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The Wire - Season 1
#4 Old Cases
- 邦題:「オールド・ケース」
- 監督:Clement Virgo
- 脚本:David Simon
- 原案:David Simon, Ed Burns
- 初回放映:2002-06-23
“It's a thin line 'tween heaven and here.” - Bubbles
概要
一斉捜索では数名の少年たちが逮捕されていたが、所持していた量が少なく取引に利用できそうな者はいなかった。「ベスト・ショット」は大量の前科を持つマーヴィン・ブラウニングだったが、取引を持ちかけても一顧だにしない。
マクノルティとバンクは、バークスデールと関連がありそうな未解決事件を探す。その中に、ディードリ・クレッソンという女性が殺害された未解決事件があった。被害者は女子学生で一見関連はなさそうだったが、重要人物として「ディー」という名前が挙がっていた。
エイヴォン・バークスデールはオマーによる麻薬強奪に怒り、彼の首に賞金をかける。エイヴォンは、その強奪事件と警察による手入れが同時にあったことから、情報が漏れているのではないかと疑う。
少年拘置所に入れられたボディは、掃除用具を使って監視の眼を逃れ脱走。ピットに戻って来たボディに、ディアンジェロは自分が叔父の恋人だった女性を射殺した時の話をする。
バレル副総監はフェラン判事に捜索の結果を報告するが、逮捕されたのが下っ端ばかりで、バークスデールもベルも無傷であるため、判事は結果に不満足。判事からそれを聞いたマクノルティは、ページャーのクローニングについてグレッグスと話し合う。一方、バレル副総監から呼び出されたダニエルズは、盗聴技術を使う方法を進言。フリーマンは、前回の捜索で見つけた謎の番号がディアンジェロのページャーの番号であることを突き止めていた。対バークスデール特命チームは、本格的に盗聴技術を使った捜査を始めることになる。
マクノルティはバレルとともにクレッソン事件の現場へ向かい、写真をもとに現場を検証。弾道から被害者が窓越しに射殺されたことを知り、射手のいた位置を割り出し、その付近で薬きょうを発見する。マクノルティは、フリーマンがかつて殺人課にいた優秀な刑事だったことをバンクから聞かされる。フリーマンは、ある事件の捜査で副総監(バレルの前任者)に逆らったため、閑職の質屋係に異動させられてしまったのだった。
感想
冒頭で、ハークが机を部屋に「入れよう」とする場面。皆して加勢したのはいいけど、入れようとしていたのはハークだけで、他の皆は逆方向に引っ張っていたようだ。マイペースでドールハウス家具を作っていたフリーマンは、きっと気づいてたね。どこかに引っかかったとしても、大の男4人がかりで動かせないっておかしいものね。チーム・ダニエルズのチームワークはまだまだだ。
ここでシドナー(だったかな)の台詞が、“Unbelievable, unbe-f**king-lievable.” だった。うーん “unbe-f**king-lievable” ですか。unbelievable に例の言葉をつけるのなら、“f**king-unbelievable” か、あるいは “un-f**king-believable” だと思うのだが、そんな位置に割り込ませるのか。それがアリなら “McDonald” を「マクド」と言って何がおかしいかと思った。あまり関係ないか。
今回のエピソードで面白かったのはやはり、マクノルティとバンクが事件の現場検証をするところ。CSIならダミー人形を立たせてレーザーで弾道を再現するところだが、こちらは銃と指を使って目分量で。相槌でも打つように “f*k, f*k” とつぶやきながら写真を床に置いて検証しているのが可笑しかったが、何ら意味のある言葉を交わさずにツーカーでわかりあえる2人、そしてそれが画面を見ているこちらにも無理なく伝わってくるという描写が上手いと思う。ここでバンクがつぶやくのは単なる口癖なのか、凄惨な犯罪に対する怒りの表れなのか。
マクノルティは1人で暮らしているような描写があったが、それは離婚したためで、息子が2人いる。彼らが住む郊外のことをバブズが “Leave It to Beaver land” と言っていたが、これは50年代に放送されたホームドラマのことらしい。見たことはないのだけど、郊外に住む中流家庭をユーモラスに描いたホームドラマだとか。今回のエピグラフになっているバブズの台詞 “thin line 'tween heaven and here” は、バブズのいるスラムと郊外(heaven)の物理的な距離の近さであるという解釈と、スラムでの暮らしが死(heaven)と隣り合わせであるという意味だという解釈がある。郊外のシーンのすぐ後であるというタイミングを考えると前者の解釈もわかるけれど、私自身は “thin line” という言葉から後者の印象を強く受けた。
— Yoko (yoko221b) 2007-07-31