。
ダニーはクレアの幻覚の手がかりを求めて絵をもう一度見直し、家の上からのしかかる黒い怪物を見て「父親でなければクレア自身が怪物ではないか」と思いつく。クレアは6年前、母親と口論してはずみで突き落としてしまい、そのことを誰にも言えずに苦しんできたのであろう。彼らはローレンスから「クレアが母親に会いたいと思った時に行く場所」の心当たりを聞き、公園でクレアを発見する。
ダニーは自分が両親を亡くした時のことを語る。家族でドライブ中、父が母に怒鳴るので、自分が後部座席から話しかけた。運転していた父親が振り向いたひょうしに車が道から逸れて事故を起した――同じ苦しみを抱えたダニーの説得で、クレアはようやく心を開く。
感想
ダニーーーー!
ああもう最後の場面では涙が止まらない。
数回前、失踪者の部屋で涙するジャック・マローンを見て「彼はこういう捜査官なのだ」と思ったのだが、ダニーも同じタイプというか、プチジャックな捜査官なのかなと思う。失踪者の内面に迫る体当たりの捜査。サマンサもこのタイプに近いだろうか。
今回のように、失踪者が無事に見つかればいい。クレアは迎えに来た父親のもとへ帰ることができた。一人で夜空を見上げ、星に会いたい人の名前をつけて寂しさを紛らわせる孤独な少年だったダニーは、帰るべき家や家族を持たなかったのだろう(「二重生活」で言っていたのが本人のことだったとするなら)。失踪者を家族のもとへ帰してやることで、ダニー自身も少しずつ自分の帰るべき場所を取り戻すことができるのだろうか。
だが、もし無事に見つからなければ……? その場合のダメージを考えると「大丈夫かな?」と心配になったりもするけれど。でもこのシリーズは無事にシーズンを重ね、2008年3月現在は第6シーズンを放送中のはずなので、大丈夫なのだろう。
まぁこのような危なっかしい捜査官(ボスを筆頭に)もいる一方で、他のメンバーが淡々と客観的に捜査を進めてバランスをとってくれれば良いと思う。ヴィヴィアン母さんはその冷静な洞察力で、おぼっちゃまマーティンはその鈍さで(ごめん)。