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The Wire - Season 1
#13 Sentencing
- 邦題:「判決」
- 監督:Tim Van Patten
- 脚本:David Simon, Ed Burns
- 初回放映:2002-09-08
“All in the game.” - Traditional West Baltimore
概要
グレッグスの意識が戻り、バンクは容疑者の写真を持って病院を訪れる。グレッグスはリトル・マンの顔を見ていたが、外にいたウィーベイは見ていなかった。現場で発見された物証からはウィーベイには行き着かない。バンクは何とかウィーベイを確認させようとするが、グレッグスは主張を変えようとはしなかった。
バークスデールの組織からは続々と逮捕者が出るが、ダニエルズは別の手がかりを求めていた。上部からの圧力でこれ以上の捜査が中止させられそうになってきたのだ。そこへパールマンから電話が入り、ディアンジェロに公選弁護人がついたことがわかる。
エイヴォンは保釈金を払って釈放され、ストリンガー、リヴィと3人で話し合う。彼らは当初内通者を疑っていたが、それにしては逮捕の規模が大きすぎる。また、ディアンジェロへの指示は電話を使わず直接話しただけなので、クラブ奥のオフィスにマイクが仕掛けられていたとしか考えられない。とはいえ、そうであればエイヴォンのみを逮捕してストリンガーが無傷なのは解せない(ストリンガーもそこで薬物売買を行っていたので)。エイヴォンはフロントカンパニーの1つである葬儀社に身を隠す。
バンクとマクノルティはディアンジェロを尋問し、ブランドンが殺害された時の状況、ウォレスがどう関わったか、そしてウィーベイがフィラデルフィアにいることなどを供述する。ディアンジェロはボルティモアの大物ドラッグディーラーの家系に生まれ育ってきた。拘置所にいた8ヶ月間は、自分の家よりも自由に生きられた、どこか他の街でやり直したい、と彼は言う。
バレルがバークスデールの捜査を終わらせたがっているため、ダニエルズらは連邦政府の機関に協力を求め、FBIと連邦検事を交えたミーティングを開く。フリーマンは、バークスデールが政治家に賄賂を渡し、再開発が行われる場所を知り、その土地取引で儲けていたことを説明する。だが連邦の狙いはバークスデールとベルの凶悪犯罪ではなく政治家であり、エイヴォンとストリンガーもそのための協力者として捉えていた。西ボルティモアを無法地帯にした2人の責任を軽減しようとする連邦側の意図にマクノルティは怒り、交渉は決裂する。
ダニエルズは巡査部長に内定したカーヴァーをオフィスに呼ぶ。バレルに情報を流していたのはカーヴァーで、エイヴォンのオフィスを監視した時だけバレルがそれを知らなかったのは、カーヴァーが研修に出かけていたためだった。カーヴァーは巡査部長として若い新人警官の手本とならなければならない、とダニエルズは諭す。
その後、ダニエルズはプレッズに拳銃を返却し、ウィーベイの逮捕のためフィラデルフィアに同行させる。逮捕されたウィーベイは、死刑回避のため次から次へと殺人事件を自供するが、エイヴォンとストリンガーの名前は出さず、最後まで単独犯行だったと主張した。しまいにウィリアム・ガントの殺害も自分だったと自供し、バンクは驚く。ウィーベイの供述には、遺体の状況と矛盾する点もあった。
ディアンジェロはいったんは協力を了承するものの、その後母親のブリアナに説得され、再びリヴィの弁護を受けることになった。エイヴォンは有罪答弁を受け入れ、「初犯」であるため7年の収監刑、そしてディアンジェロには罪状における最高刑である20年の収監刑が言い渡される。
ダニエルズが就くと噂されていたポストは、別人の物になった。フリーマンは殺人課に異動。カーヴァーは正式に巡査部長に昇格し、ハークは麻薬課で新人を指導する。シドナーは元の部署に戻り、プレッズは地下のオフィスを片付ける。サンタンジェロは殺人課からパトロールへ、そしてマクノルティは港湾課に配属される。エイヴォン不在の組織はストリンガーが運営し、ディアンジェロのいないピットではボディとプートが「仕事」を続ける。そしてニューヨークのサウスブロンクスでは、オマーがドラッグディーラーに銃を向けていた。
感想
バークスデールの一味は軒並み検挙され、悪いドラッグディーラーはいなくなってボルティモアの街には平和が戻りました――なーんていう結末を予期していたわけでは決してないが、ここまで徹底して中途半端な(って変な表現)終わり方とは。こりゃもう次シーズンを見ないわけにはいかんじゃないか! この不完全燃焼感をどうしてくれる。
警察も連邦の法執行機関も「同じ側に」いるからといって、一丸となって悪に立ち向かえるわけではなく。身内がアテにならないからとライバル機関に事件を持ち込んだり、そこで組織のエゴをぶつけあったり。悪は裁くべし、という単純な正義感が何だかすごく嘘っぽく思えてしまった。
元締めのエイヴォンは何とか逮捕できたが、殺人につながる証言は得られず、薬物取引も「初犯」だったため求刑は7年。しかも、No.2のストリンガーは無傷で逃げ延び、組織は安泰。ディアンジェロの代わりに昇格したボディとプートがピットを仕切る。最後にストーリーに関わってきそうでそうでもなかったバブズは、なかなか薬物を止められない。一連の捜査がまったくの無駄であったとは思わないが、やはり空しいな~。
この捜査でいちばん得をしたのは、殺人課のロールズではないだろうか。10話の所で挙げた7件の他、ネキーシャ、ウォレス、リトルマンその他の事件が一気に解決、マクノルティとサンタンジェロは厄介払いして、代わりにフリーマンをゲット。殺人課に復帰したフリーマン、昇進したカーヴァー、大量に起訴して有罪答弁を得たパールマン検事も得した組かな。最初のガサ入れで怪我をして、これ幸いと年金もらって引退した刑事さんもか。プレッズも自分に向いた仕事を見つけられて良かったと思う。
逆に損した組は、撃たれて大怪我をしたグレッグス、警らと港湾課にそれぞれ異動させられたサンタンジェロとマクノルティ。ダニエルズも出世競争に負けてしまった。マクノルティが「異動したくない部署は」とロールズに聞かれていたけど、フリーマンのアドバイスを忘れたのか? それから、ディアンジェロが逮捕されたということは、ウィーベイの熱帯魚ちゃんも可哀想なことになっていると思う。
それにしても、シーズンを締めくくる最後の場面がオマーとは! 口笛とともに現れる姿が妙にカッコいいんだな。田んぼの中の一軒家~♪
— Yoko (yoko221b) 2007-08-15