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The Wire - Season 1
#3 The Buys
- 邦題:「ディーラー」
- 監督:Peter Medak
- 脚本:David Simon
- 原案:David Simon, Ed Burns
- 初回放映:2002-06-16
“The King stays the King.” - D'Angelo
概要
ダニエルズは副総監バレルのオフィスでのミーティングに出席し、プレッズたちの事件について報告する。その場にはプレッズの義父ヴァルチェック警視も同席していた。ロールズとバンクは記者会見に臨み、ガントの殺害と彼が証言した事件とは関係がないであろうと発表。
マクノルティとグレッグスは、バブズの協力で次々にディーラーたちの顔と名前を一致させていった。ただし、肝心のエイヴォンだけはどうしても写真が撮れない。成人してからの逮捕歴がないので、顔や指紋もわからない。エイヴォンが生まれ育ったフランクリン・テラスの住宅局は、保安上の理由で居住者全員の写真を撮影しているはずだが、調べてみると、記録上存在する「エイヴォン・バークスデール」は白人男性1人だけだった。複数の女性の間を渡り歩いているため、定住所もない。
マクノルティは旧式のかさばるワイヤーを与えられ、これでは使い物にならないと、グレッグスとともにFBIの友人フィッツユーをたずねて協力を要請。
ピットではディーラーのボディが皆に薬を渡し、その様子をオマーが車の中から観察している。ディアンジェロは店でストリンガーに売り上げを渡し、店で踊っているシャーディーンに話しかける。
フリーマンは、エイヴォンが若い頃にボクシングをしていたことを聞き、ボクシングジムに行って昔の写真を発見。シドナー刑事はアンダーカバーの扮装に身を包み、バブズのチェックを受けてからともにピットへ出て行くが、ドラッグの売買に顔を出すのは使い走りの若者たちばかりで、重要人物はいっこうに姿を現さない。ダニエルズは上からの命令で、捜索・押収・検挙を行わなければならなくなるが、彼らは「品物」の隠し場所を頻繁に変えるので、それでは目的を達せないとマクノルティらは反発する。
マクノルティはロンダ・パールマン検事の家を訪れ、ページャーのクローンを作りたいと相談する。彼らは携帯電話を使用せず、ページャーを使って連絡を取り合っているのだ。パールマンは、クローンが必要であるという根拠(他の捜査方法が使えない等)を説明する宣誓供述書を作成し、上司が承認して判事が署名すればクローンを作成できると説明。2人はそのまま一夜を共にする。
夜。ディアンジェロが食べ物を買いに出た後、オマーとその仲間ブランドンがピットに押し入り麻薬を強奪。ブランドンは彼らの前でオマーの名を呼んでしまう。この件は目撃していたバブズからグレッグスに伝えらえる。
翌朝、ダニエルズはチームと制服警官を率いてピットの一斉捜索を行うが、成果は得られなかった。だがフリーマンは壁に書かれた番号に目を留める。マクノルティは捜索をボイコットして資料に目を通す。その夜、マクノルティはフィッツユーと再び接触し、ダニエルズが不正をしているのではないかという疑惑を伝えられる。FBIはダニエルズの収入にふさわしくない流動資産があることを知り、副総監のバレルに伝えたが、そこで話がうやむやになってしまったという。
感想
この第3話でオマーが登場して、主要な人物やストーリーのネタがだいたい出揃ったと思う。連続ドラマって、4~5話くらいまでは「これ面白いかな?」と探りを入れるように見ることが多いのだが、このシリーズは前回あたりからすでに引き込まれる感じがして、このエピソードで「これはハマる」と確信したように思う。まぁ、1シーズンが13話だものね。さっさと中心のストーリーを進めていかないと間に合わないのかもしれない。ともあれ、最後のガサ入れで成果が出なかったから、この後 “Wire” の出番になるんだな!と(タイトルがこれだから)期待。副総監がダニエルズに言った “A couple of felony warrants, a little dope on the table.” というフレーズ、これは最後の方でも出てきたような気がする。
とはいえ、最初に見た時はまだイマイチ人物の見分けがつかなかったり、ぼーっと見ていて記憶に残らなかった部分も多かったのだが、改めてじっくり見ると、ストーリーの骨格がしっかりと描かれ、人物それぞれに一貫したキャラクターが与えられていることがわかる。なるほど評価が高いわけだわ~。
エイヴォンはディアンジェロの伯父なのか叔父なのかわからなかったけれど、今回年齢が「31歳」となっていたので(若いじゃん!)、たぶん叔父だろう。最後の方でディアンジェロの母親が登場し、彼女とエイヴォンが実のきょうだいだとわかる描写があるのだが、このママンが31歳未満とはちょっと考えられないので。ディアンジェロ・バークスデールの名は母親の姓で、エイヴォンも父親不明で母親の姓を名乗っている。彼らの家族って母系なんだなと思った。父母(夫婦)の関係が不安定で、母親とその兄弟が子どもを育てるという、血縁だけで構成される家族。エイヴォンも複数の女性の間を渡り歩いているが「妻」や「子」はいないみたい。子はいるかもしれないが、母親のもとで育つのだろう。
最後はダニエルズ警部補の不正疑惑が飛び出し「いったいそれは何~」となったところでおしまい。そういえば、前回登場した警部補の自宅って、何だかすごい豪邸みたいだった。でもダニエルズにはダーティであってほしくないなぁ。たしかに、善人・悪人と簡単に分けられないのがこのドラマの面白いところではあるのだけど、少なくともマクノルティ、グレッグス、ダニエルズあたりは、共感を持ちやすいシンプルな倫理観を持っていてほしいなと思うのだ。
ところで、ポケベルって今どうなってんのと思ったら、ドコモのクイックキャスト(旧ポケベル)は2007年3月末でサービス終了していたみたい。新規受付は2004年に終了。このエピソードが放映されたのは2002年のこと。5年くらいで時代を感じていていいのかという気もするが、これも時代ですなー。
— Yoko (yoko221b) 2007-06-28