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Without a Trace - Season 2, Episode 2
#25 Revelations
- 邦題:「聖職への道」
- 脚本:Jan Nash
- 監督:Charles Correll
- 初回放映:2003-10-02
事件概要
失踪者:ヘンリー・スティーヴンス(55歳、神父)
サン・ジェルマン教会に12年間勤務してきたスティーヴンス神父が失踪。同時に教会の車とキーもなくなっていた。最初は神父がどこかへ出かけただけだと思われていたが、臓器提供ネットワークのポケベルを携帯していないことから異常事態が発覚した。神父は肝硬変を患い、一刻も早い移植が必要な身体だった。ドナーが見つかったため、病院は神父を呼び出したが連絡が取れないのだ。
神父は失踪する直前、警察に呼ばれて事故現場へ赴いていた。事故被害者の神父と連絡が取れないため、代わりに魂の救済を与えるために呼び出されたのだ。警官の話では、死亡した被害者の夫とドライバーが争い、神父が仲裁する場面があったという。
神父の部屋には大量の現金が隠されており、その紙幣からはメタンフェタミンの原料が検出されていた。また、神父はフロリダを何度も訪れていたが、飛行機のチケットは常に現金払いで、教会の同僚は誰もそのことを知らなかった。その近辺は、メタンフェタミン製造が多いことでも知られている。神父が売人らしい男と会っているのを見た者もいた。
ヘイウッド・ホテルに神父が借りていた部屋には、血のついた服が残されていた。そこは神父がDV被害者やホームレスを一時的に住まわせている場所だという。現在滞在しているドイルという男は、フレスノに近い刑務所に服役し、最近出所したばかり。ドイルのことを調べていたダニーとマーティンは教会の車を見かけ、運転していたドイルをその場で逮捕。車内には神父のロザリオが落ちていた。
ドイルはかつて神父とともに麻薬製造を行っていた。神父の部屋にあった紙幣はその当時のもの。ドイルは逮捕されたが、神父は逃げのび、その後34歳で神学校に入り神父になった。神父はドイルに面会して謝罪し、出所後も面倒を見ようとしていた。失踪時、神父は事故の後でヘイウッド・ホテルにドイルを訪ね「フロリダへ行かなければ」と言ったという。ドイルは神父を車に乗せたが、神父の具合が悪そうなので、病院へ行くよう何度も勧めた。神父はそれを断り、結局ドイルが仮眠を取っている間にどこかへ行ってしまったのだという。
失踪のカギは直前の事故にあった。ドイルが逮捕された当日、その近くで自動車事故が起きていた。17歳のフットボール選手が死亡、ひき逃げで犯人は見つかっていない。両親はフロリダ在住だった。その運転手が神父で、両親のもとへ謝罪に赴いたものと思われた。
マローンは空路フロリダへ向かい、両親の家を訪れた神父に声をかけ、移植手術のためNYへ戻るよう説得する。神父はそれを断り、祈りの言葉を口にして彼らの家へと入って行った。
感想
前回が少しヒネった話というか、いささかWATらしくないような印象だったので、今シーズンはどうなってしまうのか、少々不安になったのだが、2話目では堂々たるWATエピソードといった貫禄を見せてくれた。素晴らしい。
冒頭で教会にいる神父、薬物疑惑、性犯罪疑惑、秘密のフロリダ行き――という、いかにも「不良神父?」と思わせるモチーフが次々と説明されていく展開が小気味良い。そして最後に、神父が昔犯した罪と対峙する場面の厳粛なこと。この場面に説得力があるのは、それまでの展開の中で描写されてきた神父の人間像があればこそだろう。
そして、事件に関わる捜査官たちの描写も見逃せない。不良少年だったダニーが教会に救われて立ち直ったこと、ジャックに何か辛い過去があるらしいこと――だが捜査官が事件よりも目立つことがなく、あくまで今回表現すべきは神父のことである、という視点が貫かれていて、事件とキャラのこういうバランス配分は良いと思った。
— Yoko (yoko221b) 2008-04-28