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Without a Trace - Season 2, Episode 17
#40 Gung-Ho
- 邦題:「兵士とフィアンセ」
- 監督:Paul Holahan
- 脚本:Dale Kutzera, Simon Mirren
- 初回放映:2004-02-26
事件概要
失踪者:ケヴィン・グラント(予備役兵士)
ケヴィン・グラント上等兵が失踪。イラクに派兵されていたが負傷して一時帰国したばかりだった。ケヴィンの受勲を審査していたマイヤーズ大尉の依頼でFBIが捜査を行うことになった。フィアンセのサラは「イラクから帰ってから人が変わったようになり、悪夢にうなされることが多くなった」と言う。ケヴィン、兄のティム、サラの3人が共同で出資した中古車整備の店も、ケヴィンがイラクにいる間に経営が悪化して差し押さえられていた。
ケヴィンが負傷した戦闘には、何か不審な点がある様子だった。失踪前のケヴィンが最後に会っていたのは、同じ部隊にいたチャック・ホワイティング。チャックの自宅には捜査官が派遣されていたが、張り込みに気づいたチャックは逃亡し、行方がつかめなくなってしまう。ケヴィンの失踪の原因がその戦闘にあると睨んだマローンは、ダニーとともにイラクへ向かう。
チャックは略奪行為の疑いで不名誉除隊していた。一方ケヴィンは模範的な兵士だったが、ある日突然上官のマカフィ軍曹に反抗して争いを起していた。事情を聞くと、不名誉除隊になって帰国するためにワザと反抗を演じた(だが無駄だった)という。大量破壊兵器が見つからず戦争の意義を見失い、サラから手紙で婚約を破棄したいと伝えられたことが原因だった。さらに、ケヴィンが負傷したのは故意に立ち上がって銃弾に身を晒したからだとわかる。負傷した兵士を「これで家に帰れるぞ」と励ますのを聞いて、たとえ死んでも帰国しようとしたのだった。
一方NYでは、マーティンがチャックの自宅を調べ、天井裏で不審な現金の束を発見していた。サラは職場の上司レン・ベイカーと恋愛関係になったことを認める。だが婚約破棄の話は、負傷して帰って来たケヴィンを前にしてうやむやになってしまっていた。レンは失踪前のケヴィンから「自分に何かあったらサラのことを頼む」と言われ、何か危険なことをするのではないかと思っていた。
チャックの部屋にあった現金は、数年前に銀行から強奪されたものだった。同じ犯罪を繰り返す可能性を考えて、失踪当日の事件を調べると、ペンシルヴェニアで発生した銀行強盗事件の監視カメラ映像にケヴィンが映っていた。その事件では、居合わせた女性警官が射殺されている。
その後、チャックがバス停で発見され逮捕される。ケヴィンとは仲間割れをしたという。チャックは銀行強盗を計画し、ケヴィンを仲間に入れたことを認める。下見のうえ警備員がいない時間帯を狙ったはずが、警官が居合わせたため、銃を向けられたケヴィンが反射的に撃ってしまったのだ。
ケヴィンはチャックと別れた後、自宅へ戻り、連絡に備えて待機していたサラとダニーを人質にとる。マローンは電話で「もう逃げ場はない。サラが大事なら銃を置いて出て来てほしい」と説得。ケヴィンは銃のカートリッジを外し、弾のない銃を構えて外へ出て行き、SWAT部隊に射殺される。
感想
このシリーズでは、時々距離感がつかめなくなって戸惑うことがある。全米を動き回れるFBIが主人公なので、州をまたいで捜査を行うことも少なくないのだが、どうも長距離を移動した感覚が持てないことがある。シーズン1「二重生活」のサンディエゴはちゃんと実感があったのだが、「白夜の太陽」ではそうした距離感が希薄だった。で、今回はイラク。イラクに来ているはずなのに、全然そういう感覚が感じられなくて、アリゾナあたりの演習場に来たみたいな印象だった。このあたりはTVシリーズの限界かもしれないが。
さて、そのイラク行きだが、ジャックとダニーがヘリでチクリットに降り立ったのが失踪62時間後。その2人がNYのオフィスに戻ってミーティングしている場面が失踪78時間後。16時間で事情聴取して帰って着替えて報告って……軍用機でひとっ飛びだったにしても、スケジュール過密すぎやしないか。お土産はどこで買ったのだろう。
ケヴィンの最期。これはネタバレになるのか迷うところだが、思い出の映画が「明日に向かって撃て!」だったことでケヴィンの運命は暗示されていたように思う。サラと2人で「雨にぬれても」を歌った時には、もう覚悟を決めていたのだろう――ケヴィンが銃を構えて飛び出していった場面が映画のあの場面と同じだったから。直前に弾を抜いたのは、銀行で女性警官を射殺してしまったせいだろう。万が一にでも、誰かを撃ちたくなかったのだと思う。
やりきれない思いの残るエピソードだった。
— Yoko (yoko221b) 2008-06-09