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Without a Trace - Season 1
#21 Are You Now or Have You Ever Been
- 邦題:「魂は売らない」
- 脚本:Harry Litman, Ed Redlich
- 監督:Peter Markle
- 初回放映:2003-05-01
事件概要
失踪者:キャリー・ウィルキンス
詳細不明。失踪5ヵ月後にニュージャージーで女性の遺体が発見され、キャリー・ウィルキンスであると確認された。
合衆国対グラハム・スポールディング
アンディ・ディーヴァーの誘拐・監禁等の罪で起訴されたスポールディング(5話「ゆがんだ愛」)の公判が開かれていた。アンディは証人として出廷するが、事件のトラウマのせいで記憶を失っており、証言することができなかった。
スポールディングの自宅で発見したアルバムは、令状なしの違法捜査で得たため証拠能力がない。残る証拠は車中でのスポールディング自身の告白だったが、これに対しても「弁護士を要求したのに聞いてもらえなかった」という理由で待ったがかかる。弁護士を呼ぶのは被告人の権利であり、これを侵害して得られた自白は違法収集証拠として排除の対象になるためだった。
事件当日にスポールディングを勾留していた警察署の警官が「被告人は移送前に弁護士を要求し、自分はそれをFBIのフィッツジェラルド捜査官に電話で伝えた」と証言する。マーティンはまったく身に覚えのないことと驚くが、その時に電話を受けたのはマローンだった。マーティンが席をはずしている時に携帯電話が鳴ったので、代わりに受けたのだ。スポールディングを何とか説得してアンディの居場所を言わせるために、マローンはその情報を無視したのだった。
検事はマローン一人だけに証言をさせて取り繕おうとするが、出廷したマローンは、検事の制止を無視して事実を述べる。被告人が弁護士を要求したことが明らかになったため、判事は証拠を排除し事件を棄却する。
失踪者捜索班に対する内部調査
アンワー・サミール医師を射殺した事件(9話「アメリカのアラブ人」)に関して、マローン班に内部調査が入る。中東に確実な友好国を作りたがっている政府にとって、無実のサウジアラビア人を射殺したという結果はよく思われていなかったのだった。
捜査官たちはそれぞれ権利通告書に署名し、ジェイソン・ファレル捜査官の聴取を受ける。ファレルは、マーティンに対してサミール医師をテロリストと決めつけた点、ダニーには違法捜査や乱暴な取調べ、サマンサにはマローンとの不倫疑惑を突きつけ、これといって失点のないヴィヴィアンには出世をちらつかせてみせる。ファレルの狙いがマローンの失脚であることは明らかであった。
マーティンは父を訪ね、内部調査に政治的な理由があり、当初は「サミール医師をテロリストと決め付けた若い捜査官」すなわちマーティンがスケープゴートにされる予定であったことを知る。FBI副長官である父親の力で、矛先がマローンに移ったのだ。
ヴィヴィアン以下、マローン班の面々は「あなたの調査に付き合う義理はない」と宣言し、ファレル捜査官の面前で権利通告書を破り捨てる。
マローンは上司のヴァン・ドーレンに辞表を出すが、フィッツジェラルド副長官の意向でファレル捜査官はワシントンに戻り、内部調査は中途半端なまま終わってしまった。ヴァン・ドーレンは捜査の指揮をとるマローンの姿を見て、渡された辞表を握りつぶす。
感想
フィナーレ前の小休止というか、現在までの「おさらい」エピ。一応事件は起きているのだが、5ヶ月前に失踪した女性が遺体で発見されたというもの。この事件は、以前のエピに出て来たというわけではないはず……18話「正義のヒロイン」のウィルキンス検事とは関係ないよね? 最後にジャックがこの事件の捜査を命じている場面が出てくるのだが、殺人事件の捜査までマローン班の担当なの? 冒頭で「まだウチの事件よ」という台詞は出てきたが、それは身元が確認される前の話。州をまたぐ事件をFBIが担当するのはわかるのだが、失踪者捜索班なのだから、身元が確認された時点で終わりにならないのだろうか。
でも、メインはこの事件よりもスポールディング事件の公判と内部調査だった。
スポールディング事件は、検察側の材料が被害者の証言と被告人の自白だけというのが解せない。逮捕された後、自宅も洞窟も徹底的に捜査されたはずなのに、何も証拠はなかったのだろうか(まさか全部排除?)。他にも、タトゥーの生徒が校長を告発しているし、過去の事件にも当然捜査が及んでいるはず。スポールディングは、あのオレンジ色のツナギを脱ぐ間もなく別の事件で身柄を拘束されたか、あるいは他の州に移送されたのではないだろうか。
このシリーズはCSIでもLaw & Orderでもないので、細かいツッコミを入れる意味はないかもしれないが――それにしても、唐突なこととはいえ検事は「マーティンに電話で伝えた」という証言の後、反対尋問で「電話の相手はフィッツジェラルドと名乗ったか」「先ほど証言したフィッツジェラルド捜査官と同じ声だったか」くらいは聞いておくべきだろう。つかジャックが根回ししておかないのが悪い。
内部調査の方は、最初マーティンがターゲットだったのが、パパの一声で矛先がジャックに向かったというのだが、事件のラインナップやら事情聴取の場面を見ていると、ダニーがターゲットにならないのが不思議。そりゃ、サミール事件ではあまり表に出ていなかったかもしれないが、何だかんだでダニーも「サミール医師テロリスト説」に傾いていたようだったし、他の事件でも問題を起しまくりじゃないか。副長官の息子やベテランのジャックを狙うよりは、よっぽど簡単そうに見えるのだが、やはり政治的な理由か。
そしてサマンサはジャックとの不倫を追求される。NY市警に元カレがいるサマンサだが、やはりジャックとも付き合っていたのね――この点は、初期のエピソードから何度となく匂わされてきたが、明言されたのはこれが初めてだと思う。でも、内部調査官に嘘までついて隠しておきながら、裁判所の前で堂々と抱き合ったりしてたら意味ないような。
TV.comによると、このエピソードタイトルの元ネタは、赤狩り時代における調査委員会での質問 “Are you now or have you ever been a member of the communist party?”(現在または過去において共産党の一員だったことはあるか)という有名な質問文とのこと。ふーむ、なるほど。
— Yoko (yoko221b) 2008-04-06